シンガポール統括会社の設立を現地で発表する方法|発表に入れる情報と順番
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シンガポールに地域統括会社を設立しました。登記も済んで、オフィスも決まっています。ただ、現地の取引先や銀行、採用候補の方は、うちがシンガポールに拠点を置いたことをまだ知りません。どう知らせればいいのか、見当がつかないんです。
設立の手続きが終わった段階で、発表が後回しになることがあります。登記は法律上の手続きで、登記しただけでは、相手は拠点ができたことを知りません。今日は、発表に入れる情報、英語で出すときの注意、本社の開示との順番までを決めましょう。
周辺の国への発信も気になっています。統括する国が複数あるので。
そこは別の計画として切り分けます。この記事ではシンガポール向けの発表に絞ります。周辺国への出し方は、最後に触れます。
現地で発表する相手と、その理由
そもそも、誰に向けて発表するものなんですか?
設立直後の拠点が現地で知らせたい相手は、おおむね 3 つに分けられます。取引先の候補、銀行などの金融機関、これから採用する人材です。どの相手も、会社名で検索して英語の情報が出てくるかどうかを見ます。
シンガポールは、日本企業の拠点が多い国だと聞きます。
そう言われています。投資誘致を担うシンガポール経済開発庁も、シンガポールはアジアで最も多くの日系企業の地域統括本部が置かれている、と紹介しています。これは誘致する側の見方なので、その点は割り引いて聞いてください。数字で言うと、JETRO の資料では、経営実態のある日系企業が 4,558 社あります。
4,558 社もあるんですね。
ただ、日系企業が多いということは、同じ立場の会社が現地にたくさんあるということでもあります。設立しました、とだけ書いた発表は目に留まりにくいと考えられるので、何の拠点で、誰に何ができるのかまで書く必要があります。
日本語が通じる相手だけに知らせるのでは足りない、ということですね。
はい。シンガポールの公用語は、英語、中国語 (北京語)、マレー語、タミル語の 4 つです。英語が公用語に入っているので、発表は英語で出すのが基本になります。では、その英語の原稿に何を入れるかを見ていきます。
発表に入れる情報
本社向けのリリースだと、設立日や資本金を書くことが多いです。現地向けも同じで足りますか?
設立日は書きますが、それだけでは足りません。現地の読み手が知りたいのは、この拠点で何ができて、誰に連絡すればいいのかです。入れる情報を表にまとめます。
| 情報 | 書くこと | 抜けやすい点 |
|---|---|---|
| 拠点の役割 | 統括、営業、調達、研究など、何を担う拠点か | 「統括」とだけ書いて中身が分からない |
| 管轄する国 | 担当する国の名前を具体的に | 「アジア全域」「周辺地域」と曖昧にする |
| 責任者 | 氏名、役職、前職や経歴の要点 | 日本の社名表記と英語の役職名がずれる |
| 事業内容 | 現地の顧客に提供する製品やサービス | 本社の事業説明をそのまま貼る |
| 形態と開始日 | 現地法人か支店か、業務の開始日 | 登記日と業務開始日を混ぜる |
発表の 1 文目に入れること
- 社名と拠点の名前を、登記上の表記で書く
- 場所 (シンガポール) と、拠点の役割を書く
- 業務を始める日付を書く
- 管轄する国は、国名を並べる
管轄する国を具体的に書く理由は何でしょう。
取引先も金融機関も、自分の国を担当してくれる拠点かどうかを確認したいからです。たとえば、ベトナムの代理店候補がシンガポールの発表を見たとき、ベトナムが管轄に入っているかどうかで、連絡するか決まります。国名が書かれていれば、その国の相手が自分に関係のある発表だと判断できます。
責任者の名前は、載せたほうがいいですか?
