マレーシアで BtoB メーカーが広報で発信する題材の選び方|社内の準備まで
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マレーシアに販売拠点を作って、取引先に会社を知ってもらいたいんです。ただ、うちは部品や素材を扱う BtoB メーカーで、新商品の発売やキャンペーンのような消費者向けの話題がありません。プレスリリースに何を書けばいいのか、そこで止まっています。
同じ悩みを持つ BtoB メーカーの担当者は多いです。先に結論を言うと、題材を探す前に、読んでほしい相手が何を知りたいかを決めると、書けるものが見えてきます。
読み手というと、取引先の購買担当者ですか。
購買担当者と、仕様を確認する技術者が中心になると思います。この 2 人は、消費者のように話題性では動きません。自社の部品を使って問題がないか、安定して納めてもらえるか、窓口はどこか、といった確認のために情報を探します。今日は題材ごとに、読み手の問いと、発表の前に社内で決めておくことを順に見ていきます。
取引先は何を調べて、何を知りたいのか
発表の題材には、どんなものがあるんでしょうか。
BtoB メーカーでよく挙がるのは、導入事例、設備投資、提携、認証取得、拠点開設、人事の 6 つです。題材そのものに優劣はなく、読み手の問いに答えられる情報が入っているかが分かれ目になります。表にすると次のとおりです。
| 題材 | 読み手 (購買・技術) が知りたいこと | 発表前に社内で決めること |
|---|---|---|
| 導入事例 | 同じ条件の会社が、どう使っているか | 顧客の掲載許可、書いてよい社名・数字の範囲 |
| 設備投資 | 供給能力は増えるのか、いつから使えるのか | 公表できる投資額・能力の数字、稼働時期の言い方 |
| 提携 | 誰と組み、取引条件に何が関わるのか | 相手先の同意、公表する条件の範囲 |
| 認証取得 | 自社の要求仕様や調達基準を満たすのか | 認証の名称・対象範囲・有効期間の確認 |
| 拠点開設 | どこに連絡し、何を扱っているのか | 連絡窓口、取扱品目、対応言語 |
| 人事 | 現地で話す相手は誰か | 本人の同意、経歴や写真の使用範囲 |
右の列に「社内で決めること」が並んでいるのが気になります。文章を書く前の話が多いんですね。
BtoB の発表で止まる場所は、文章よりも社内の確認であることが多いです。公表できる範囲が決まっていないと、原稿が書けません。次から題材ごとに見ていきます。
導入事例は、顧客の許可が先
導入事例は一番説得力がありそうですが、顧客の名前を出すのは難しいですよね。
そこが最初の関門です。事例は顧客あっての話なので、原稿を書く前に、顧客に掲載の許可を取る必要があります。許可を取る範囲も、社名だけで済むとは限りません。ロゴ、設備の写真、導入の効果を示す数字、担当者のコメントは、それぞれ別に確認します。
営業担当が口頭で了解をもらった、というだけでは足りませんか。
後で範囲を巡って行き違いが起きやすいので、掲載する文面を見せて、メールなど記録が残る形で承認をもらうのが無難です。顧客との契約に秘密保持の条項がある場合は、法務にも確認します。
顧客の社名が出せない場合は、事例は諦めるしかないですか。
社名を伏せて「現地の電子部品メーカー」のように書く方法があります。ただ、読み手が知りたいのは、自分と近い条件の会社がどう使っているかです。業種、使用場面、課題と結果が分かれば、社名がなくても参考にはなります。許可の範囲に合わせて、書ける項目を決めてください。
導入事例の許可で確認すること
- 社名、ロゴ、写真、数字、担当者のコメントを、それぞれ載せてよいか
- 承認は、掲載する文面を見てもらったうえで、記録が残る形で取る
- 顧客の契約に秘密保持の条項がないか、法務に確認する
- 社名が出せない場合は、業種・使用場面・課題と結果で書く
顧客以外にも、確認しておくことはありますか。次は設備投資の話を聞かせてください。
設備投資と拠点開設は、数字をどこまで出すか
設備投資や拠点開設は、自社だけで決められる題材なので許可の問題は少ないです。代わりに、どの数字を公表してよいかを社内で決める必要があります。
投資額は書いたほうがいいんでしょうか。
取引先の購買担当者や技術者が知りたいのは、金額よりも「供給能力がどう変わるか」であることが多いと考えられます。投資額を出すかどうかは、経理や経営層が決める事項です。上場している会社なら、日本での開示との順序や内容がずれないよう、IR 担当にも確認します。
能力の数字も、出していいかどうかを確認する必要がありますか。
