ASEAN PR トーク

シンガポール現地での認知づくり

シンガポール統括会社の設立を現地で発表する方法|発表に入れる情報と順番

公開 更新 約 5.4 千字

田中海外事業担当
竹内東南アジア向けPR担当
田中田中
シンガポールに地域統括会社を設立しました。登記も済んで、オフィスも決まっています。ただ、現地の取引先や銀行、採用候補の方は、うちがシンガポールに拠点を置いたことをまだ知りません。どう知らせればいいのか、見当がつかないんです。
竹内竹内
設立の手続きが終わった段階で、発表が後回しになることがあります。登記は法律上の手続きで、登記しただけでは、相手は拠点ができたことを知りません。今日は、発表に入れる情報、英語で出すときの注意、本社の開示との順番までを決めましょう。
田中田中
周辺の国への発信も気になっています。統括する国が複数あるので。
竹内竹内
そこは別の計画として切り分けます。この記事ではシンガポール向けの発表に絞ります。周辺国への出し方は、最後に触れます。

現地で発表する相手と、その理由

田中田中
そもそも、誰に向けて発表するものなんですか?
竹内竹内
設立直後の拠点が現地で知らせたい相手は、おおむね 3 つに分けられます。取引先の候補、銀行などの金融機関、これから採用する人材です。どの相手も、会社名で検索して英語の情報が出てくるかどうかを見ます。
田中田中
シンガポールは、日本企業の拠点が多い国だと聞きます。
竹内竹内
そう言われています。投資誘致を担うシンガポール経済開発庁も、シンガポールはアジアで最も多くの日系企業の地域統括本部が置かれている、と紹介しています。これは誘致する側の見方なので、その点は割り引いて聞いてください。数字で言うと、JETRO の資料では、経営実態のある日系企業が 4,558 社あります。
田中田中
4,558 社もあるんですね。
竹内竹内
ただ、日系企業が多いということは、同じ立場の会社が現地にたくさんあるということでもあります。設立しました、とだけ書いた発表は目に留まりにくいと考えられるので、何の拠点で、誰に何ができるのかまで書く必要があります。
田中田中
日本語が通じる相手だけに知らせるのでは足りない、ということですね。
竹内竹内
はい。シンガポールの公用語は、英語、中国語 (北京語)、マレー語、タミル語の 4 つです。英語が公用語に入っているので、発表は英語で出すのが基本になります。では、その英語の原稿に何を入れるかを見ていきます。

発表に入れる情報

拠点設立の発表に入れる 5 つの情報
拠点設立の発表に入れる 5 つの情報
田中田中
本社向けのリリースだと、設立日や資本金を書くことが多いです。現地向けも同じで足りますか?
竹内竹内
設立日は書きますが、それだけでは足りません。現地の読み手が知りたいのは、この拠点で何ができて、誰に連絡すればいいのかです。入れる情報を表にまとめます。
情報書くこと抜けやすい点
拠点の役割統括、営業、調達、研究など、何を担う拠点か「統括」とだけ書いて中身が分からない
管轄する国担当する国の名前を具体的に「アジア全域」「周辺地域」と曖昧にする
責任者氏名、役職、前職や経歴の要点日本の社名表記と英語の役職名がずれる
事業内容現地の顧客に提供する製品やサービス本社の事業説明をそのまま貼る
形態と開始日現地法人か支店か、業務の開始日登記日と業務開始日を混ぜる
発表の 1 文目に入れること
  • 社名と拠点の名前を、登記上の表記で書く
  • 場所 (シンガポール) と、拠点の役割を書く
  • 業務を始める日付を書く
  • 管轄する国は、国名を並べる
田中田中
管轄する国を具体的に書く理由は何でしょう。
竹内竹内
取引先も金融機関も、自分の国を担当してくれる拠点かどうかを確認したいからです。たとえば、ベトナムの代理店候補がシンガポールの発表を見たとき、ベトナムが管轄に入っているかどうかで、連絡するか決まります。国名が書かれていれば、その国の相手が自分に関係のある発表だと判断できます。
田中田中
責任者の名前は、載せたほうがいいですか?
竹内竹内
載せたほうが問い合わせ先がはっきりします。ただ、人事の発表時期や本人の意向があるので、社内で確認してからにしてください。名前を出さない場合も、問い合わせ窓口の部署名と連絡先は載せます。
田中田中
現地法人か支店かも書くんですね。
竹内竹内
設立の形によって、取引先が契約を結ぶ相手が変わるからです。なお、シンガポールの会社設立の制度は、手続きの段階で専門家の関与が必要なものがあります。たとえば会計企業規制庁 (ACRA) のページでは、外国会社の支店の登録について、現地に居住する認可代理人を置くことと、企業サービスプロバイダー (CSP) を通して登録することが説明されています。手続きの詳細は、このページと専門家に確認してください。
田中田中
発表の側では、形態を正確に書くだけで足りますか?
竹内竹内
はい。発表に書くのは結果の部分です。ここまでの内容を英語にするときに、日本語のまま訳すと伝わりにくくなる点があるので、次に見ます。

