ASEAN PR トーク

フィリピン現地での認知づくり

フィリピンのブランド立ち上げ PR|英語のリリースで最初に書くこと

公開 更新 約 6.4 千字

田中海外事業担当
竹内東南アジア向けPR担当
田中田中
フィリピンで、日本で売っているお菓子のブランドを展開することになりました。日本向けに作った記者発表の原稿があるので、英語に訳して配信しようと思っています。これで足りますか?
竹内竹内
英語で出すこと自体は問題ありません。ただ、日本向けの原稿を訳しただけだと、反応が出にくいことが多いです。日本の原稿は、会社の歴史や日本での実績から始まる形が多いからです。
田中田中
実績を先に書くのは、信頼してもらうためですよね。
竹内竹内
日本では自然な順番です。ただ、フィリピンの読者や小売店の担当者が最初に知りたいのは、おそらく「それは自分の近所で買えるのか」でしょう。今日は、英語のリリースの最初の段落に何を置くかを、架空の例で直す前と直した後を並べながら見ていきます。

日本向けの原稿を訳すと、何が足りなくなるのか

リリースの段落の順番を、日本向けから現地向けに入れ替える
リリースの段落の順番を、日本向けから現地向けに入れ替える
田中田中
英語で出せるという話は、別の記事で読みました。今日はその先、ということですね。
竹内竹内
はい。フィリピンの公用語はフィリピノ語と英語です。英語で出せる理由はそこまでにして、東南アジア全体の言語の考え方は東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番に譲ります。
田中田中
英語の問題ではなく、書く順番の問題なんですね。
竹内竹内
そうです。消費者向けの商品は、読んだ人が次に取る行動が「買う」「店で探す」「棚に置くか考える」のどれかになります。最初の段落に、何が、どこで、いくらで、いつから買えるのかがないと、行動に移れません。日本での実績や開発の背景は大切ですが、その後ろで足ります。
田中田中
日本では、知名度があれば最初に実績を書いても通じますよね。
竹内竹内
フィリピンでまだ知られていないブランドは、日本での実績を読んでも、自分に関係のある話だとは受け取りにくい場合があります。なお、フィリピンの消費者の好みは、この記事では扱いません。現地の販売店に聞いてみてください。
田中田中
では、実際の原稿でどう変わるのか見たいです。
竹内竹内
次の章で、架空のブランドを使って直す前と直した後を並べます。

直す前と直した後を並べてみる (架空の例)

田中田中
例文を見せてください。
竹内竹内
日本の菓子メーカー「さくら堂」が、抹茶味のクッキーをフィリピンで発売する、という架空の設定にします。会社も商品も、店名も、価格も日付もすべて架空です。まず、日本向けの原稿を訳した形です。
直す前 (架空の例)
  • 見出し: Sakuradou, a Japanese Confectioner with 120 Years of History, Expands Overseas
  • 第 1 段落: Sakuradou, founded in Japan in 1906 and loved by customers across the country, announces its entry into the Philippine market.
  • 第 2 段落: The company has long pursued the taste of matcha. The new product is the result of years of development.
  • 最後の段落: The product will be available at selected stores from spring 2027.
田中田中
見出しも段落も、会社の話ばかりです。発売の話は最後に「春から、一部の店で」とあるだけですね。
竹内竹内
日本では普通の構成です。ただ、フィリピンの記者や店の担当者がこれを読むと、どの店で、いくらで、いつ買えるのかが分からないままです。次が直した後の形です。
直した後 (架空の例)
  • 見出し: Sakuradou Matcha Roll Cookies Go on Sale in Metro Manila on March 15, 2027, at PHP 280 per Box
  • 第 1 段落: Sakuradou, a Japanese confectioner, will begin selling Matcha Roll Cookies in Metro Manila on March 15, 2027. A box of 12 pieces will be priced at PHP 280 at Example Mart branches in Quezon City and Makati, and on the Example Mart online store.
  • 第 2 段落: The cookies are made with matcha and are sold in a resealable pack. High-resolution product photos are available for download.
  • 第 3 段落: Sakuradou was founded in Japan in 1906. The Philippine launch is its first overseas retail launch.
田中田中
同じ商品の同じ情報なのに、読んだ印象がまるで違います。
竹内竹内
数字はすべて架空で、ペソの金額も実在の価格ではありません。大事なのは金額そのものではなく、見出しに「どこで、いくらで、いつ」が入っていることです。会社の歴史は第 3 段落に下がりました。
田中田中
実績を消したわけではないんですね。
竹内竹内
消していません。順番を変えただけです。なお、例の第 3 段落の「初めての海外販売」は、実際にそうである場合だけ書いてください。事実と違う「初」は後で問題になります。次に、直した後の第 1 段落に入れた、価格・販売場所・発売日をどこまで具体的に書くかを見ていきます。

