東南アジア共通販路・パートナー開拓
海外の代理店探しで信用を得る方法|東南アジアで社名を検索された時の備え
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東南アジアで販売代理店を探していて、展示会で名刺を交換した会社や、紹介してもらった会社に提案のメールを送っています。ところが、返事がほとんど来ません。日本では 40 年続いているメーカーで、国内の取引先も多いのですが、それを書いても反応が変わらないんです。何が足りないんでしょうか?
提案の内容より前に、相手が田中さんの会社を確かめる手段を持っていない可能性があります。知らない会社からメールが届いたら、返事を書く前に社名を調べますよね。そのとき、相手が読める言葉の情報が何も出てこなければ、判断のしようがありません。
日本語のサイトはあります。会社案内の PDF も添付しました。
それは田中さんの会社が自分で書いた資料です。相手が知りたいのは、ほかの人がその会社をどう書いているかです。今日は、相手の側から自社がどう見えているかを確かめて、商談の前に何を用意しておけるかを順番に見ていきましょう。
海外の代理店探しで、信用が先に問われる理由
そもそも、代理店を探す段階でそこまで信用を気にされるものですか? 買ってもらう前の、話を聞いてもらう段階です。
代理店の側から見ると、新しいメーカーの商品を扱うのは小さくない決断です。在庫を持ち、自分の顧客に紹介し、問題が起きれば自分が謝ることになります。話を聞く時間を取る前に、実在する会社か、続いている会社かを確かめたくなるのは自然です。
日本側の会社はどうしているんでしょう。同じところで困っているんですか?
困っています。中小企業基盤整備機構 (中小機構) が 2024 年に行った調査では、海外展開をしている 133 社に実現できた要因を聞いたところ、「信頼できる現地パートナーの開拓」が 54.9% で最も多い答えでした。海外展開をしている、または予定・関心のある 310 社に課題を聞いた質問でも、「信頼できる現地パートナーの開拓ができない」が 31.9% で上位に入っています。
| 質問 | 回答 | 割合 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 海外展開を実現できた要因 (海外展開をしている 133 社、複数回答) | 信頼できる現地パートナーの開拓 | 54.9% | 中小機構「中小企業の海外展開に関する調査 (2024 年)」 |
| 同上 | 製品等の現地市場ニーズへの適合 | 33.8% | 同上 |
| 海外展開における課題 (海外展開をしている・予定や関心のある 310 社、複数回答) | 信頼できる現地パートナーの開拓ができない | 31.9% | 同上 |
| 同上 | 海外向けにどのような PR をしていいかわからない | 11.3% | 同上 |
うまくいった会社の半分以上が、パートナーを理由に挙げているんですね。
はい。そして、信頼できる相手かどうかを確かめたいのは、相手も同じです。日本貿易振興機構 (JETRO) は、取引を始める前に相手企業の信頼性を確認するよう勧めていて、登記の基本情報や事業内容をまとめた信用調査のレポートも案内しています。日本側が相手を調べるのと同じように、相手も日本側を調べていると考えておくほうが安全です。
こちらが調べる側だとばかり思っていました。
代理店候補は社名を何語で検索するのか
相手が調べるとして、どうやって調べるんでしょうか。信用調査の会社に頼むんですか?
取引の金額が大きくなれば、そういう調査を使う会社もあります。ただ、最初のメールに返事をするかどうかの段階で、費用をかけて調べる会社は多くないはずです。まず手元でできるのは、社名を検索することです。どのくらいの会社がそうしているかを示す統計は見つかっていませんが、初めての相手を調べる方法としていちばん手間がかかりません。
検索は英語でするんでしょうか。それとも現地の言葉ですか?
国によって変わります。JETRO が国ごとにまとめている言語の情報を並べると、次のようになります。右の列は、そこから考えた目安です。
| 国 | 言語・公用語 (JETRO の記載) | 相手が読む言語の目安 |
|---|---|---|
| インドネシア | インドネシア語 | インドネシア語 |
| ベトナム | ベトナム語、ほかに少数民族語 (公用語はベトナム語) | ベトナム語 |
| タイ | タイ語 | タイ語 |
| マレーシア | マレー語、英語、中国語、タミル語 (公用語はマレー語) | 英語。相手によりマレー語・中国語 |
| フィリピン | フィリピノ語、英語、セブアノ語など (公用語はフィリピノ語と英語) | 英語 |
| シンガポール | 公用語は英語、中国語 (北京語)、マレー語、タミル語 | 英語 |
社名はローマ字で入れるでしょうから、検索そのものはできますよね。問題は、出てきたページを読めるかどうかですか。
そのとおりです。検索結果に日本語のページしか並ばなければ、相手にとっては何も出てこないのと変わりません。商談の担当者が英語を話せても、その上司や経営者が英語の資料を読むとは限りません。担当者が社内で「この会社と話を進めたい」と説明するとき、自分の国の言葉で書かれた記事が 1 本あるかどうかで、説明のしやすさが変わります。
検索して何も出てこないと、怪しい会社だと思われるんでしょうか?