載せたほうが問い合わせ先がはっきりします。ただ、人事の発表時期や本人の意向があるので、社内で確認してからにしてください。名前を出さない場合も、問い合わせ窓口の部署名と連絡先は載せます。
現地法人か支店かも書くんですね。
設立の形によって、取引先が契約を結ぶ相手が変わるからです。なお、シンガポールの会社設立の制度は、手続きの段階で専門家の関与が必要なものがあります。たとえば会計企業規制庁 (ACRA) のページでは、外国会社の支店の登録について、現地に居住する認可代理人を置くことと、企業サービスプロバイダー (CSP) を通して登録することが説明されています。手続きの詳細は、このページと専門家に確認してください。
発表の側では、形態を正確に書くだけで足りますか?
はい。発表に書くのは結果の部分です。ここまでの内容を英語にするときに、日本語のまま訳すと伝わりにくくなる点があるので、次に見ます。
英語で出すときに、日本語直訳を避ける
日本語の原稿を翻訳に出せば、英語版はできあがりますよね。
翻訳はできますが、日本語の発表文の型をそのまま英語にすると、読み手が欲しい情報が後ろに回ります。日本語では「このたび」「弊社」「〜を図ってまいります」のような言い回しが定番ですが、英語にすると何が起きたのか分かりにくくなります。
| 日本語の原稿の癖 | 英語で起きること | 直し方の例 |
|---|---|---|
| 「このたび、弊社は〜」から始まる | 主語と日付が埋もれる | 社名と、設立した事実、日付を 1 文目に置く |
| 「アジア地域の事業を強化する」 | どの国か分からない | 管轄する国の名前を書く |
| 「発展に貢献してまいります」 | 約束の中身が見えない | 提供するものを具体的に書く |
| 日本の役職をそのまま直訳する | 権限の範囲が伝わらない | 英語の役職名を本社に確認して統一する |
役職の直訳は気づきませんでした。
「部長」「本部長」などは、英語に訳す定番が一つに決まりません。現地で名刺や登記に使う役職名があるはずなので、それに合わせます。社名の英語表記も、本社のサイトと登記上の名称が同じかを確認してください。
日本語の原稿を訳す前に確認すること
- 社名と拠点名の英語表記が、登記上の名称、本社のサイト、名刺で同じか
- 「アジア」「周辺地域」のような曖昧な言葉を、国名に置き換えたか
- 責任者の役職名を、英語で本社と現地が同じ表記にしたか
- 「業務開始日」と「登記の日付」を分けて書いているか
- 現地の拠点が提供する内容と、本社の事業説明が混ざっていないか
見出しや 1 文目で、拠点の名前と役割を言い切る形になるんですね。
はい。1 文目に、社名、場所、拠点の役割、日付が入っていれば、最後まで読まれなくても要点が伝わります。次は、本社の開示とこの現地発表をどの順で出すかです。
本社の開示と現地発表の順番
うちは上場しているので、本社側の開示もあります。現地での発表と、どちらが先ですか?
開示のルールは会社ごとに事情が違い、拠点の設立が開示の対象になるかどうかも一律ではありません。そこは私が決められないので、社内の開示担当に確認してください。そのうえで、現地発表を計画するときの考え方は共通して言えます。
考え方というと?
本社の開示と食い違う内容を、現地で先に出さないことです。同じ日付、同じ社名表記、同じ責任者名でそろえておけば、後から訂正を出す事態を避けられます。開示が不要と判断された会社でも、社内の広報部門と日付を合わせておくと安全です。
手順
社内の開示担当に、拠点設立の開示が必要か、必要なら時期と方法を確認する
本社の開示や社内外への案内の日付、社名の表記、責任者の氏名と役職を確定する
確定した内容をもとに、英語の発表文を現地向けに作る。日本語の直訳は避ける
現地で発表する日を決める。日本とシンガポールには時差があるため、どちらの日付で書くかを原稿に書いておく
発表後に、自社サイトの英語ページと問い合わせ窓口が、発表文と同じ内容になっているかを確認する
発表後の自社サイトまで見るんですね。
発表を見た人は、次に会社名で検索します。そのとき自社サイトの英語ページに拠点の情報がないと、せっかく知らせた内容が確認できません。ここは後回しになりやすい点です。
順番を決めるときの目安
- 開示が必要かどうか、いつ出すかは社内の開示担当に確認する
- 現地発表は、本社側の内容と日付、社名、役職がそろった後に出す
- 現地向けの原稿を先に作り始めてもよいが、公表は確定した内容に合わせる
- 自社サイトの英語ページは、発表と同じ日にそろえる
管轄する周辺国向けの発表は、このタイミングで一緒に出すべきでしょうか。
周辺国は言語も媒体も違うので、別に計画します。シンガポールの英語の発表が、そのまま周辺国の読者に届くとは考えないほうがいいです。国ごとに、誰に、何語で、いつ出すかを決めます。言語の考え方は、東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番にあります。
分かりました。発表の中身と順番が決まったとして、実際に現地のメディアに届ける手段はどうなりますか?
