ベトナム工場の稼働開始を知らせるプレスリリース|取引先と求職者への書き分け方
公開 更新 約 6.3 千字
ベトナムの新工場が稼働を始めました。日本では報道発表をしたのですが、現地ではまだ誰にも知られていない状態です。現地の部品メーカーに声をかけたいですし、ラインの人員も増やしたいので、ベトナム向けにもリリースを出したいと考えています。何から決めればいいですか?
工場の稼働開始は、現地の読み手が複数いる発表です。部品や原材料を納めてくれそうな会社、働き先を探している人、取引銀行や自治体の担当者などが、それぞれ違う目で同じ記事を読みます。最初に決めるのは、誰に読んでもらいたいかです。
取引先と求職者の両方に読んでほしいのですが、1 本で足りますか?
1 本で両方に届かせることはできます。ただ、強調する点を変えないと、どちらにも中途半端になりがちです。今日は、リリースに入れる情報、取引先向けと求職者向けの書き分け、配信日の決め方、掲載された記事の使い道の順に見ていきます。なお、言語をなぜベトナム語にするかは、別の記事で国ごとの公用語を並べています。ここでは短く触れるだけにします。
工場の発表で、現地の読み手が知りたい情報
日本の工場稼働のリリースだと、式典の様子と社長のコメントが中心になります。ベトナムでも同じ構成でいいですか?
基本の情報は同じです。ただ、現地の読み手が知りたいのは式典よりも、その工場が自分に関係するかどうかです。立地、生産品目、雇用の予定、稼働の時期の 4 つは、取引先向けでも求職者向けでも本文に入れてください。
その 4 つは、それぞれどう書くのでしょうか。
立地は省と工業団地の名前までです。生産品目は、何を作る工場かを一文で書きます。雇用は、採用を始める時期と職種の方向性を書き、人数は公表できる場合だけにします。稼働時期は、操業を始めた日と、生産量を増やしていく予定がある場合はその時期です。書けない項目は、無理に埋めず空けておくほうが安全です。
投資額や雇用人数は、書いたほうが信頼されそうな気もします。
数字は具体的なほど目を引きますが、公表していない数字を書くと、あとで本社や取引先との間で食い違いが出る場合があります。自社がすでに公表している数字、または公表してよいと社内で決めた数字だけを書いてください。たとえば、日本向けの発表で投資額を出していないなら、ベトナム向けでも出さない、という揃え方で構いません。
リリースの本文に入れる情報の目安
- 立地は省と工業団地の名前まで。番地までは書かなくてよい
- 生産品目は、現地の読み手が「何を作る工場か」を一文で分かる言葉で書く
- 雇用は、採用開始の時期と職種を書く。人数は公表している場合だけ
- 稼働時期は、操業開始日を年付きで書く
- 投資額や雇用人数は、日本での発表と同じ数字だけを使う
日本の発表と数字を揃える、というのは確認しやすいですね。次は、取引先向けと求職者向けで何を変えるのかを教えてください。
取引先向けと求職者向けで、強調する点を変える
同じ工場の話なのに、読む人で強調点が変わるのはなぜですか?
読み手が最後に確認したいことが違うからです。調達先の候補は、この工場が何を、どの品質で、どれだけ必要とするのかを知りたい。求職者は、どんな職種で、いつ募集が始まるのかを知りたい。同じ段落を読んでも、見ている箇所が違います。
| 項目 | 取引先 (調達先候補) 向けに強調する点 | 求職者向けに強調する点 |
|---|---|---|
| 立地 | 納入のしやすさ。工業団地の名前、近隣の物流拠点 | 通勤のしやすさ。省と地区の名前 |
| 生産品目 | 使う部品・原材料の種類、求める品質水準 | 作る製品と、携わる工程の内容 |
| 雇用 | 工場の規模感が分かる範囲で、公表できる数字 | 募集する職種、採用開始の時期、研修の有無 |
| 稼働時期 | 調達を始める時期、量産の立ち上げ予定 | 採用が始まる時期 |
| 問い合わせ | 調達担当の窓口 | 採用ページや応募方法 |
表を見ると、問い合わせ先まで分けるんですね。
はい。1 本のリリースで両方に呼びかける場合は、本文の最後に窓口を 2 つ並べると読み手が迷いません。調達の窓口と採用の窓口を分けて書いてください。
調達先を探す側として、現地の事情はどうなっているのでしょうか。
JETRO がベトナムの日系企業 906 社に聞いた調査では、現地調達率は 38.1 パーセントでした。このうち地場企業からの調達率は 18.3 パーセントで、過去最高です。課題としては、原材料や部品を供給できるメーカーが現地にない、調達先の品質や技術力が十分でない、といった声が上位に挙がっています。
調達先を探している会社は多いけれど、見つけにくいということですか。
そう読める数字です。JETRO は、日系企業が求める品質の部品を供給できる可能性が高いベトナム企業の情報を冊子にまとめ、ローカルパートナーの発掘に使うよう案内しています。調達先を探す日系企業の側にも、探す手段が必要とされていると考えられます。リリースで「何を調達したいか」を具体的に書いておくと、現地の会社が自社に関係あるかを判断しやすくなります。
求職者のほうは、どう見ればいいでしょうか。
