東南アジア共通現地での認知づくり
海外の現地採用で応募が集まらない理由|東南アジアで求人前に出す情報
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東南アジアの拠点で、初めて現地のスタッフを採用することになりました。求人サイトに募集を出して 1 か月たつのですが、応募が数件しかありません。給与は相場に合わせたつもりです。何が足りないのでしょうか?
条件が相場どおりなら、求人票より手前を確かめてみてください。候補者が社名を検索したときに、その国の言葉で読める情報がどれだけ出てくるか、です。応募が集まらない原因が、求人票ではなく検索結果にある場合があります。
日本では名前を知られている会社なので、そこは考えていませんでした。
ここで止まる日本企業は多いです。日本での知名度が、現地の候補者にそのまま伝わっているとは限りません。今日は、候補者が応募前に何を調べるか、採用を始める前にどんな発表を出せるか、求人媒体とどう使い分けるかの順に見ていきます。
現地採用で応募が集まらない理由は、求人票の外にもある
そもそも、東南アジアで採用に苦労している日系企業は多いのですか?
多いです。日本貿易振興機構 (JETRO) の 2025 年度の日系企業調査だと、ベトナムでは直近 2 年間で「採用が困難になっている」と答えた企業が 48.2% ありました。ASEAN 全体でも、採用難や離職率の上昇を背景に、賃金の見直しが避けられない国が多いと報告されています。応募が集まらないのは、田中さんの会社だけの話ではありません。
人の取り合いになっているなら、給与を上げるしかないのでしょうか。
給与は大きな要素ですが、その前に確かめたい点があります。候補者は、求人を見てすぐ応募するとは限りません。社名を検索して、どんな会社かを確かめてから決める人がいます。
応募前にそこまで調べるものですか?
シンガポールの求職者を対象にした 2018 年の調査では、勤め先としての評判がネットで見つからない会社には応募しない、と答えた人が 57% いました。ネットに情報がない会社は信用しない、と答えた人も 54% です。求人サイトを運営する会社の調査で、対象もシンガポールだけなので、目安として見てください。
応募前の調べ方についての調査 (目安)
- 対象はシンガポールの求職者 501 人。求人サイトを運営する会社が 2018 年 4 月に実施した
- 勤め先としての評判がネットで見つからない会社には応募しない、と答えた人は 57%
- ネットに情報がない会社は信用しない、と答えた人は 54%
- ほかの 5 か国について同じ形の調査は見つかっていないので、数字をそのまま当てはめない
半数を超えるのですね。うちの現地法人の名前で検索すると何が出てくるのか、気になってきました。
一度、現地の言葉と現地法人の正式な社名で検索してみてください。設立したばかりの現地法人は、求人票のほかに読めるページがほとんど出てこない場合があります。日本本社のサイトが出てきても、日本語と英語だけだと、読める候補者は限られます。
日本で採用するときは、社名を検索されて困ったことがありませんでした。
日本では、会社のサイト、ニュース記事、就職情報サイトの企業ページが日本語でそろっています。候補者はそこから事業の中身や規模をつかめます。現地では、その積み重ねがまだありません。日本との違いは、求人を出した時点で、現地語の検索結果にほとんど何もないことです。
なるほど。求人より先に、検索結果を用意しておく必要があるのですね。では、何語で用意すればいいのでしょうか。
6 か国の言語と、候補者が社名を調べるときの言葉
採用したいのは現地のスタッフです。会社の情報は英語で出しておけば足りますか?
