東南アジア共通費用・稟議・効果報告
海外 PR の効果測定を社内に報告する方法|東南アジアで数字にする 4 項目
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東南アジア向けに初めてプレスリリースを配信しました。現地語の掲載記事を印刷して上司に見せたのですが、「これは良い結果なのか」と聞かれて答えられませんでした。海外 PR の成果は、何を数字にして報告すればいいのでしょうか?
記事そのものを見せても、読めない言語では判断の材料になりません。報告に入れるのは、掲載媒体数、媒体名、記事の URL、掲載日の 4 つです。そこに日本語の要約と、配信前に決めた目的に対してどうだったかを足します。
広告換算値を出せば分かりやすい、と社内で言われています。
金額になるので伝わりやすく見えますが、それだけで報告を組むのは避けたほうがいいです。今日は、4 つの項目の書き方、広告換算値の扱い、営業や採用で記事が使われたかの追い方、次の配信に向けた振り返りの順に進めます。
現地語の記事を見せても伝わらない理由
そもそも、なぜ記事を見せただけでは伝わらなかったのでしょうか。国内のリリースのときは、掲載紙のコピーを回すだけで済んでいました。
国内なら、上司は記事を自分で読めますし、その新聞や雑誌がどんな媒体かも知っています。東南アジアの記事では、その 2 つがどちらも欠けます。読めないことと、媒体を知らないことが重なるので、紙を渡されても良し悪しを決められないんです。
私の説明が足りなかったというより、材料が足りなかったわけですね。
そうです。もうひとつ、広報の記事は広告と性質が違います。中小機構の J-Net21 でも、広告は企業が媒体に載せるもの、広報は媒体が自分で取材や編集をして載せるもの、と分けて説明されています。
なるほど。広告なら、出した内容がそのまま載りますね。
はい。広報の記事は媒体側が編集するので、こちらが伝えたかった内容がそのまま載るとは限りません。だから「載ったかどうか」と「どう載ったか」を分けて報告する必要があります。先に書くのは「載ったかどうか」を示す 4 項目です。
海外 PR の報告に入れる 4 つの項目
4 つの項目は、それぞれどう書けばいいですか?
表にするとこうなります。右の列は、上司が聞きそうな問いです。
| 項目 | 書き方 | 上司のどの問いに答えるか |
|---|---|---|
| 掲載媒体数 | 国ごとに何媒体に載ったか。合計だけにしない | 何件載ったのか |
| 媒体名 | 媒体の名前に、種類 (総合ニュース、ビジネス・経済、業界専門) と記事の言語を添える | どんな所に載ったのか |
| 記事の URL | クリックして開ける一覧にする。画面の画像も保存する | 本当に載っているのか |
| 掲載日 | 記事が出た日を年月日で書く。自分が確認した日も残す | いつ載ったのか |
画面の画像まで保存するのはなぜですか?
