ASEAN PR トーク

東南アジア共通費用・稟議・効果報告

海外 PR の稟議と予算の通し方|東南アジア向け起案書に書く 4 項目

公開 更新 約 6.5 千字

田中海外事業担当
竹内東南アジア向けPR担当
田中田中
東南アジア向けに海外 PR の予算を初めて申請したのですが、部長から「効果が見えないものに予算は出せない」と言われて、稟議が止まっています。何を書き足せば通るんでしょうか?
竹内竹内
「効果が見えない」という言葉は、PR そのものへの反対ではなく、起案書から判断の材料が読み取れないという意味で言われている場合があります。足すのは説得の文章ではなく、目的、成果物、費用、始める範囲の 4 つです。
田中田中
効果を数字で約束しろ、という話かと思っていました。
竹内竹内
売上や問い合わせの件数は約束しなくて構いません。今日は、起案の時点で書けることと書けないことを分けて、4 項目を順に埋めていきましょう。

海外 PR の稟議が止まる理由

海外 PR の起案書に先に書く目的・成果物・費用・始める範囲の 4 項目
海外 PR の起案書に先に書く目的・成果物・費用・始める範囲の 4 項目
田中田中
まず、なぜ止まるのかを知りたいです。国内の広告の予算は、同じ部長がすんなり通してくれるんです。
竹内竹内
国内の広告は、出す媒体、掲載日、金額が申込の前に決まっていて、決裁する人は「何にいくら払うか」を読めば判断できます。海外 PR の起案書は、そこが空欄になりやすいんです。目的が「認知向上」とだけ書かれ、成果は「掲載を目指す」、費用は「見積もり中」となっていると、決裁する人は何を承認するのかが分かりません。
田中田中
まさにその 3 つを書いていました。
竹内竹内
書き方が悪いのではありません。海外 PR は国・言語・手段の組み合わせで中身が変わるので、決めないまま書くと空欄が残ります。決裁する人の問いと、起案書に書いておくことを並べるとこうなります。
決裁する人の問い止まりやすい書き方起案書に書いておくこと
何のためにやるのか認知向上、ブランド強化目的を 1 つ (代理店開拓 / 採用 / 出店告知) と、届けたい相手
何が手に入るのか掲載を目指す、反響を期待成果物 (掲載媒体数、掲載 URL の一覧)
いくらかかるのか見積もり中、概算確定した金額と、その内訳
結果が出なかったらどうするか記載なし1 か国・1 回から始め、結果を見て次を判断する案
田中田中
4 行とも、私の起案書では右の列が埋まっていません。上から順に、まず目的ですね。

目的を 1 つに絞る|代理店開拓・採用・出店告知

田中田中
目的は「東南アジアでの認知向上」と書きました。これでは足りないんですか?
竹内竹内
広すぎます。誰に知ってもらうのかが決まらないと、出す国も、原稿の中身も、成果の確かめ方も決まりません。目的は「誰に、何を知ってもらうか」を 1 文で言えるものを 1 つだけ選びます。ここでは、代理店開拓、採用、出店告知の 3 つを例にします。
目的届けたい相手掲載された後の使い道
代理店開拓代理店・販売店の候補掲載 URL を商談の資料や提案メールに載せる
採用現地の求職者掲載 URL を求人ページや会社説明の資料に載せる
出店告知店舗の周辺に住む人、働く人掲載 URL を店舗の SNS や案内に載せる
田中田中
3 つとも当てはまる場合は、全部書いたほうが得に見えます。
竹内竹内
全部書くと、成果を確かめる方法も 3 通り要ります。今回扱う目的を 1 つ決めて、残りは「次回以降」と書けば十分です。
田中田中
決裁者に「なぜその目的なのか」を聞かれたら、何を根拠にすればいいですか?
竹内竹内
自社の事情がいちばんの根拠ですが、公的な調査を添える方法もあります。たとえば代理店開拓なら、中小機構が中小企業に行ったアンケートが使えます。海外展開をしている企業に実現できた要因を聞いた設問では、「信頼できる現地パートナーの開拓」を挙げた企業が 54.9% で最も高く、課題を聞いた設問でも「信頼できる現地パートナーの開拓ができない」が 31.9% でした。
目的の根拠に添えられる調査の数字
  • 出典は中小企業基盤整備機構「中小企業の海外展開に関する調査 (2024 年)」。全国の中小企業者等 1,000 を対象にした Web アンケート
  • 海外展開を実現できた要因 (海外展開を行っている企業、n=133、複数回答) は、「信頼できる現地パートナーの開拓」が 54.9% で最も高い
  • 海外展開における課題 (海外展開を行っている・予定がある・関心がある企業、n=310、複数回答) は、「信頼できる現地パートナーの開拓ができない」が 31.9%
  • 海外展開の全体についての調査で、東南アジアに限った数字ではない
田中田中
パートナー探しを課題に挙げる企業が 3 割ほどあるなら、代理店候補に向けた発信は説明しやすいですね。
竹内竹内
はい。ただし、この数字は「PR をすれば代理店が見つかる」ことを示すものではありません。背景の説明として使ってください。
田中田中
分かりました。目的が決まったら、次は成果の書き方ですね。

