フィリピンのブランド立ち上げ PR|英語のリリースで最初に書くこと
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フィリピンで、日本で売っているお菓子のブランドを展開することになりました。日本向けに作った記者発表の原稿があるので、英語に訳して配信しようと思っています。これで足りますか?
英語で出すこと自体は問題ありません。ただ、日本向けの原稿を訳しただけだと、反応が出にくいことが多いです。日本の原稿は、会社の歴史や日本での実績から始まる形が多いからです。
実績を先に書くのは、信頼してもらうためですよね。
日本では自然な順番です。ただ、フィリピンの読者や小売店の担当者が最初に知りたいのは、おそらく「それは自分の近所で買えるのか」でしょう。今日は、英語のリリースの最初の段落に何を置くかを、架空の例で直す前と直した後を並べながら見ていきます。
日本向けの原稿を訳すと、何が足りなくなるのか
英語で出せるという話は、別の記事で読みました。今日はその先、ということですね。
はい。フィリピンの公用語はフィリピノ語と英語です。英語で出せる理由はそこまでにして、東南アジア全体の言語の考え方は東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番に譲ります。
英語の問題ではなく、書く順番の問題なんですね。
そうです。消費者向けの商品は、読んだ人が次に取る行動が「買う」「店で探す」「棚に置くか考える」のどれかになります。最初の段落に、何が、どこで、いくらで、いつから買えるのかがないと、行動に移れません。日本での実績や開発の背景は大切ですが、その後ろで足ります。
日本では、知名度があれば最初に実績を書いても通じますよね。
フィリピンでまだ知られていないブランドは、日本での実績を読んでも、自分に関係のある話だとは受け取りにくい場合があります。なお、フィリピンの消費者の好みは、この記事では扱いません。現地の販売店に聞いてみてください。
では、実際の原稿でどう変わるのか見たいです。
次の章で、架空のブランドを使って直す前と直した後を並べます。
直す前と直した後を並べてみる (架空の例)
例文を見せてください。
日本の菓子メーカー「さくら堂」が、抹茶味のクッキーをフィリピンで発売する、という架空の設定にします。会社も商品も、店名も、価格も日付もすべて架空です。まず、日本向けの原稿を訳した形です。
直す前 (架空の例)
- 見出し: Sakuradou, a Japanese Confectioner with 120 Years of History, Expands Overseas
- 第 1 段落: Sakuradou, founded in Japan in 1906 and loved by customers across the country, announces its entry into the Philippine market.
- 第 2 段落: The company has long pursued the taste of matcha. The new product is the result of years of development.
- 最後の段落: The product will be available at selected stores from spring 2027.
見出しも段落も、会社の話ばかりです。発売の話は最後に「春から、一部の店で」とあるだけですね。
日本では普通の構成です。ただ、フィリピンの記者や店の担当者がこれを読むと、どの店で、いくらで、いつ買えるのかが分からないままです。次が直した後の形です。
直した後 (架空の例)
- 見出し: Sakuradou Matcha Roll Cookies Go on Sale in Metro Manila on March 15, 2027, at PHP 280 per Box
- 第 1 段落: Sakuradou, a Japanese confectioner, will begin selling Matcha Roll Cookies in Metro Manila on March 15, 2027. A box of 12 pieces will be priced at PHP 280 at Example Mart branches in Quezon City and Makati, and on the Example Mart online store.
- 第 2 段落: The cookies are made with matcha and are sold in a resealable pack. High-resolution product photos are available for download.
- 第 3 段落: Sakuradou was founded in Japan in 1906. The Philippine launch is its first overseas retail launch.
同じ商品の同じ情報なのに、読んだ印象がまるで違います。
数字はすべて架空で、ペソの金額も実在の価格ではありません。大事なのは金額そのものではなく、見出しに「どこで、いくらで、いつ」が入っていることです。会社の歴史は第 3 段落に下がりました。
実績を消したわけではないんですね。
消していません。順番を変えただけです。なお、例の第 3 段落の「初めての海外販売」は、実際にそうである場合だけ書いてください。事実と違う「初」は後で問題になります。次に、直した後の第 1 段落に入れた、価格・販売場所・発売日をどこまで具体的に書くかを見ていきます。
価格・販売場所・発売日をどこまで書くか
価格や発売日は、まだ決まっていない場合もあります。その場合はどうしますか?