記事のページは、あとで移動したり消えたりする場合があるからです。URL だけだと、報告の何か月もあとに見返したときに開けないことがあります。確認した日と画像を残しておけば、その時点で載っていたことを示せます。
媒体数は多いほど良い、と考えていいのでしょうか。
数だけでは決められません。届けたい相手が読む種類の媒体に載ったかどうかを、媒体名の欄で見せてください。代理店の候補に知ってもらいたい発表なら、ビジネス・経済系や業界専門の媒体がいくつあったかを書く、という形です。
4 項目を書くときの注意
- 掲載媒体数は国ごとに分ける。国をまたいだ合計だけでは、どの国で載ったのかが分からない
- 媒体名はアルファベットや現地語の表記のまま書き、日本語で種類をひとこと添える
- 4 項目は事実の記録なので、評価の言葉 (好評、大きな反響) を混ぜない
事実と評価を分けるんですね。ただ、URL を開いても上司は読めません。そこはどうしますか。
6 か国の言語と、報告に足す日本語の要約
国によって、記事が何語で載るかは違いますよね。報告の手間も変わりそうです。
変わります。日本貿易振興機構 (JETRO) の国別情報にある言語を並べて、報告のときに足すものを右の列に書きました。右の列はこの記事での目安で、公的な決まりではありません。
| 国 | 言語・公用語 (JETRO の記載) | 報告に足すもの (この記事での目安) |
|---|---|---|
| インドネシア | インドネシア語 | 現地語で配信したら、見出しの訳と要点の日本語要約 |
| ベトナム | ベトナム語、ほかに少数民族語 (公用語はベトナム語) | 現地語で配信したら、見出しの訳と要点の日本語要約 |
| タイ | タイ語 | 現地語で配信したら、見出しの訳と要点の日本語要約 |
| マレーシア | マレー語、英語、中国語、タミル語 (公用語はマレー語) | 記事の言語を媒体ごとに書く。英語以外は日本語要約 |
| フィリピン | フィリピノ語、英語、セブアノ語など (公用語はフィリピノ語と英語) | 英語で配信したら、見出しの訳だけでも足りる場合がある |
| シンガポール | 公用語は英語、中国語 (北京語)、マレー語、タミル語 (国語はマレー語) | 英語で配信したら、見出しの訳だけでも足りる場合がある |
要約には何を書けばいいですか?全文を訳す余裕はありません。
全文は要りません。見出しの訳、何の発表として載ったか、社名と商品名がどう表記されたかの 3 点で足ります。機械翻訳を下訳に使うのは構いませんが、社名や数字が原稿と合っているかは、原稿と記事を並べて確かめてください。
媒体側が編集するなら、原稿と違う載り方をしている記事もありそうですね。
あります。見出しが変わっていた、段落が削られていた、という違いは報告に書いておくと、次の原稿を直すときに役立ちます。ここまでが「載ったかどうか」と「どう載ったか」です。次に、社内で話が出ている広告換算値を見ていきます。
効果測定を広告換算値だけに頼らない理由
広告換算値というのは、どういう数字なんですか?
掲載された記事の大きさを、同じ枠に広告を出した場合の料金に置き換えた金額です。「広告なら何円分」と金額で言えるので、報告に使われることがあります。
分かりやすそうですが、何が問題なのでしょうか。
コミュニケーションの測定を扱う国際団体の AMEC は、測定の原則のなかで広告換算値を「使うべきでない指標」に挙げています。代わりに、相手にどんな変化があったか、組織にどんな影響があったかで評価するよう勧めています。測定を専門にする団体の立場からの意見、という前提で読んでください。
その団体は、どんな理由を挙げているのですか?
同じ原則のなかに、記事の件数や論調は、読んだ相手への効果と同じではない、という指摘があります。記事が広告いくら分に当たるかを計算しても、代理店の候補がそれを読んだか、問い合わせにつながったかは分かりません。東南アジアの媒体では、換算のもとになる広告料金を日本から調べるのに手間がかかる場合もあります。
それでも経営層から金額を求められたら、どうすればいいですか。
出す場合の注意も AMEC の原則に書かれています。その数字を「価値」「効果」「ROI」と呼ばないこと、どう計算したかと数字の限界をはっきり書くこと、の 2 点です。
広告換算値を報告に入れるときの注意
- 換算した金額を「PR の価値」「投資対効果」と呼ばない。広告枠の料金に置き換えた参考値と書く
- どの料金表を使い、どう計算したかを書く。倍率をかけたなら、その倍率も書く
- 換算値を主な成果にしない。掲載の 4 項目と、相手の反応を先に書く
- 都合の良い数字だけを並べない。載らなかった国、原稿と違う載り方をした記事も書く
- この注意は、AMEC「Barcelona Principles V4.0」(2025 年 6 月) の原則 5 と原則 6 の記載をもとにした
参考値として小さく扱う、ということですね。では、相手の反応はどうやって数字にするのでしょう。
営業・採用で使われたかを追う
掲載されたあと、何を追えば「役に立った」と言えるんですか?