英語で出すときに、日本語直訳を避ける

田中田中
日本語の原稿を翻訳に出せば、英語版はできあがりますよね。
竹内竹内
翻訳はできますが、日本語の発表文の型をそのまま英語にすると、読み手が欲しい情報が後ろに回ります。日本語では「このたび」「弊社」「〜を図ってまいります」のような言い回しが定番ですが、英語にすると何が起きたのか分かりにくくなります。
日本語の原稿の癖英語で起きること直し方の例
「このたび、弊社は〜」から始まる主語と日付が埋もれる社名と、設立した事実、日付を 1 文目に置く
「アジア地域の事業を強化する」どの国か分からない管轄する国の名前を書く
「発展に貢献してまいります」約束の中身が見えない提供するものを具体的に書く
日本の役職をそのまま直訳する権限の範囲が伝わらない英語の役職名を本社に確認して統一する
田中田中
役職の直訳は気づきませんでした。
竹内竹内
「部長」「本部長」などは、英語に訳す定番が一つに決まりません。現地で名刺や登記に使う役職名があるはずなので、それに合わせます。社名の英語表記も、本社のサイトと登記上の名称が同じかを確認してください。
日本語の原稿を訳す前に確認すること
  • 社名と拠点名の英語表記が、登記上の名称、本社のサイト、名刺で同じか
  • 「アジア」「周辺地域」のような曖昧な言葉を、国名に置き換えたか
  • 責任者の役職名を、英語で本社と現地が同じ表記にしたか
  • 「業務開始日」と「登記の日付」を分けて書いているか
  • 現地の拠点が提供する内容と、本社の事業説明が混ざっていないか
田中田中
見出しや 1 文目で、拠点の名前と役割を言い切る形になるんですね。
竹内竹内
はい。1 文目に、社名、場所、拠点の役割、日付が入っていれば、最後まで読まれなくても要点が伝わります。次は、本社の開示とこの現地発表をどの順で出すかです。

本社の開示と現地発表の順番

本社の開示と現地発表の順番
本社の開示と現地発表の順番
田中田中
うちは上場しているので、本社側の開示もあります。現地での発表と、どちらが先ですか?
竹内竹内
開示のルールは会社ごとに事情が違い、拠点の設立が開示の対象になるかどうかも一律ではありません。そこは私が決められないので、社内の開示担当に確認してください。そのうえで、現地発表を計画するときの考え方は共通して言えます。
田中田中
考え方というと?
竹内竹内
本社の開示と食い違う内容を、現地で先に出さないことです。同じ日付、同じ社名表記、同じ責任者名でそろえておけば、後から訂正を出す事態を避けられます。開示が不要と判断された会社でも、社内の広報部門と日付を合わせておくと安全です。
手順

社内の開示担当に、拠点設立の開示が必要か、必要なら時期と方法を確認する

本社の開示や社内外への案内の日付、社名の表記、責任者の氏名と役職を確定する

確定した内容をもとに、英語の発表文を現地向けに作る。日本語の直訳は避ける

現地で発表する日を決める。日本とシンガポールには時差があるため、どちらの日付で書くかを原稿に書いておく

発表後に、自社サイトの英語ページと問い合わせ窓口が、発表文と同じ内容になっているかを確認する

田中田中
発表後の自社サイトまで見るんですね。
竹内竹内
発表を見た人は、次に会社名で検索します。そのとき自社サイトの英語ページに拠点の情報がないと、せっかく知らせた内容が確認できません。ここは後回しになりやすい点です。
順番を決めるときの目安
  • 開示が必要かどうか、いつ出すかは社内の開示担当に確認する
  • 現地発表は、本社側の内容と日付、社名、役職がそろった後に出す
  • 現地向けの原稿を先に作り始めてもよいが、公表は確定した内容に合わせる
  • 自社サイトの英語ページは、発表と同じ日にそろえる
田中田中
管轄する周辺国向けの発表は、このタイミングで一緒に出すべきでしょうか。
竹内竹内
周辺国は言語も媒体も違うので、別に計画します。シンガポールの英語の発表が、そのまま周辺国の読者に届くとは考えないほうがいいです。国ごとに、誰に、何語で、いつ出すかを決めます。言語の考え方は、東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番にあります。
田中田中
分かりました。発表の中身と順番が決まったとして、実際に現地のメディアに届ける手段はどうなりますか?