決まっていない項目を、あいまいな言葉で埋めないほうがいいです。「春から」「一部の店で」は、読み手が動けない書き方の代表です。決まっているものだけを具体的に書き、決まっていないものは、決まる時期を添えます。
| 項目 | 避けたい書き方 (架空の例) | 具体的な書き方 (架空の例) |
|---|---|---|
| 発売日 | from spring 2027 | on March 15, 2027 |
| 価格 | at a reasonable price | at PHP 280 per box of 12 |
| 販売場所 | at selected stores | at Example Mart branches in Quezon City and Makati, and online |
| 決まっていない項目 | 書かずに触れない | Pricing for other regions will be announced in April 2027. |
最後の行は、決まっていないことを書いてもいいんですか。
書いて構いません。ただし、「いつ発表するのか」を添えるのが条件です。その日までに決まらなかったら、第 2 報でその旨を伝えることになるので、守れる日付だけを書いてください。
価格と販売場所を書く前に、社内で確認すること
- 価格は、販売店との取り決めが確定した金額か。希望小売価格なのか、店の売価なのかを区別する
- 販売店の名前を書く場合は、リリースに店名を出すことを、販売店に了承してもらっているか
- 発売日は、輸入や通関の事情で動く可能性があるか
- 食品などの輸入に関する規制やラベルの表示は、商品ごとに確認が要る。JETRO のフィリピンのページに貿易管理制度、関税制度、輸出入手続の案内があるので、まずそこから確認する
販売店の名前を出すのは、店に聞かないといけないんですね。
はい。事前に一言伝えておけば、あとで販売店への説明にも使いやすくなります。価格と場所と日付が決まったら、次は写真の素材と、フィリピノ語を使うかどうかを見ていきます。
写真素材と、英語・フィリピノ語の使い分け
リリースには、写真も付けたほうがいいですか?
消費者向けの商品では、写真があったほうが記事にしやすいと考えられます。文章だけの原稿だと、媒体の側が商品の写真を別に探す必要があるからです。ただし、どの媒体が写真を載せるかは、媒体ごとに違います。自社で用意しておく素材は、次のとおりです。
| 素材 | 用意する理由 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 商品単体の写真 | 記事の冒頭や一覧に使いやすい | 背景がシンプルな画像を、高解像度で |
| パッケージの表と裏 | 表示内容を確認する店や媒体がある | 日本語だけの表示か、英語の表示があるかを確認 |
| 売り場や食卓の写真 | 大きさや使われ方が伝わる | 写っている人や店の許諾 |
英語とフィリピノ語は、どう使い分けますか。
公用語はフィリピノ語と英語ですが、この記事で想定する最初の 1 本は英語です。理由は、英語の原稿を 1 本作れば、日本語から訳す工程が 1 回で済むからです。フィリピノ語の原稿を足すかは、反応を見て決めれば足ります。なお、後で触れる配信サービスの翻訳オプションは、フィリピノ語に対応していません。フィリピノ語版を作るなら、現地の人や翻訳会社に頼むことになります。
最初の 1 本のチェックポイント
- 見出しに「何が」「どこで」「いつから」「いくらで」のうち、決まっているものを入れた
- 価格は通貨名 (PHP) を付け、箱や袋の入り数も書いた
- 発売日は年を付けて書いた
- 写真は、ダウンロードできる場所を本文に書いた
写真の場所を書いておけば、媒体の人が探さなくて済みますね。
そうです。次は、発売後にもう 1 本出す話に進みます。
発売後の第 2 報で何を伝えるか
発売日にリリースを 1 本出したら、それで終わりですか?
1 本目は「買える」ことを知らせる役目です。2 本目は、1 本目のあとに新しく起きたことを知らせるために使います。同じ内容を繰り返しても、読む人にとっては新しい情報がありません。
新しい情報とは、たとえばどんなものですか?