同じ調査で、この 2 年で採用が難しくなったと答えた企業は 48.2 パーセント、北部の製造業では 76.0 パーセントでした。工場の採用が簡単ではないと感じている企業が多いということです。だからこそ、求職者向けには、職種と採用開始の時期を具体的に書いておく価値があります。給与の水準は、公表している場合以外は書かないでください。
取引先向け・求職者向けの書き分けでつまずきやすい点
- 取引先向けの文に、社内の生産計画や調達量など、まだ決まっていない数字を入れてしまう
- 求職者向けの文に、採用人数や給与の水準を、人事部門の確認なしで書いてしまう
- 1 本のリリースの中で、取引先向けの段落と求職者向けの段落が混ざり、どちらの話か分からなくなる
- 日本語の原稿で主語を省いたまま翻訳に出し、誰が誰を募集しているのかが読み取れなくなる
気をつけます。ところで、ベトナム語で出す必要は本当にあるのでしょうか。
短く答えます。ベトナムの公用語はベトナム語で、英語は入っていません。求職者は自分の国の言葉で情報を探しますし、調達先の候補も、社内では現地語で文書を回していると考えられます。国ごとの公用語の違いは東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番で扱っているので、詳しくはそちらを見てください。
分かりました。となると、次は配信日ですね。
配信日を、開所式と稼働開始日から決める
開所式の日にちはもう決まっています。リリースはその日に出せばいいですか?
日付の選び方は 3 通りあります。稼働開始日、開所式の日、その後です。それぞれ読み手の受け取り方が違います。
| 配信のタイミング | 向いている場合 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 稼働開始日に合わせる | 調達先を早く探したい、採用をすぐ始めたい | 式典の写真や映像が間に合わない場合がある |
| 開所式の当日または翌営業日 | 来賓や取引先が集まる式典がある | 式典の準備と並行して原稿を確認する必要がある |
| 開所式の後、日をおく | 取引先向けの訪問や面談が先にある | 式典の話題が古くなる。年付きの日付を本文に残す |
どれを選ぶかで迷います。
調達と採用を急ぐなら稼働開始日、来賓が来る式典があるなら式典の当日か翌営業日、が基本です。決める順番は、日付を決めてから原稿を書くのではなく、配信日から逆算して原稿の締め切りを決めることです。
手順
開所式の日と稼働開始日を、年付きで確定する
配信日を決める。稼働開始日、開所式の当日または翌営業日、のどれかにする
ベトナム語に翻訳する期間を逆算する。日本語の原稿を直す日、翻訳の日、現地語を読める人が確認する日を取る
社内の確認を終える。投資額や雇用人数など、公表する数字を人事・経理・本社広報で確認する
配信する。掲載レポートが届く目安の日に、掲載記事を営業・採用の資料に差し込む予定を入れる
翻訳と確認にどのくらい日数を取ればいいですか?
日本語の原稿を直すのに数日、翻訳に 1〜2 営業日、現地語を読める人の確認にさらに 1〜2 営業日は見ておくと安心です。これはあくまで計画を立てるための目安で、社内の確認が長引く場合はもっと必要になります。配信日の 2〜3 週間前には原稿に着手する、という前提で計画してください。
時期に気をつけることはありますか?
ベトナムの旧暦の正月 (テト) は、年によって日付が動きます。前後の休みの扱いも年ごとに変わる場合があるので、開所式や配信日をその近くに置くなら、その年の日付と休みの範囲を現地の拠点などに確認してください。
確認するべき日付が分かって、助かります。次は、配信する手段ですね。
配信する手段を比べる
原稿とスケジュールができたとして、現地の媒体にはどうやって届けるんですか。
手段は 3 つです。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する。工場の稼働開始という題材で比べると、次のようになります。
| 手段 | ベトナム語の原稿 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自社で直接送る | 自社で用意する | 現地に広報担当がいて、記者の連絡先を持っている |
| 配信サービスを使う | サービスにより翻訳オプションがある | 現地に広報担当がおらず、稼働日に合わせて 1 本出したい |
| PR 会社に委託する | 委託先が作ることが多い | 取材対応や継続的な発信まで任せたい |
うちは現地に広報の担当がいないので、配信サービスが近いかもしれません。翻訳まで頼めるサービスはありますか?
たとえば海外PR.jp は、翻訳オプションが英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の 4 言語に対応しています。ベトナム 1 か国にベトナム語で出すなら、配信が 50,000 円 (税別)、翻訳が 20,000 円 (税別) で、合わせて 70,000 円 (税別) です。時期によってキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。
掲載の保証はありますか?