怪しいと決めつけられるわけではありません。ただ、判断する材料がないので、返事が後回しになります。相手の机には、ほかのメーカーからの提案も届いています。確かめられる会社から先に返事をする、という順番になるだけです。
検索結果に何も無いときに、相手の側で起きること
- 会社が実在するか、いまも事業を続けているかを、自分では確かめられない
- 上司や経営者に見せる資料が、メーカーが自分で作った会社案内しかない
- 日本での実績が書かれていても、取引先の社名や賞の名前を知らないので重みが分からない
- 判断を先に延ばし、確かめられるほかの提案を優先する
日本での実績が通じない、というのもここにつながるんですね。
はい。日本の大手企業との取引や、国内の業界団体からの表彰は、相手がその名前を知らなければ伝わりません。日本での実績を否定されているのではなく、確かめる方法が相手にないのです。では、商談の前に何を出しておけば確かめられるようになるのかを見ていきます。
商談の前に出しておける発表
現地でまだ何も売れていないので、発表できることがないと思っていました。何を題材にすればいいですか?
売上の実績がなくても、その国に関係する事実があれば発表になります。代理店を探している段階の会社が出しやすい題材を並べます。
| 題材 | 発表に書くこと | 気をつける点 |
|---|---|---|
| その国での販売開始・市場への参入 | 何を、いつから、誰に向けて売るのか。問い合わせ先 | 販売に必要な許認可や認証が済んでいるかを先に確認する |
| 展示会への出展 | 展示会名、会期、ブース番号、展示する製品 | 会期の前に載るよう、日程から逆算する |
| 現地向けの新製品・仕様 | その国の利用環境に合わせて変えた点 | 日本向けの説明をそのまま訳さない |
| 現地の拠点・駐在員の配置 | 所在地、担当する業務、連絡先 | 登記や届出の内容と表記を合わせる |
| 現地企業との提携・導入事例 | 相手の社名、内容、開始時期 | 相手の同意を書面で取ってから出す |
「代理店を募集しています」と書いてもいいんでしょうか?
書いて構いません。ただし、それだけを主題にすると記事として扱われにくい場合があるので、製品や参入の話を主題にして、文末に問い合わせ先と一緒に書くほうが自然です。メディアにとっての読者は代理店だけではないからです。
日本での 40 年の実績は、どこに書けばいいですか?
会社概要の段落に、相手が比べられる形で書きます。国内の取引先の社名を並べるより、創業年、従業員数、製品の出荷先の国の数、取得している国際的な規格のように、どの国の人が読んでも大きさが分かる数字にします。
発表を出す前に確かめること
- 交渉中の代理店候補や取引先の社名を、相手の同意なしに書いていないか
- 「独占」「唯一」「最大」のような言葉を、根拠なしに使っていないか
- 社名・製品名のローマ字表記が、名刺・自社サイト・提案書と一致しているか (表記が違うと検索で見つからない)
- 現地語に訳した原稿を、その言葉を読める人が配信前に確認したか
- 販売に必要な許認可や認証が済んでいない製品を、販売中と読める書き方にしていないか
社名の表記は盲点でした。名刺と自社サイトで、株式会社の英語表記が違っているかもしれません。
そこは見落としやすい点です。相手が名刺の表記で検索して、記事が別の表記で載っていると、せっかくの記事が見つかりません。発表の前に 1 つに決めておきましょう。次は、載った記事をどう使うかです。
掲載記事の URL を提案書とメール署名に入れる
記事が載ったとして、相手が自分で検索してくれるのを待つしかないんですか?