国と職種によります。JETRO が国ごとに公開している基本情報から言語を並べると、次の表になります。
| 国 | 言語 (JETRO の記載) | 採用向けの情報を出す言語の目安 |
|---|---|---|
| インドネシア | インドネシア語 | インドネシア語 |
| ベトナム | ベトナム語、ほかに少数民族語 (公用語はベトナム語) | ベトナム語 |
| タイ | タイ語 | タイ語 |
| マレーシア | マレー語、英語、中国語、タミル語 (公用語はマレー語) | 英語から始め、職種に合わせて足す |
| フィリピン | フィリピノ語、英語、セブアノ語など (公用語はフィリピノ語と英語) | 英語 |
| シンガポール | 公用語は英語、中国語 (北京語)、マレー語、タミル語 (国語はマレー語) | 英語 |
インドネシア、ベトナム、タイは、言語の欄に英語がありませんね。
はい。この 3 か国で工場のライン、店舗、営業、事務といった職種を募集するなら、候補者が読むのは現地語だと考えて準備してください。英語で募集する管理職の場合は、英語の情報でも読んでもらえます。ただ、現地語の情報もあれば、読める人の範囲が広がります。
フィリピンとシンガポールは英語でいいのですね。
公用語に英語が入っているので、英語で始められます。マレーシアは言語が 4 つ挙がっているので、まず英語で出し、募集する職種や地域に合わせて足していくのが現実的です。言語の決め方は東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番で詳しく扱っています。
言語は分かりました。次は、その言葉で何を出すかですね。
採用を始める前に出せる発表の題材
現地語のニュース記事が検索に出るとよい、というのは分かります。ただ、採用しか予定がない会社に、発表できる話題はあるのでしょうか?
あります。採用を始めるということは、その前に拠点を作ったり、事業を広げたりしているはずです。拠点の開設、事業計画、雇用の予定の 3 つは、採用の前に出せる題材です。
| 題材 | 候補者が読み取れること | 書く前に社内で確かめること |
|---|---|---|
| 拠点の開設 (現地法人、工場、店舗、事務所) | どこにあり、何をする会社か | 所在地の表記、開設日、現地法人の正式な社名 |
| 事業計画 (生産品目、扱う商品、進出の理由) | この国で何を続けていく会社か | 本社がすでに公表している内容と一致しているか |
| 雇用の予定 (採用を始める時期、職種の方向性) | 自分に関係する仕事があるか | 人数や時期を社外に出してよいか |
求人広告と何が違うのですか。どちらも「人を募集します」という話に見えます。
書き手が違います。求人広告は、会社が自分で書いた募集です。ニュース記事は、媒体が会社の発表をもとに載せたものです。候補者から見ると、会社自身の説明とは別の場所に、その会社の名前が出ていることになります。現地語のニュース記事が検索結果にあれば、候補者はその会社がどこで何をしているのかを、自分の言葉で確かめられます。
会社案内のページを現地語で作るのとは、別の役割ということですか。
別です。自社のページは、詳しい情報を置く場所です。ニュース記事は、社名を検索したときに自社以外の場所にも名前が出ている状態を作ります。両方あると、候補者は記事で会社を知り、自社のページで詳しく読めます。
発表に入れておくと、候補者が判断しやすい情報
- 現地法人の正式な社名と、現地語での表記
- 拠点の所在地 (市や工業団地の名前まで)
- この国で何を作り、何を売るのか
- 日本本社の概要 (設立年、事業内容など、すでに公表しているもの)
- 採用を始める時期と、職種の方向性
雇用人数や給与の水準も書いたほうが、応募につながりそうです。
書きたくなる項目ですが、そこは慎重に決めてください。発表は記事になって残るので、あとで計画が変わっても検索結果に出続けます。日本企業が止まりやすい点を挙げておきます。
雇用について書くときに止まりやすい点
- 本社が公表していない採用人数や投資額を、現地の発表にだけ書いてしまう
- 採用人数を言い切って発表し、計画が変わったあとも記事が残る
- 給与や待遇を発表に書き、求人票の条件と食い違う
- 現地語に訳した社名や役職名が、登記や名刺の表記と違っている
- 雇用条件の書き方の決まりは国によって違う。条件に触れる場合は、現地の人事担当や専門家に確かめる
給与や待遇は求人票に任せて、発表には会社と事業のことを書く、という分け方ですね。
その理解で合っています。工場の発表で取引先向けと求職者向けをどう書き分けるかは、ベトナム工場の稼働開始を知らせるプレスリリース|取引先と求職者への書き分け方が参考になります。次は、求人を出す日に間に合わせる順番を見ていきましょう。
求人を出す日から逆算する手順
うちはもう求人を出してしまっています。今から発表しても遅いですか?