現地のメディアに届ける手段を比べる

田中田中
英語の原稿ができたら、どうやって現地のメディアに送りますか。
竹内竹内
手段は 3 つに分けられます。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。
手段向いている場合気をつける点
自社で直接送る現地に広報担当がいて、記者の連絡先を持っている設立直後は連絡先がないことが多い
配信サービスを使う現地に広報担当がおらず、まず 1 本出したい掲載の条件が、サービスごとに違う
PR 会社に委託する継続して発信し、取材対応まで任せたい費用と契約期間を確認する
田中田中
設立したばかりで、現地に広報の担当者はいません。
竹内竹内
その場合は配信サービスが選択肢になります。たとえば海外PR.jp は、シンガポールを含む 7 か国に対応していて、英語での配信ができます。配信は 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別) です。どの国でも 10 媒体以上への掲載が保証されます。
田中田中
掲載された先は、どう確認できますか?
竹内竹内
掲載メディア名と URL の一覧がレポートで届きます。配信から 5 営業日が目安です。このレポートは、取引先や金融機関への説明資料に使えます。時期によりキャンペーン価格の場合があるので、最新の条件は公式サイトで確認してください。
田中田中
英語の原稿を自分で用意すれば、翻訳の費用はかからないんですね。
竹内竹内
そうです。日本語の原稿しかない場合は、先ほどの直訳を避ける点を踏まえて、英語の原稿を作る人を決めてください。どの手段でも、先に決めるのは、誰に知らせたいかと、何を書くかです。手段はそのあとで構いません。最後に、今日の内容を表にします。

発表前のまとめ

田中田中
社内に共有したいので、確認項目を一覧にしてもらえますか。
竹内竹内
項目ごとに、決める内容と確認先を並べます。制度や統計は更新されるので、計画のときに最新の情報を確認してください。
項目決める内容確認先
発表の中身役割、管轄する国、責任者、事業内容、形態と開始日社内の事業部門、本社の広報
英語の表記社名、拠点名、役職名登記情報、本社のサイト
開示との順番開示の要否、時期、日付社内の開示担当
日系企業の状況経営実態のある日系企業数https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2025/570eddc8bb5c19e1.html
公用語発表に使う言語https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/basic_01.html
支店の登録制度登録の方法、必要な代理人https://www.acra.gov.sg/register/foreign-business/foreign-company-branch/
田中田中
ありがとうございます。周辺国向けや、そのほかの発表については、どこで探せますか。
竹内竹内
拠点設立の発表は現地での認知づくりのカテゴリに、シンガポールの記事はシンガポールのページにまとめていきます。

よくある質問

田中田中
いくつか細かい質問をさせてください。拠点が支店でも現地法人でも、同じ発表で足りますか?
竹内竹内
骨組みは同じです。ただ、形態を正確に書いてください。取引先が契約を結ぶ相手が変わるからです。
田中田中
責任者の顔写真は付けたほうがいいですか?
竹内竹内
付けるかどうかは本人と社内で決めてください。付ける場合は、使用の許諾を確認します。
田中田中
英語の発表文の長さは、どのくらいが目安ですか?
竹内竹内
決まった長さはありません。1 文目に要点を入れ、拠点の役割、管轄する国、責任者、事業内容、問い合わせ先を順に書けば、読み手に必要な情報はそろいます。
田中田中
日系企業が多いシンガポールで、発表は埋もれませんか?
竹内竹内
目に留まりにくくなる可能性はあります。だからこそ、何の拠点で、どの国を担当し、誰に連絡できるかを具体的に書きます。

執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。

本記事は各国の公的機関などの公開情報をもとに作成しています。各国のメディア事情・制度・祝祭日は変わることがあるため、 実施の前に最新の情報を確認してください。

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