7 か国のどの国でも 10 媒体以上への掲載が保証され、掲載された媒体名と URL の一覧がレポートで届きます。レポートは、配信から 5 営業日が目安です。これは海外PR.jp のサービス条件で、海外にリリースを出せば載る、という一般論ではありません。どの媒体に載るかは約束されないので、掲載先の傾向は総合ニュースサイト、ビジネス・経済系、業界専門メディアが中心、という程度に考えてください。
掲載された記事は、何に使えるのでしょうか。
次の章で話します。ここでは、掲載記事の URL がまとまった一覧が手元に残る、とだけ覚えておいてください。
発表したあと、掲載記事をどう使うか
配信が終わったら、それで終わりですか?
むしろここから使います。掲載記事は、取引先と求職者のどちらにも「第三者が書いた現地語の情報」として見せられる点が価値です。掲載の効果として売上や応募が増えると言い切ることはできませんが、説明資料に載せる材料にはなります。
| 使う場面 | 掲載記事の使い方 | 準備しておくもの |
|---|---|---|
| 調達先候補への初回の連絡 | メールや資料に掲載記事の URL を添え、現地語で工場の概要が見られるようにする | 調達の窓口と、求める部品・原材料の一覧 |
| 求職者への案内 | 採用ページや募集の案内に掲載記事の URL をリンクする | 募集職種と採用開始の時期 |
| 取引先や自治体への説明 | 掲載先のメディア名と URL の一覧を、社内報告にも使う | 掲載レポート、配信日 |
| 自社サイトとSNS | 記事のタイトルと URL を、ベトナム語のお知らせに引用する | 引用してよいかの確認 |
掲載記事を、そのまま転載してもいいですか?
記事の全文を転載すると著作権の問題が出る場合があります。URL を添えて紹介するか、引用の範囲にとどめてください。掲載先のメディアが転載を認めているかを確認できない場合は、URL のリンクだけで十分です。
掲載後の使い道を決めておく
- 配信日の前に、掲載記事の URL を差し込む場所 (営業資料、採用ページ、社内報告) を決めておく
- 調達先向けの連絡と求職者向けの案内で、リンクを分けて使う
- レポートに載った媒体名と URL は、投資額や雇用人数の数字とは別に、社内の説明にそのまま使える
配信日の前から使い道を決めておく、というのは大事ですね。
掲載記事は出たあとに探すと、どこに差し込めばいいか分からなくなりがちです。先に場所を決めておけば、レポートが届いたその日に反映できます。
国別・場面別のまとめ
今日の内容を、社内に共有できる形でまとめてもらえますか。
決めること、確認先、判断の目安を表にします。計画を立てるときは、JETRO の最新の情報も見ておいてください。
| 決めること | 判断の目安 | 確認先 |
|---|---|---|
| 言語 | ベトナム語。英語だけでは現地の読み手に届きにくい場合がある | https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/basic_01.html |
| 発表する情報 | 立地、生産品目、雇用予定、稼働時期の 4 つ | 社内の広報・人事・経理 |
| 数字 | 日本で公表した数字だけを使う | 社内の公表ルール |
| 取引先向け | 調達したい部品・原材料と、窓口 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/company/ |
| 求職者向け | 職種と採用開始の時期 | 採用ページ |
| 現地調達・採用の調査 | 日系企業への調査で、現地調達率や採用難の数字が示されている | https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2026/21fcf2689cf256b0.html |
ありがとうございます。関連する記事はどこから探せますか?
販路やパートナー開拓の話は販路・パートナー開拓に、ベトナムの記事はベトナムにまとめていきます。
よくある質問
投資額を書かないと、信頼されないでしょうか?
公表していない数字を書くより、書かないほうが安全です。日本での発表と同じ数字を使い、書けない項目は空けておいてください。立地、生産品目、稼働時期が具体的であれば、読み手は工場の様子を把握できます。
取引先向けと求職者向けは、リリースを 2 本に分けたほうがいいですか?
1 本にまとめて、段落と窓口を分ける方法で足りる場合が多いです。ただし、採用の告知を別の日に出したい場合や、調達の条件を細かく書きたい場合は、2 本に分けて配信日をずらす選択もあります。
ベトナム語の原稿は、誰に確認してもらえばいいですか?
現地の拠点の従業員、代理店、翻訳会社など、ベトナム語を読める人に、配信の前に一度見てもらってください。社名・製品名・地名の表記と、日付と数字の桁が合っているかが主な確認点です。
掲載記事は、どのくらいの期間、資料に使えますか?
記事は掲載先のメディアに残る場合が多いですが、いつまで残るかは媒体によります。リンクが切れる可能性があるため、レポートの受け取り時に、記事の内容を社内でも保存しておくと安心です。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
本記事は各国の公的機関などの公開情報をもとに作成しています。各国のメディア事情・制度・祝祭日は変わることがあるため、 実施の前に最新の情報を確認してください。