遅くはありません。募集は続きますし、次の採用もあります。これから採用を始める拠点なら、求人を出す前に発表を済ませておくと、候補者が検索する時点で記事がそろいます。順番にするとこうなります。
手順
現地法人の正式な社名と現地語の表記で検索し、今の検索結果を記録する
採用したい職種と、その候補者が読む言語を決める
題材を 1 つ選ぶ。拠点の開設、事業計画、雇用の予定のうち、公表できる内容がそろっているものにする
日本語の原稿を作り、本社の公表内容と数字を照合してから現地語にする
発表を出し、掲載された記事の媒体名と URL を一覧にする
採用ページと、面接で渡す会社紹介の資料に掲載記事を載せてから、求人を出す
最初に検索結果を記録するのはなぜですか。
発表の前後を比べるためです。記録がないと、発表のあとに何が変わったのかを社内に説明できません。検索した日、検索した言葉、出てきたページを控えておくだけで足ります。
発表から求人まで、どのくらい空ければいいのでしょうか。
決まった日数はありません。記事が載るまでの速さは発表の方法や媒体で変わりますし、社内の確認にかかる日数も会社によって違います。掲載記事の一覧が手元にそろってから求人を出す、という順番を守れば足ります。配信日を決めるときは、その国の祝祭日も確かめてください。
日数ではなく、順番で決めるのですね。
はい。順番が決まったら、あとは求人媒体とどう組み合わせるかです。
求人媒体と情報発信の使い分け
発表を出すなら、求人サイトへの掲載は減らしてもいいのでしょうか?
減らさないでください。役割が違います。求人媒体は仕事を探している人に募集を見せる場所で、発表は社名を検索した人に会社を説明する材料です。発表だけでは募集していることが伝わりませんし、求人だけでは会社のことが分かりません。
| 手段 | 役割 | 候補者に伝わること | 単独だと足りない点 |
|---|---|---|---|
| 求人媒体 | 仕事を探している人に募集を見せる | 職種、勤務地、条件 | 会社そのものの説明が短い |
| 自社の採用ページ | 詳しい情報を置く | 事業内容、働く環境、応募方法 | 社名を知らない人は訪れない |
| 現地メディアへの発表 | 検索結果に媒体の記事を残す | 拠点、事業、会社の概要 | 募集の条件は伝わらない |
3 つを組み合わせて使うわけですね。発表を現地メディアに届ける方法には、何がありますか?
3 つあります。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。
| 手段 | 向いている場合 | 採用に使うときに確かめる点 |
|---|---|---|
| 自社で直接送る | 現地に広報を任せられる人がいて、記者の連絡先がある | 現地語の原稿を自社で用意できるか |
| 配信サービスを使う | 現地に広報担当がおらず、まず 1 本出したい | 掲載された記事の URL を受け取れるか、対応言語は何か |
| PR 会社に委託する | 採用のほかにも継続して発信し、取材対応まで任せたい | 契約の期間と、依頼できる範囲 |
うちの拠点には広報がいません。配信サービスだと、どこまで任せられるのでしょうか。
サービスによります。たとえば海外PR.jp は、1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別)、どの国でも 10 媒体以上への掲載を保証していて、掲載された媒体名と URL の一覧がレポートで届きます。レポートを見られるのは、配信から 5 営業日が目安です。
その URL の一覧を、採用ページや面接の資料に使えるのですか。
使えます。採用ページに掲載メディアの欄を作って記事へのリンクを並べたり、面接で渡す会社紹介に媒体名と記事へのリンクを載せたりする使い方です。記事の本文を丸ごと写すのではなく、媒体名とリンクを載せる形にしてください。翻訳オプションは英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の 4 言語で、1 言語 20,000 円 (税別) です。1 か国に 1 言語で出すなら、合わせて 70,000 円 (税別) になります。時期によってキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。
記事が載れば、応募は増えますか?