成果物を先に定義する|掲載媒体数と掲載 URL

田中田中
「効果」をどう書くかが、いちばん悩んでいるところです。売上の見込みを書くべきでしょうか?
竹内竹内
売上は書かないほうがいいです。1 回の発表と売上のあいだには、商談、価格、在庫など PR の外にある要素があり、起案の時点で数字を約束できません。代わりに、実施すれば手元に残るものを「成果物」として先に定義します。プレスリリースの配信なら、掲載された媒体の数と、掲載記事の URL の一覧です。
田中田中
掲載の数は「効果」と呼べるんでしょうか。部長には「載っただけだろう」と言われそうです。
竹内竹内
そこは起案書の中で分けて書きます。広報の効果測定には、業界団体がまとめた「バルセロナ原則」という考え方があります。目標の設定を測定の前提とし、アウトプット、アウトカム、想定される影響を分けて捉える、という内容です。この記事の言い方に直すと、掲載媒体数と掲載 URL が「実施した結果」、掲載 URL を商談資料に載せた後の相手の反応が「起きた変化」にあたります。
田中田中
起案の時点で約束するのは「実施した結果」だけ、という理解でいいですか?
竹内竹内
その理解で合っています。約束するのは成果物、確かめるのは変化と書き分けます。変化のほうは、「掲載 URL を載せた提案メールを代理店候補に送り、返信の有無を記録する」のように、何を見て確かめるかだけを書きます。
成果物の欄に書くこと、書かないこと
  • 書く: 掲載媒体数の目標 (◯ 媒体以上)、掲載 URL の一覧、報告の時期
  • 書く: 掲載 URL の使い道 (商談資料、求人ページ、店舗の案内などから 1 つ)
  • 書かない: 売上、問い合わせ件数、代理店の契約数など、PR だけでは決まらない数字の約束
  • 分けて書く: 掲載の後に確かめる変化は「確認する項目」として別の欄に置く
田中田中
ただ、媒体数の目標を書いて、実際には載らなかったら困ります。
竹内竹内
そこが海外 PR の起案で書きにくいところです。リリースを送っても、載せるかどうかは媒体が決めるので、一般には掲載数を事前に約束できません。掲載数を起案書に書けるかどうかは、選ぶ手段で変わります。手段の比べ方は後の章で扱うので、先に費用を片づけましょう。