自社で確認できる事実に限ります。売り場が広がった、取り扱う店が増えた、数量限定の新味を出す、現地向けのイベントを開く、などです。「よく売れている」と言いたい場合は、自社で把握した数字と、その数字の対象期間を一緒に書いてください。数字がなければ、「好評です」とは書かないほうが安全です。
手順
発売の前に、販売店の担当者と、販売開始日と店名を出してよいことを確認する
発売日に、第 1 報を英語で配信する。見出しに「何が、どこで、いくらで、いつから」を入れる
発売後の最初の数週間は、販売店の追加や売り場の変化を記録しておく (日数は商品と店の事情で変わる)
記録した事実の中から、新しいものを選んで第 2 報にする
配信後に出た記事の URL を集め、販売店への説明にも使う
最後の「記事の URL を販売店への説明に使う」というのは、どういうことですか。
新しく取引を始めたい店に対して、「現地の媒体にこう紹介されました」と URL を見せられる、ということです。店の側から見ると、現地の言葉で書かれた記事が出ていることは、取り扱いを検討するときの参考のひとつになります。ただ、記事が出れば取り扱いが決まるわけではありません。あくまで、説明の材料が 1 つ増える、という位置づけです。
記事が出たかどうかは、どう確認するんですか。
自社で現地の媒体を検索する方法と、配信サービスのレポートを使う方法があります。次の章で、配信の手段を比べます。
配信する手段を比べる
英語の原稿を作ったあと、現地の媒体にはどう届けるのでしょう。
手段は大きく 3 つです。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。消費者向けのブランドの立ち上げという観点で比べると、次のようになります。
| 手段 | 英語の原稿 | 記事の URL の把握 | 向いている場合 |
|---|---|---|---|
| 自社で直接送る | 自社で用意する | 自社で検索して集める | 現地に広報担当がいて、媒体の連絡先を持っている |
| 配信サービスを使う | サービスにより翻訳オプションがある | サービスにより掲載レポートがある | 現地に広報担当がおらず、まず 1 本出してみたい |
| PR 会社に委託する | 委託先が作ることが多い | 委託先の報告による | 継続的な発信や、試食会などの運営まで任せたい |
うちは現地に広報担当がいないので、配信サービスが近そうです。条件の具体例はありますか?
海外PR.jp の場合は、翻訳オプションが英語を含む 4 言語に対応していて、日本語の原稿を英語にできます。費用は、配信が 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別)、翻訳が 1 言語で 20,000 円 (税別)です。フィリピンに英語で 1 本出すなら、合わせて 70,000 円 (税別)になります。時期によりキャンペーン価格の場合があるので、最新は公式サイトで確認してください。
掲載はどうなりますか?
海外PR.jp は、どの国でも 10 媒体以上への掲載を保証する条件です。掲載された媒体名と URL の一覧がレポートで確認でき、公式サイトでは配信から 5 営業日が目安とされています。この URL の一覧が、先ほどの販売店への説明に使える材料になります。ただ、どの媒体に載るかは約束されませんし、掲載が売上や取り扱いの決定につながるとは言えません。
配信サービスを使うにしても、書き方の部分は自分たちで直す必要があるわけですね。
そのとおりです。どの手段でも、価格、販売場所、発売日の具体性は、配信する側が用意する中身です。最後に、今日の内容を表にまとめます。
立ち上げの発信のまとめ
社内で共有できるように、表にしてもらえますか。
場面ごとに、書くこと、用意するもの、確認先をまとめました。制度や規制は変わることがあるので、JETRO のフィリピンのページなどで最新の情報を確認してください。
| 場面 | 書くこと・やること | 用意するもの | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 第 1 報 (発売日) | 見出しに何が・どこで・いくらで・いつからを入れる | 英語の原稿、商品写真 | 販売店との合意内容 |
| 決まっていない項目 | 発表する時期を添える | 社内の確認日程 | 販売店、輸入業者 |
| 輸入や表示 | 商品ごとの要件を確認する | 貿易管理制度、関税制度などの資料 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/ |
| 第 2 報 | 発売後に起きた新しい事実だけを書く | 自社で確認できた数字と時期 | 販売店、自社の記録 |
| 販売店への説明 | 掲載された記事の URL を見せる | 掲載の一覧 | 配信後のレポートや検索 |
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よくある質問
価格が発売直前まで決まらない場合は、どうすればいいですか?
決まった時点で第 1 報を出す形がいちばん簡単です。どうしても先に知らせる場合は、価格を除いて発売日と販売場所を書き、「価格は〇月に発表する」と時期を添えてください。
フィリピノ語のリリースも出したほうがいいですか?
最初の 1 本は英語で足ります。フィリピノ語版は、反応を見て、現地の人や翻訳会社に頼んで作る方法があります。配信サービスの翻訳オプションが対応している言語は、申し込む前に確認してください。
ペソの金額は、円に換算して書いたほうがいいですか?
現地向けのリリースは、ペソだけで書きます。日本の社内向けの資料で円換算をするときは、いつの為替レートを使ったかを一緒に記録してください。この記事の例の金額は架空なので、換算は行っていません。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
本記事は各国の公的機関などの公開情報をもとに作成しています。各国のメディア事情・制度・祝祭日は変わることがあるため、 実施の前に最新の情報を確認してください。