そこは約束できません。応募の数は、条件や職種、募集の時期にも左右されます。どの媒体に載るかも、事前には決まりません。掲載記事でできるのは、候補者が社名を検索したときに、現地語で読める材料を増やすことまでです。
期待しすぎず、候補者が確かめる材料として使うのですね。
はい。どの手段を選ぶ場合も、先に決めるのは「どの職種の候補者に、何語で、何を伝えるか」です。最後に、今日の内容を表にまとめておきます。
採用の段階ごとのまとめ
拠点長に報告したいので、段階ごとに一覧にしてもらえますか。
採用の段階ごとにまとめました。各国の言語や基本情報は更新されるので、計画を立てるときに JETRO の最新の記載を確認してください。
| 段階 | 先にやること | 確認先 |
|---|---|---|
| 採用を始める前 | 社名を現地語で検索し、結果を記録する | 自社の検索結果 |
| 採用難の調査 | 日系企業への調査で、ベトナムの採用難の数字が示されている | https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2026/21fcf2689cf256b0.html |
| 言語を決める | 候補者が読む言語を国ごとに確かめる | https://www.jetro.go.jp/world/asia/ (JETRO 国・地域別情報) |
| 題材を決める | 拠点の開設、事業計画、雇用の予定から、公表できるものを選ぶ | 本社の公表資料 |
| 発表を出したあと | 掲載記事の媒体名と URL を一覧にし、採用ページと面接資料に載せる | 掲載の報告、掲載レポート |
| 求人を出す | 求人票の条件と発表の内容が食い違っていないか照合する | 求人票、現地の人事担当 |
ありがとうございます。あわせて読んでおくとよい記事はありますか?
発表を出したのに記事にならなかった場合の点検は、海外プレスリリースが掲載されない理由|東南アジアで点検する 3 つの原因にまとめています。社名を知ってもらうための記事は、現地での認知づくりから探せます。
よくある質問
いくつか細かい質問をさせてください。現地語の採用ページを作れば、ニュース記事は要りませんか?
役割が違うので、両方あるほうが候補者は確かめやすくなります。採用ページは詳しい情報を置く場所で、ニュース記事は自社以外の場所に社名が出ている状態を作ります。先にどちらかを選ぶなら、応募方法を載せられる採用ページを先に用意してください。
採用人数がまだ決まっていなくても、発表は出せますか?
出せます。拠点の開設や事業の内容だけでも発表になります。人数は、社外に出してよいと決まってから書けば足ります。採用を始める時期と職種の方向性だけを書く方法もあります。
日本本社の知名度は、現地の採用に役立たないのでしょうか?
役立つ場合はあります。ただ、候補者が現地語で検索して確かめられなければ、伝わりません。本社の設立年や事業内容など、すでに公表している概要を現地語の発表に入れておくと、本社の情報も候補者に届きます。
複数の国で同時に採用する場合は、どう進めればいいですか?
国ごとに候補者が読む言語が違うので、発表も国ごとに用意します。配信サービスを使う場合、費用のかかり方はサービスによって違うので、申し込む前に確かめてください。一度に進めるのが難しければ、採用する人数が多い国から始める方法があります。
参考にした公開情報
- JETRO 地域・分析レポート「業績や事業拡大意欲は好調継続、採用難の課題感は高まる(ベトナム)」2026年2月13日
- JETRO 地域・分析レポート「25年度日系企業調査(前編)6割超が黒字、販売・供給網を強化(ASEAN)」2026年3月25日
- The Edge「Hiring woes largely due to lack of online presence, suggests survey」(求人サイト運営会社がシンガポールで 2018 年 4 月に実施した調査の報道)
- HRD Asia「This may be ruining your recruitment drive」2018年7月6日 (同じ調査の報道)
- JETRO インドネシア 概況・基本統計
- JETRO ベトナム 概況・基本統計
- JETRO タイ 概況・基本統計
- JETRO マレーシア 概況・基本統計
- JETRO フィリピン 概況・基本統計
- JETRO シンガポール 概況・基本統計
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
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