東南アジア共通リリースの書き方・翻訳
東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番
公開 更新 約 5 千字
東南アジアの販売を担当することになって、まず現地向けにプレスリリースを出そうと考えています。本社の英語版が 1 本あるので、それを 6 か国にそのまま配信するつもりなんですが、問題ありますか?
出せなくはないんですが、英語 1 本で 6 か国すべてに同じように届くわけではありません。国によって、公用語に英語が入っている国と入っていない国があるからです。
東南アジアはどこも英語が通じる、という印象でした。
商談の場ではそう感じることが多いと思います。ただ、商談相手が英語を話せることと、その国のニュースが何語で書かれているかは別の話です。今日は国ごとの公用語を確認して、どの国を英語で、どの国を現地語で出すかを決めるところまで進めましょう。
6 か国の公用語を並べてみる
まず前提を教えてください。6 か国それぞれ、公用語は何語なんですか?
JETRO が国ごとに出している基本情報を並べると、次の表になります。
| 国 | 言語・公用語 (JETRO の記載) | 英語の位置づけ |
|---|---|---|
| インドネシア | インドネシア語 | 記載なし |
| ベトナム | ベトナム語、ほかに少数民族語 (公用語はベトナム語) | 記載なし |
| タイ | タイ語 | 記載なし |
| マレーシア | マレー語、英語、中国語、タミル語 (公用語はマレー語) | 使われる言語のひとつ |
| フィリピン | フィリピノ語、英語、セブアノ語など (公用語はフィリピノ語と英語) | 公用語 |
| シンガポール | 公用語は英語、中国語 (北京語)、マレー語、タミル語 (国語はマレー語) | 公用語 |
こうして見ると、きれいに分かれますね。英語が公用語に入っているのはフィリピンとシンガポールだけですか。
そうです。公用語に英語が入っているのはフィリピンとシンガポールの 2 か国で、マレーシアは公用語こそマレー語ですが、使われる言語として英語が挙がっています。残りのインドネシア、ベトナム、タイは、言語の欄に英語が出てきません。
6 か国のうち半分は、英語が前提になっていないんですね。
はい。ここが出発点です。次に、この違いをリリースの言語にどう当てはめるかを見ていきます。
英語で出せる国と、現地語が前提になる国
では、英語のリリースをそのまま使っていい国はどこですか?
目安としては、フィリピンとシンガポールは英語で出す、マレーシアは英語から始める、という分け方になります。公用語か、少なくとも日常的に使われる言語に英語が入っているので、英語の原稿をそのまま読める読者と媒体がある、と考えられるからです。
インドネシア、ベトナム、タイは?
この 3 か国は現地語で出すのを基本にしてください。言語として挙がっているのは、それぞれインドネシア語、ベトナム語、タイ語で、英語は挙がっていません。現地の人が普段読むニュースも、その国の言葉で書かれていると考えるのが自然です。
英語のまま出したら、まったく載らないんでしょうか。
まったく載らないとは言い切れません。英語で発信している媒体もあります。ただ、英語の媒体だけに載っても、届く相手が限られます。代理店の担当者や採用の候補者が自分の国の言葉で社名を検索したときに、何も出てこない状態は変わりません。
| 分け方 | 国 | 出す言語の目安 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 英語で出す | フィリピン、シンガポール | 英語 | 英語が公用語に入っている |
| 英語から始める | マレーシア | 英語 (相手によりマレー語・中国語を検討) | 公用語はマレー語だが、英語も使われている |
| 現地語で出す | インドネシア、ベトナム、タイ | インドネシア語、ベトナム語、タイ語 | 言語の欄が現地語で、英語が挙がっていない |
言語を決めるときの考え方
- 商談で英語が通じるかどうかではなく、届けたい相手が普段ニュースを読む言語で決める
- 公用語に英語が入っている国 (フィリピン、シンガポール) は英語で出せる
- 言語の欄に英語が挙がっていない国 (インドネシア、ベトナム、タイ) は現地語を基本にする
- マレーシアは英語で始め、届けたい相手に合わせて言語を足す
マレーシアだけ少し扱いが違うのはなぜですか?
言語が 4 つ並んでいるからです。企業の購買担当に届けたいのか、一般の消費者に届けたいのか、どの地域の人に届けたいのかで、向く言語が変わります。最初から全部そろえるのは負担が大きいので、まず英語で出して、反応を見てから足すほうが現実的です。
なるほど。となると、現地語の原稿をどう用意するかが次の問題ですね。
現地語の原稿を用意する 3 つの方法
うちにはインドネシア語やタイ語が分かる社員がいません。現地語の原稿はどうやって作ればいいんでしょう?
方法は大きく 3 つあります。現地の拠点や代理店に書いてもらう、翻訳会社に頼む、配信サービスの翻訳オプションを使う、のどれかです。
| 方法 | 向いている場合 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 現地拠点・代理店に書いてもらう | 現地に広報を任せられる人がいる | 本社の発表内容とずれないよう、数字と固有名詞を照合する |
| 翻訳会社に頼む | 契約書など他の翻訳も頼んでいる | 報道向けの文体に慣れているかを確認する |
| 配信サービスの翻訳オプションを使う | 翻訳と配信を一度に済ませたい | 対応している言語を先に確認する |
機械翻訳にかけて、そのまま出すのはどうですか。費用はかかりませんし。
下書きとして使うのは構いません。ただ、そのまま配信するのは避けたほうがいいです。確認できる人がいないまま出すと、間違いがあっても気づけないからです。
機械翻訳をそのまま配信する前に
- 社名・商品名・人名の表記が、現地で実際に使っている表記と合っているか
- 金額、日付、数量の桁や単位が原文と一致しているか
- 日本語の原稿で主語を省いた文が、別の意味に訳されていないか
- 現地語を読める人が、配信前に一度は目を通しているか
日本語は主語を省きますからね。翻訳する前の原稿から直す必要がありそうです。
そのとおりです。翻訳に出す前に、日本語の段階で主語を補い、社内用語を一般的な言葉に置き換えておくと、どの方法を選んでも仕上がりが安定します。ここまでで材料がそろったので、最初の 1 本をどう決めるかに進みましょう。
最初の 1 本を決める手順
6 か国すべてに一度に出すのは予算的に難しいです。どこから手を付ければいいですか?