価格・販売場所・発売日をどこまで書くか

田中田中
価格や発売日は、まだ決まっていない場合もあります。その場合はどうしますか?
竹内竹内
決まっていない項目を、あいまいな言葉で埋めないほうがいいです。「春から」「一部の店で」は、読み手が動けない書き方の代表です。決まっているものだけを具体的に書き、決まっていないものは、決まる時期を添えます。
項目避けたい書き方 (架空の例)具体的な書き方 (架空の例)
発売日from spring 2027on March 15, 2027
価格at a reasonable priceat PHP 280 per box of 12
販売場所at selected storesat Example Mart branches in Quezon City and Makati, and online
決まっていない項目書かずに触れないPricing for other regions will be announced in April 2027.
田中田中
最後の行は、決まっていないことを書いてもいいんですか。
竹内竹内
書いて構いません。ただし、「いつ発表するのか」を添えるのが条件です。その日までに決まらなかったら、第 2 報でその旨を伝えることになるので、守れる日付だけを書いてください。
価格と販売場所を書く前に、社内で確認すること
  • 価格は、販売店との取り決めが確定した金額か。希望小売価格なのか、店の売価なのかを区別する
  • 販売店の名前を書く場合は、リリースに店名を出すことを、販売店に了承してもらっているか
  • 発売日は、輸入や通関の事情で動く可能性があるか
  • 食品などの輸入に関する規制やラベルの表示は、商品ごとに確認が要る。JETRO のフィリピンのページに貿易管理制度、関税制度、輸出入手続の案内があるので、まずそこから確認する
田中田中
販売店の名前を出すのは、店に聞かないといけないんですね。
竹内竹内
はい。事前に一言伝えておけば、あとで販売店への説明にも使いやすくなります。価格と場所と日付が決まったら、次は写真の素材と、フィリピノ語を使うかどうかを見ていきます。

写真素材と、英語・フィリピノ語の使い分け

田中田中
リリースには、写真も付けたほうがいいですか?
竹内竹内
消費者向けの商品では、写真があったほうが記事にしやすいと考えられます。文章だけの原稿だと、媒体の側が商品の写真を別に探す必要があるからです。ただし、どの媒体が写真を載せるかは、媒体ごとに違います。自社で用意しておく素材は、次のとおりです。
素材用意する理由気をつける点
商品単体の写真記事の冒頭や一覧に使いやすい背景がシンプルな画像を、高解像度で
パッケージの表と裏表示内容を確認する店や媒体がある日本語だけの表示か、英語の表示があるかを確認
売り場や食卓の写真大きさや使われ方が伝わる写っている人や店の許諾
田中田中
英語とフィリピノ語は、どう使い分けますか。
竹内竹内
公用語はフィリピノ語と英語ですが、この記事で想定する最初の 1 本は英語です。理由は、英語の原稿を 1 本作れば、日本語から訳す工程が 1 回で済むからです。フィリピノ語の原稿を足すかは、反応を見て決めれば足ります。なお、後で触れる配信サービスの翻訳オプションは、フィリピノ語に対応していません。フィリピノ語版を作るなら、現地の人や翻訳会社に頼むことになります。
最初の 1 本のチェックポイント
  • 見出しに「何が」「どこで」「いつから」「いくらで」のうち、決まっているものを入れた
  • 価格は通貨名 (PHP) を付け、箱や袋の入り数も書いた
  • 発売日は年を付けて書いた
  • 写真は、ダウンロードできる場所を本文に書いた
田中田中
写真の場所を書いておけば、媒体の人が探さなくて済みますね。
竹内竹内
そうです。次は、発売後にもう 1 本出す話に進みます。

発売後の第 2 報で何を伝えるか

発売前から発売後までの発信の流れ
発売前から発売後までの発信の流れ
田中田中
発売日にリリースを 1 本出したら、それで終わりですか?
竹内竹内
1 本目は「買える」ことを知らせる役目です。2 本目は、1 本目のあとに新しく起きたことを知らせるために使います。同じ内容を繰り返しても、読む人にとっては新しい情報がありません。
田中田中
新しい情報とは、たとえばどんなものですか?
竹内竹内
自社で確認できる事実に限ります。売り場が広がった、取り扱う店が増えた、数量限定の新味を出す、現地向けのイベントを開く、などです。「よく売れている」と言いたい場合は、自社で把握した数字と、その数字の対象期間を一緒に書いてください。数字がなければ、「好評です」とは書かないほうが安全です。
手順

発売の前に、販売店の担当者と、販売開始日と店名を出してよいことを確認する

発売日に、第 1 報を英語で配信する。見出しに「何が、どこで、いくらで、いつから」を入れる

発売後の最初の数週間は、販売店の追加や売り場の変化を記録しておく (日数は商品と店の事情で変わる)