現地のメディアに届ける手段を比べる
英語の原稿ができたら、どうやって現地のメディアに送りますか。
手段は 3 つに分けられます。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。
| 手段 | 向いている場合 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 自社で直接送る | 現地に広報担当がいて、記者の連絡先を持っている | 設立直後は連絡先がないことが多い |
| 配信サービスを使う | 現地に広報担当がおらず、まず 1 本出したい | 掲載の条件が、サービスごとに違う |
| PR 会社に委託する | 継続して発信し、取材対応まで任せたい | 費用と契約期間を確認する |
設立したばかりで、現地に広報の担当者はいません。
その場合は配信サービスが選択肢になります。たとえば海外PR.jp は、シンガポールを含む 7 か国に対応していて、英語での配信ができます。配信は 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別) です。どの国でも 10 媒体以上への掲載が保証されます。
掲載された先は、どう確認できますか?
掲載メディア名と URL の一覧がレポートで届きます。配信から 5 営業日が目安です。このレポートは、取引先や金融機関への説明資料に使えます。時期によりキャンペーン価格の場合があるので、最新の条件は公式サイトで確認してください。
英語の原稿を自分で用意すれば、翻訳の費用はかからないんですね。
そうです。日本語の原稿しかない場合は、先ほどの直訳を避ける点を踏まえて、英語の原稿を作る人を決めてください。どの手段でも、先に決めるのは、誰に知らせたいかと、何を書くかです。手段はそのあとで構いません。最後に、今日の内容を表にします。
発表前のまとめ
社内に共有したいので、確認項目を一覧にしてもらえますか。
項目ごとに、決める内容と確認先を並べます。制度や統計は更新されるので、計画のときに最新の情報を確認してください。
| 項目 | 決める内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 発表の中身 | 役割、管轄する国、責任者、事業内容、形態と開始日 | 社内の事業部門、本社の広報 |
| 英語の表記 | 社名、拠点名、役職名 | 登記情報、本社のサイト |
| 開示との順番 | 開示の要否、時期、日付 | 社内の開示担当 |
| 日系企業の状況 | 経営実態のある日系企業数 | https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2025/570eddc8bb5c19e1.html |
| 公用語 | 発表に使う言語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/basic_01.html |
| 支店の登録制度 | 登録の方法、必要な代理人 | https://www.acra.gov.sg/register/foreign-business/foreign-company-branch/ |
ありがとうございます。周辺国向けや、そのほかの発表については、どこで探せますか。
よくある質問
いくつか細かい質問をさせてください。拠点が支店でも現地法人でも、同じ発表で足りますか?
骨組みは同じです。ただ、形態を正確に書いてください。取引先が契約を結ぶ相手が変わるからです。
責任者の顔写真は付けたほうがいいですか?
付けるかどうかは本人と社内で決めてください。付ける場合は、使用の許諾を確認します。
英語の発表文の長さは、どのくらいが目安ですか?
決まった長さはありません。1 文目に要点を入れ、拠点の役割、管轄する国、責任者、事業内容、問い合わせ先を順に書けば、読み手に必要な情報はそろいます。
日系企業が多いシンガポールで、発表は埋もれませんか?
目に留まりにくくなる可能性はあります。だからこそ、何の拠点で、どの国を担当し、誰に連絡できるかを具体的に書きます。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
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