予算の欄に確定した金額を書く|国と言語で変わる費用

田中田中
費用は「見積もり中」と書いて出しました。金額が決まっていないと、稟議は通りにくいですか?
竹内竹内
通りにくいです。金額が後から変わると、起案をやり直す場合があります。起案の前に、国と言語を決めて金額を確定させてください。海外 PR の費用は、どの国に出すか、何語で出すかで変わります。
田中田中
言語でも変わるんですか。日本ではリリースは日本語 1 本で済むので、考えていませんでした。
竹内竹内
日本との違いはそこです。東南アジア 6 か国は公用語がそれぞれ違い、英語が公用語に入っている国と、入っていない国があります。JETRO の資料をもとに、起案書の費目で確かめる点を並べます。
国言語・公用語 (JETRO の記載)起案書の費目で確かめること
インドネシアインドネシア語インドネシア語への翻訳費
ベトナムベトナム語、ほかに少数民族語 (公用語はベトナム語)ベトナム語への翻訳費
タイタイ語タイ語への翻訳費
マレーシアマレー語、英語、中国語、タミル語 (公用語はマレー語)英語で出すか、ほかの言語を足すか
フィリピンフィリピノ語、英語、セブアノ語など (公用語はフィリピノ語と英語)英語の原稿を用意する費用
シンガポール公用語は英語、中国語 (北京語)、マレー語、タミル語 (国語はマレー語)英語の原稿を用意する費用
田中田中
国を決めないと、翻訳費が要るかどうかも決まらないわけですね。
竹内竹内
そうです。費用の欄は、配信の費用、翻訳の費用、原稿を作る社内の作業、の 3 つに分けて書くと、決裁する人が内訳を追えます。社内の作業は、誰が何をするかを 1 行書いておきます。
費用の欄で止まりやすい書き方
  • 「一式」「概算」とだけ書き、配信と翻訳の内訳が分からない
  • 国を決めておらず、翻訳の要否が決まっていない
  • 成果物 (掲載媒体数、URL の一覧) の報告が費用に含まれるのか、別料金なのかを確かめていない
田中田中
見積もりを待っているうちに、発表したい日が近づいてしまったことがあります。
竹内竹内
見積もりが要る手段なら早めに依頼し、料金表が公開されている手段ならその金額を書きます。どちらの場合も、金額が確定してから起案する順番にしてください。次は、その金額を小さくする方法です。

小さく 1 か国から始める案の書き方

目的と国を 1 つずつ決めて 1 回実施し、結果を報告して次を判断する流れ
目的と国を 1 つずつ決めて 1 回実施し、結果を報告して次を判断する流れ
田中田中
6 か国すべてに出す案を書いたのですが、金額が大きくなって、そこでも止まりました。
竹内竹内
初めての申請なら、1 か国・1 回の案に絞る書き方があります。金額が小さくなり、「この 1 回で何が分かるか」も書けます。決裁する人から見ると、次を判断するための材料を得る案になります。
田中田中
どの国から始めるかは、どう決めればいいですか?
竹内竹内
目的から決めます。代理店開拓なら商談が進んでいる国、採用なら拠点がある国、出店告知なら店を開く国です。市場の大きさで選ぶより、掲載 URL をすぐ使う場面がある国を選ぶと、実施後の報告が書きやすくなります。
手順

目的を 1 つ決め、届けたい相手を 1 文で書く

国を 1 つ決め、その国の公用語から翻訳の要否を確かめる

成果物を書く。掲載媒体数の目標と、掲載 URL の一覧を報告書に付けること

手段を選び、金額を確定させる。配信と翻訳の内訳を分け、合計が税別か税込かをあわせて書く

実施後に確かめる項目を書く。掲載 URL の使い道と、記録する相手の反応

次の判断を書く。結果を報告したうえで、2 か国目に進むか、同じ国でもう 1 回出すか、ここでやめるかを決める

田中田中
最後の「次の判断」まで起案書に書くんですね。
竹内竹内
はい。1 回で終わる案なのか、続ける前提の試行なのかが分かると、決裁する人は金額の上限を見通せます。「結果を見てやめる」という選択肢も自分から書いておきます。
田中田中
残るのは、どの手段を選ぶかですね。