AMEC の原則は、報告する内容を 3 つに分けています。出したもの、相手の態度や行動の変化、もっと長い目で見た組織への影響です。この分け方を海外 PR に当てはめると、次の表になります。当てはめた項目はこの記事での例です。
| 段 | 何を見るか | 数字の例 | 誰に聞くか |
|---|---|---|---|
| 出した結果 | 載ったかどうか | 掲載媒体数、媒体名、URL、掲載日 | 自分で確認する |
| 相手の反応 | 記事が使われたか、相手が動いたか | 問い合わせの件数、営業資料・採用資料で記事を使った回数、商談相手が記事に触れた回数 | 営業、現地拠点、採用担当 |
| 事業への影響 | 商談や採用がどうなったか | 商談の進み具合、代理店契約の状況、採用の状況 | 事業の責任者 |
2 段目の「使った回数」は、どうやって数えるのでしょうか。
営業と採用の担当に、記事の URL 一覧を渡すときに頼んでおきます。商談の資料に入れた、メールの署名に付けた、求人票に貼った、相手から記事の話が出た、のどれかがあったら 1 行で知らせてもらう形です。共有の表に日付と相手先を書いてもらえば数えられます。
3 段目まで書ければ、経営層には一番伝わりそうです。
伝わりますが、書き方には注意が要ります。商談や採用の結果は、掲載だけで決まるものではありません。「掲載のおかげで契約できた」とは書かず、「契約に至った商談のうち、資料に掲載記事を使ったのは何件」と事実の形で書いてください。AMEC の原則にも、短い期間の成果が長い期間の成果を示すとは限らない、という注意があります。
相手の反応を追うときの考え方
- 掲載の URL 一覧を、営業・採用・現地拠点に渡す。渡さなければ使われない
- 使った場面を 1 行で記録してもらう (日付、相手先、使い方)
- 掲載と結果を因果で結ばない。「使った件数」「相手が触れた件数」と事実で書く
- 数字にならない声 (商談相手のひとこと) も、そのまま 1〜2 件載せる
数字と声の両方を載せるんですね。それは知りませんでした。実際に報告書にまとめる順番も教えてください。
報告書をまとめる手順と、次回に向けた振り返り
配信の前から準備しておくことはありますか?
あります。目的を配信の前に書いておくことです。AMEC の原則でも、目的は活動を始める前に決め、結果が出てから目的を当てはめ直さないように、と書かれています。手順は次のとおりです。これもこの記事で勧める順番で、決まった型があるわけではありません。
手順
配信の前に、目的を 1 文で書く。誰に、何を知ってもらうための発表かを決め、上司と合わせておく
配信後に、掲載の 4 項目 (掲載媒体数、媒体名、URL、掲載日) を国ごとの一覧にする
読めない言語の記事に、見出しの訳と要点の日本語要約を付ける。原稿と違う載り方をした記事に印を付ける
URL 一覧を営業・採用・現地拠点に渡し、使った場面を記録してもらう
目的に対してどうだったかを 3〜5 行で書く。届けたい相手が読む種類の媒体に載ったか、相手の反応があったかを分けて書く
次の配信で変えることを書く。原稿、言語、配信日、対象の国のどれを変えるかを決める
最後の振り返りには、どんなことを書けばいいでしょうか。
今回の結果から次に変えられるのは、原稿、言語、配信日、国の 4 つです。たとえば、見出しが大きく書き換えられていたなら原稿の最初の段落を直す、英語で出した国で届けたい相手の媒体に載らなかったなら現地語を検討する、という具合です。うまくいかなかった点も省かずに書いてください。
悪い結果を書くと、次の予算が通りにくくなりませんか。
何を変えるかが一緒に書いてあれば、判断の材料として読んでもらえます。同じ形の報告を続けると、前回と今回を同じ項目で比べられます。次に、掲載の一覧をどう手に入れるかを、配信の手段ごとに比べます。
配信の手段ごとの、報告材料の集め方
掲載の 4 項目を集めるのは、自分で検索して探すことになりますか?