待つ必要はありません。掲載された記事の URL を、こちらから相手に渡します。検索されるのを待つより、相手の手間が減ります。手順にするとこうなります。
手順
掲載された記事を自分で開いて確かめる。社名・製品名・数字が発表どおりかを見る
媒体名、掲載日、記事の見出し、URL を表にして控える。国ごとに分けておく
提案書の会社紹介のページに、相手の国の記事を 3〜5 件並べる。見出しは現地語のまま書き、URL を添える
初回のメールには、相手の国の記事を 1 件だけ本文に入れる。添付ファイルではなく URL で示す
メール署名に、自社サイトの掲載情報のページへのリンクを 1 行入れる
自社サイトに掲載情報のページを作り、国ごとに記事へのリンクをまとめる
提案書に 3〜5 件というのは、少なくないですか? 載った記事は全部見せたくなります。
全部を並べると、相手はどれも開きません。相手の国の媒体を選んで、数を絞ったほうが読まれます。残りは自社サイトの掲載情報のページにまとめておけば、気になった人がそこで確かめられます。
記事の画面を画像にして、提案書に貼るのはどうでしょう。見た目に分かりやすいと思うのですが。
そこは避けてください。記事の本文や画面の画像は媒体が作ったものなので、断りなく転載しないほうが安全です。使いたいときは媒体に確認します。提案書には媒体名と見出しと URL を書いて、相手に自分で開いてもらう形にします。そのほうが、本当に載っていることを相手が自分の目で確かめられます。
URL を渡すときの書き方
- 媒体名、掲載日、記事の見出し、URL の 4 つをそろえて書く
- 相手の国の言葉で書かれた記事を先に置く
- 「掲載されました」とだけ書かず、何の発表についての記事かを 1 行添える
- 記事は媒体の都合で消えることがあるので、掲載日と媒体名を社内の記録として残す
提案書を送る前に、URL が開けるかも見ておいたほうがよさそうですね。
はい、送る前に一度開いて確かめてください。ここまでが使い方です。最後に、記事を載せるまでの手段を比べておきます。
掲載記事を用意する手段を比べる
現地の媒体に記事が載る状態を作るには、どんな方法があるんでしょうか。
大きく 4 つです。それぞれ、相手が検索したときに何が見つかるかが違います。
| 手段 | 相手が見つけるもの | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自社サイトに英語・現地語のページを作る | 自社が書いた説明 | まだ何もない会社が最初にやること。ほかの手段と組み合わせる |
| 自社で媒体に直接送る | 取り上げられた場合に、媒体の記事 | 現地に広報担当がいて、記者の連絡先を持っている |
| 配信サービスを使う | 配信先の媒体に載った記事 | 現地に広報担当がおらず、商談の日程が決まっている |
| PR 会社に委託する | 取材を受けた記事や寄稿 | 継続的に発信し、取材対応まで任せたい |
うちは現地に人がいないので、配信サービスが現実的だと思います。載ったかどうかは、自分で探すことになりますか?
サービスによります。たとえば海外PR.jp は、どの国でも 10 媒体以上への掲載が保証されていて、掲載された媒体名と URL の一覧がレポートで届きます。レポートは配信から 5 営業日が目安です。先ほどの手順で言うと、URL を表にして控える作業の材料がそのまま手に入ります。
費用はどのくらいですか?
配信が 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別) です。翻訳オプションは 1 言語 20,000 円 (税別) で、英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語に対応しています。1 か国に 1 言語で出すなら、合わせて 70,000 円 (税別) です。時期によってキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。掲載先は総合ニュースサイトやビジネス・経済系、業界専門の媒体が中心です。保証されているのは掲載される媒体の数なので、特定の専門媒体に載せたい場合は、ほかの手段との組み合わせを考えます。
記事が載れば、代理店が見つかると考えていいんでしょうか?
そこは切り分けてください。記事は、相手が確かめるための材料であって、取引を決める理由ではありません。決め手になるのは、製品がその国で売れるか、条件が合うかです。記事があることで変わるのは、話を聞く前の段階で後回しにされにくくなる、という点までです。
場面ごとのまとめと確認先
営業のメンバーに共有したいので、場面ごとに一覧にしてもらえますか。
商談の前後で分けました。言語の事情や支援機関のサービス内容は変わるので、計画を立てるときに公式の情報で最新の内容を確認してください。
| 場面 | やること | 確認先 |
|---|---|---|
| 候補を探す | 展示会、ビジネスマッチングサイト、企業リストから候補を集める | https://www.jetro.go.jp/services/export_guide/step2.html |
| 相手の国の言語を確かめる | 公用語を見て、発表を出す言語を決める | https://www.jetro.go.jp/world/asia/ |
| 相手を調べる | 取引の前に相手企業の信頼性を確認する | https://www.jetro.go.jp/services/export_guide/step2.html |
| 商談の前 | その国に関係する事実を発表し、掲載記事の URL を控える | 自社の記録 |
| 初回のメール・提案書 | 相手の国の記事を選んで、媒体名・掲載日・見出し・URL を書く | 自社の記録 |
| 商談のあと | 自社サイトの掲載情報のページを更新する | 自社サイト |
ありがとうございます。関連する記事はありますか?
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よくある質問
いくつか細かい質問をさせてください。英語の記事があれば、現地語の記事は要りませんか?
フィリピンとシンガポールは英語が公用語に入っていて、マレーシアも英語が使われているので、英語の記事から始められます。インドネシア、ベトナム、タイは公用語が現地語なので、相手の上司や経営者まで読んでもらうなら現地語の記事があるほうが伝わります。
発表は商談のどのくらい前に出せばいいですか?
決まった日数はありません。記事が載ったことを自分で確かめて、URL を提案書に入れる作業まで終わらせる必要があります。その作業に何日かかるかを見積もり、初回のメールを送る日や展示会の会期から逆算して配信日を決めます。
交渉中の代理店候補の社名を、発表に書いてもいいですか?
相手の同意を書面で取ってからにしてください。契約前の段階で社名を出すと、相手がほかのメーカーと進めている話に影響する場合があります。同意が取れないうちは、社名を出さずに自社の製品と参入の話だけを書きます。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
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