国の数ではなく、届けたい相手から決めます。拠点がある国、商談中の相手がいる国、採用を始める国。そこが最初の 1 か国です。順番にすると次のようになります。
手順
届けたい相手を 1 つに絞る。代理店候補なのか、採用の候補者なのか、来店してほしい消費者なのかを決める
その相手がいる国を 1 つ選ぶ。拠点や商談がある国を優先する
その国の公用語を確認する。英語が公用語に入っていれば英語、入っていなければ現地語にする
日本語の原稿を直す。主語を補い、その国で発表する理由を最初の段落に書く
翻訳の方法を決め、現地語を読める人の確認を入れてから配信する
最初から 6 か国分の原稿を作らなくていいと分かって、少し気が楽になりました。
1 か国で一度やってみると、原稿の直し方や社内の確認にかかる日数が分かります。2 か国目からは、その経験をそのまま使えます。
2 か国目を選ぶときの目安
- 同じ言語で出せる国を次に選ぶと、原稿を作り直さずに済む (英語ならフィリピンとシンガポール)
- 現地語が要る国を足すときは、言語が 1 つ増えるごとに翻訳と確認の手間も 1 回分増える
- 展示会や拠点開設など、日付が決まっている予定がある国を先にする
言語が増えるほど手間も費用も増える、という前提で計画するわけですね。実際に配信する手段にはどんな選択肢がありますか?
配信する手段を比べる
原稿ができたとして、現地のメディアにはどうやって届けるんでしょうか。
手段は 3 つに分けられます。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。言語の面から比べるとこうなります。
| 手段 | 現地語の原稿 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自社で直接送る | 自社で用意する | 現地に広報担当がいて、記者の連絡先を持っている |
| 配信サービスを使う | サービスにより翻訳オプションがある | 現地に広報担当がおらず、まず 1 本出してみたい |
| PR 会社に委託する | 委託先が作ることが多い | 継続的に発信し、取材対応まで任せたい |
うちは現地に広報がいないので、配信サービスが近そうです。翻訳まで頼めるものはありますか?
たとえば海外PR.jp は、翻訳オプションが英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の 4 言語に対応しています。先ほどの分け方に当てはめると、現地語が前提の 3 か国と、英語で出す国の両方をまかなえる組み合わせです。
費用はどのくらいですか?
配信が 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別)、翻訳が 1 言語 20,000 円 (税別) です。1 か国に 1 言語で出すなら、合わせて 70,000 円 (税別) になります。どの国でも 10 媒体以上への掲載が保証され、掲載された媒体名と URL の一覧がレポートで届きます。時期によってキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。
国によって料金が変わらないなら、言語だけを基準に国を選べますね。
はい。どの手段を選ぶ場合も、先に決めるのは「誰に届けたいか」と「その人は何語で読むか」です。手段はそのあとで構いません。最後に、今日の内容を表にまとめておきます。
国別のまとめ
社内で共有したいので、国ごとに一覧にしてもらえますか。
公用語と、リリースを出す言語の目安、確認先をまとめました。計画を立てるときは、JETRO の最新の情報も見ておいてください。
| 国 | リリースを出す言語の目安 | 公式情報 (JETRO 概況・基本統計) |
|---|---|---|
| インドネシア | インドネシア語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/basic_01.html |
| ベトナム | ベトナム語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/basic_01.html |
| タイ | タイ語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/basic_01.html |
| マレーシア | 英語から始める | https://www.jetro.go.jp/world/asia/my/basic_01.html |
| フィリピン | 英語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/basic_01.html |
| シンガポール | 英語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/basic_01.html |
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原稿の直し方や配信日の決め方はリリースの書き方・翻訳に、国ごとの媒体の話は現地メディア事情にまとめていきます。
よくある質問
いくつか細かい質問をさせてください。英語と現地語の両方で出す必要はありますか?
最初の 1 本は、どちらか片方で構いません。インドネシア、ベトナム、タイなら現地語を優先し、英語版は自社サイトに載せておく、という分け方ができます。
マレーシアでマレー語や中国語のリリースを出したい場合はどうすればいいですか?
現地の拠点や代理店、翻訳会社に原稿を作ってもらう方法があります。配信サービスを使う場合は、その言語に対応しているかを申し込む前に確認してください。
日本語の原稿しかなくても、海外向けに配信できますか?
できます。日本語から現地語に翻訳する工程を入れれば配信できます。その場合も、翻訳に出す前に日本語の原稿で主語を補い、その国で発表する理由を最初の段落に書いておくと、訳したあとの直しが減ります。
シンガポールで英語のリリースを出せば、周りの国にも届きますか?
シンガポールの読者には届きますが、周りの国に同じように届くとは考えないほうがいいです。インドネシア、ベトナム、タイは言語の欄に英語が挙がっていないので、その国で知ってもらいたいなら、その国の言葉で別に出す計画を立ててください。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
本記事は各国の公的機関などの公開情報をもとに作成しています。各国のメディア事情・制度・祝祭日は変わることがあるため、 実施の前に最新の情報を確認してください。