配信の手段によって変わります。3 つの手段を、報告の材料という面から比べました。
| 手段 | 掲載の確認 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自社で直接送る | 自分で媒体のサイトや検索で探す。現地語で探す必要がある | 現地に広報担当がいて、現地語で確認できる |
| 配信サービスを使う | サービスによっては掲載の一覧がレポートで届く | 現地に広報担当がおらず、報告の材料を早くそろえたい |
| PR 会社に委託する | 委託先が報告書を作る場合がある。内容は契約による | 継続して発信し、分析まで任せたい |
配信サービスのレポートは、そのまま報告に使えるものですか?
サービスによります。たとえば海外PR.jp は、掲載されたメディア名と URL の一覧がレポートとして管理画面で確認でき、配信から 5 営業日が目安です。4 項目のうち媒体名と URL は、この一覧をそのまま報告に貼れます。一覧の中身として公式サイトに書かれているのは媒体名と URL なので、掲載日と日本語の要約は自分で足すものとして作業を見積もってください。
費用と、載る数の目安はありますか?
配信は 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別) で、対応国のどの国でも 10 媒体以上への掲載が保証されています。時期によりキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。保証されているのは掲載の数で、問い合わせや商談といった相手の反応までは含まれません。そこは、先ほどの 2 段目と 3 段目として自社で追う部分です。
一覧が手に入れば、1 段目はすぐ書けますね。
はい。どの手段でも、報告の中身を決めるのは配信前に書いた目的です。最後に、報告に入れる内容を 1 枚の表にしておきます。
海外 PR の効果測定と報告のまとめ
社内で共有できるように、一覧にしてもらえますか。
報告に入れる内容と、確認先をまとめました。各国の言語の情報や測定の原則は更新されるので、報告の形を決めるときに公式の最新の記載を確認してください。
| 報告に入れる内容 | 書くこと | 確認先 |
|---|---|---|
| 配信の目的 | 誰に、何を知ってもらうための発表か (配信前に書く) | 社内の企画書 |
| 掲載の 4 項目 | 掲載媒体数、媒体名、URL、掲載日 | 配信サービスのレポート、媒体のサイト |
| 記事の言語と要約 | 見出しの訳、要点、社名・商品名の表記 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/ |
| 相手の反応 | 問い合わせ、営業・採用での利用回数、相手の発言 | 営業、採用、現地拠点の記録 |
| 広告換算値 (出す場合) | 参考値と明記し、計算方法と限界を書く | https://amecorg.com/2025/07/bp4-0/ |
| 次回に変えること | 原稿、言語、配信日、国のどれを変えるか | 今回の報告 |
ありがとうございます。関連する記事があれば教えてください。
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よくある質問
細かい点をいくつか聞かせてください。報告はいつ出せばいいですか?
決まった時期はありません。掲載の 4 項目は一覧がそろった時点で先に出し、相手の反応は、営業や採用の予定に合わせてあとから追加する、と 2 回に分けると書きやすいです。
掲載された媒体が現地でどのくらい読まれているか、数字で示せますか?
媒体ごとの読者数は、日本から確かめられない場合があります。確認できない数字を書くよりも、媒体の種類 (総合ニュース、ビジネス・経済、業界専門) と記事の言語を書くほうが、誤りがありません。
広告換算値を出さないと決めた場合、経営層には何と説明すればいいですか?
記事を広告の料金に置き換えても、読んだ相手が動いたかは分からない、と伝えてください。そのうえで、掲載の 4 項目と、営業・採用で使われた回数を代わりに報告する、と示してください。
1 回配信しただけでも、効果測定はできますか?
掲載の 4 項目は 1 回でも報告できます。相手の反応や事業への影響は、1 回分だけでは比べる相手がありません。同じ項目で 2 回目、3 回目を記録していくと、前回との違いを言えるようになります。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
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