手段の比較|成果物と費用を起案時に書けるか

田中田中
現地メディアに発表を届ける手段には、どんな選択肢がありますか?
竹内竹内
自社で現地の媒体に直接送る、配信サービスを使う、PR 会社に委託する、の 3 つです。稟議の観点では、成果物と費用を起案の時点で書けるかで比べます。
手段費用の決まり方成果物を起案時に書けるか
自社で直接送る外部への支払いは翻訳費など。送り先の調査や掲載の確認に社内の作業時間がかかる載せるかどうかは媒体の判断なので、掲載数は約束しにくい
配信サービスを使う料金表が公開されていれば、起案の時点で金額を書ける掲載数の保証と報告の有無はサービスによる。申込の前に確かめる
PR 会社に委託する依頼の範囲で変わるので、見積もりを取って確かめる契約の内容による。報告の形式を見積もりの段階で確かめる
田中田中
配信サービスなら、掲載数を起案書に書けるものがあるんですか?
竹内竹内
サービスによります。このメディアを運営している海外PR.jp の場合は、東南アジア 6 か国のどの国でも 10 媒体以上の掲載を保証していて、掲載メディア名と URL の一覧がレポートで届きます。レポートは配信から 5 営業日が目安です。成果物の欄に「10 媒体以上、掲載 URL の一覧を報告」と書ける、ということです。
田中田中
費用のほうはどうなりますか?
竹内竹内
配信は 1 か国・1 配信で 50,000 円 (税別) の一律で、国による価格差がなく、見積もりも要りません。翻訳は 1 言語 20,000 円 (税別) のオプションで、英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の 4 言語です。1 か国に 1 言語で出す場合、合わせて 70,000 円 (税別) になります。時期によりキャンペーン価格の場合があるので、起案書に書く金額は公式サイトで確かめてください。
田中田中
国を増やすときの金額は、どう考えればいいですか?
竹内竹内
配信は国の数、翻訳は言語の数だけかかる仕組みです。正確な金額は公式サイトか相談で確認してください。支払いは請求書払いです。保証の対象は掲載される媒体の数で、どの媒体に載るかや、掲載の後に商談や応募が増えるかどうかは約束されていません。起案書でも、そこは分けて書いてください。
田中田中
手段で書ける範囲が違うんですね。最後に、全体を 1 枚にまとめたいです。

海外 PR の稟議・予算の起案書に書く項目のまとめ

田中田中
起案書の欄ごとに、書くことを並べてもらえますか?
起案書の欄書くこと確認先
目的代理店開拓、採用、出店告知などから 1 つ。届けたい相手を 1 文で社内の事業計画
背景目的を選んだ理由。調査を添えるときは調査名、年、対象を書くhttps://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/
対象国と言語1 か国。その国の公用語と翻訳の要否https://www.jetro.go.jp/world/asia/
成果物掲載媒体数の目標、掲載 URL の一覧、報告の時期利用する手段の公式サイト、契約書
費用配信と翻訳の内訳、合計、税別か税込か利用する手段の料金表、見積書
実施後の確認と次の判断掲載 URL の使い道、記録する相手の反応、続けるかどうかを決める時期自社の営業・採用の担当者、決裁者
竹内竹内
調査の数字、各国の言語の情報、サービスの料金や条件は変わることがあります。起案の前に、最新の内容を公式サイトで確認してください。
田中田中
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よくある質問

田中田中
細かい質問をいくつかさせてください。稟議で「費用対効果を数字で示せ」と言われたら、どう答えればいいですか?
竹内竹内
費用に対して手元に残るものを数字で示します。金額、掲載媒体数の目標、掲載 URL の件数です。売上への影響は起案の時点では書かず、実施後に確かめる項目として分けておきます。
田中田中
英語の原稿 1 本で 6 か国分の予算を組んでもいいですか?
竹内竹内
組めますが、インドネシア、ベトナム、タイは公用語に英語が入っていません。届けたい相手が現地語でニュースを読む人なら、翻訳費を見込んでください。フィリピンとシンガポールは英語が公用語に入っています。
田中田中
実施後の報告書には何を書けばいいですか?
竹内竹内
起案書と同じ順番で書きます。掲載媒体数、掲載 URL の一覧、かかった費用、掲載 URL を何に使ったか、相手の反応の記録、次にどうするかの提案です。項目をそろえると、決裁した人が約束と結果を見比べられます。

執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。

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