記録した事実の中から、新しいものを選んで第 2 報にする

配信後に出た記事の URL を集め、販売店への説明にも使う

田中田中
最後の「記事の URL を販売店への説明に使う」というのは、どういうことですか。
竹内竹内
新しく取引を始めたい店に対して、「現地の媒体にこう紹介されました」と URL を見せられる、ということです。店の側から見ると、現地の言葉で書かれた記事が出ていることは、取り扱いを検討するときの参考のひとつになります。ただ、記事が出れば取り扱いが決まるわけではありません。あくまで、説明の材料が 1 つ増える、という位置づけです。
田中田中
記事が出たかどうかは、どう確認するんですか。
竹内竹内
自社で現地の媒体を検索する方法と、配信サービスのレポートを使う方法があります。次の章で、配信の手段を比べます。

配信する手段を比べる

田中田中
英語の原稿を作ったあと、現地の媒体にはどう届けるのでしょう。
竹内竹内
手段は大きく 3 つです。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。消費者向けのブランドの立ち上げという観点で比べると、次のようになります。
手段英語の原稿記事の URL の把握向いている場合
自社で直接送る自社で用意する自社で検索して集める現地に広報担当がいて、媒体の連絡先を持っている
配信サービスを使うサービスにより翻訳オプションがあるサービスにより掲載レポートがある現地に広報担当がおらず、まず 1 本出してみたい
PR 会社に委託する委託先が作ることが多い委託先の報告による継続的な発信や、試食会などの運営まで任せたい
田中田中
うちは現地に広報担当がいないので、配信サービスが近そうです。条件の具体例はありますか?
竹内竹内
海外PR.jp の場合は、翻訳オプションが英語を含む 4 言語に対応していて、日本語の原稿を英語にできます。費用は、配信が 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別)、翻訳が 1 言語で 20,000 円 (税別)です。フィリピンに英語で 1 本出すなら、合わせて 70,000 円 (税別)になります。時期によりキャンペーン価格の場合があるので、最新は公式サイトで確認してください。
田中田中
掲載はどうなりますか?
竹内竹内
海外PR.jp は、どの国でも 10 媒体以上への掲載を保証する条件です。掲載された媒体名と URL の一覧がレポートで確認でき、公式サイトでは配信から 5 営業日が目安とされています。この URL の一覧が、先ほどの販売店への説明に使える材料になります。ただ、どの媒体に載るかは約束されませんし、掲載が売上や取り扱いの決定につながるとは言えません。
田中田中
配信サービスを使うにしても、書き方の部分は自分たちで直す必要があるわけですね。
竹内竹内
そのとおりです。どの手段でも、価格、販売場所、発売日の具体性は、配信する側が用意する中身です。最後に、今日の内容を表にまとめます。

立ち上げの発信のまとめ

田中田中
社内で共有できるように、表にしてもらえますか。
竹内竹内
場面ごとに、書くこと、用意するもの、確認先をまとめました。制度や規制は変わることがあるので、JETRO のフィリピンのページなどで最新の情報を確認してください。
場面書くこと・やること用意するもの確認先
第 1 報 (発売日)見出しに何が・どこで・いくらで・いつからを入れる英語の原稿、商品写真販売店との合意内容
決まっていない項目発表する時期を添える社内の確認日程販売店、輸入業者
輸入や表示商品ごとの要件を確認する貿易管理制度、関税制度などの資料https://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/
第 2 報発売後に起きた新しい事実だけを書く自社で確認できた数字と時期販売店、自社の記録
販売店への説明掲載された記事の URL を見せる掲載の一覧配信後のレポートや検索
田中田中
関連する記事はどこで探せますか?
竹内竹内
国ごとの事情はフィリピンのページに、認知づくりの悩みは現地での認知づくりのページにまとめていきます。

よくある質問

田中田中
価格が発売直前まで決まらない場合は、どうすればいいですか?
竹内竹内
決まった時点で第 1 報を出す形がいちばん簡単です。どうしても先に知らせる場合は、価格を除いて発売日と販売場所を書き、「価格は〇月に発表する」と時期を添えてください。
田中田中
フィリピノ語のリリースも出したほうがいいですか?
竹内竹内
最初の 1 本は英語で足ります。フィリピノ語版は、反応を見て、現地の人や翻訳会社に頼んで作る方法があります。配信サービスの翻訳オプションが対応している言語は、申し込む前に確認してください。
田中田中
ペソの金額は、円に換算して書いたほうがいいですか?
竹内竹内
現地向けのリリースは、ペソだけで書きます。日本の社内向けの資料で円換算をするときは、いつの為替レートを使ったかを一緒に記録してください。この記事の例の金額は架空なので、換算は行っていません。

執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。

本記事は各国の公的機関などの公開情報をもとに作成しています。各国のメディア事情・制度・祝祭日は変わることがあるため、 実施の前に最新の情報を確認してください。

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