あります。生産能力や設備の台数は、競合に知られたくない情報にあたる場合があります。出せない場合は、「従来より供給の余裕が増える」「現地で最終工程まで対応できる」のように、取引先の視点で言い換える方法もあります。
| 数字・情報 | 社内の確認先の例 | 出し方の例 |
|---|---|---|
| 投資額 | 経理・経営層 (上場企業は IR も) | 金額を出す、または出さずに設備の内容だけ書く |
| 生産能力・設備台数 | 製造・営業戦略の担当 | 数値で出す、または「供給余力が増える」と言い換える |
| 稼働開始・営業開始の時期 | 現地の責任者 | 確定した日付だけを書き、未確定なら時期を限定しない |
| 連絡窓口・住所 | 現地法人・営業 | 問い合わせ先 1 つに絞って書く |
| 取扱品目・在庫の有無 | 営業・物流 | 現地で対応できる範囲だけ書く |
拠点開設の場合は、数字より連絡先のほうが大事そうですね。
はい。読み手が次に取る行動は「連絡する」なので、窓口、取扱品目、対応できる言語が揃っているかが重要です。次に、相手のいる提携と、基準に関わる認証の話をします。
提携と認証取得は、相手と範囲を確かめる
提携のリリースは、相手先の名前も入りますよね。
提携は、相手の同意が前提です。発表する文面を相手にも見てもらい、公表のタイミングと表現をそろえるのが基本です。相手先が自社の発表も予定しているなら、同じ日に出すかどうかも決めておきます。
提携の条件はどこまで書くものですか。
読み手の購買担当者は、「取引条件に何が関わるのか」を知りたいはずです。ただ、独占か非独占か、販売地域、期間といった契約条件は、公表しない約束になっていることがあります。契約書の秘密保持の条項を確認し、書ける範囲を相手と決めます。
認証取得はどうでしょう。
認証は、技術者や購買担当者が調達基準と照らして読む題材です。書くときは、認証の名称、認証を受けた対象 (工場なのか、製品なのか)、取得した拠点、有効期間を正確に書きます。認証の対象範囲を広く読める書き方は避けます。
認証取得の発表で行き違いが起きやすい点
- 認証の対象が、特定の工場や製品に限られていないか
- 認証の正式名称と、認証機関の表記が証書と一致しているか
- 有効期間が切れる時期を、発表後に社内で管理できるか
- 取得したのが本社か、現地法人か、他の拠点かを書き分けているか
「取得しました」だけでは、取引先が知りたいことに答えていないんですね。次は、人事の話ですね。
人事は短い題材ですが、要点は同じです。現地の責任者が着任した場合は、取引先が連絡する相手が誰かを伝えます。本人の同意を得て、経歴と写真を載せる範囲を決めておきます。
掲載先と言語の考え方
リリースを出した先には、どんな媒体があるのでしょうか。
大きく分けると、総合ニュースサイト、ビジネス・経済系のメディア、業界専門のメディアがあります。総合ニュースは業界の外の読者も想定し、業界専門メディアは特定の業界の読み手を想定していると考えられます。ただし、どの媒体が何を取り上げるかは編集方針で変わるので、題材だけで載る・載らないは決まりません。
だとすると、書き方を変える必要がありますか。
読み手が業界の外の人かもしれない前提で、最初の段落に「誰のどんな課題に関わる発表か」を書いておくと、媒体が違っても伝わりやすくなります。専門用語には短い説明を添えます。
| 掲載先の種類 | 読み手として想定される人 | 原稿で意識すること |
|---|---|---|
| 総合ニュースサイト | 業界に詳しくない人を含む読者 | 会社の事業を最初の段落で説明する |
| ビジネス・経済系メディア | 経営や投資に関心のある読者 | 事業としての意味、取引先への影響を書く |
| 業界専門メディア | 同じ業界の技術者・購買担当 | 仕様、対象品目、導入条件を具体的に書く |
言語はどう考えればいいですか。マレーシアは言語が多いと聞きます。
マレーシアはマレー語、英語、中国語、タミル語が話される国で、公用語はマレー語です。BtoB の取引先に向けては、まず英語から始めて、相手に合わせて足す考え方があります。言語の選び方は、東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番で詳しく扱っています。
分かりました。ここまでの題材を、社内でどう進めればいいか教えてください。
発表までの社内の進め方
どの題材でも、手順はほぼ共通です。次の順に進めます。
手順
読んでほしい相手を決める。購買担当者なのか、技術者なのか、代理店候補なのかを書き出す
その相手が知りたいことを 1 つ決める。導入事例なら「同じ条件で使えるか」、拠点開設なら「どこに連絡するか」
発表できる情報を社内で確認する。顧客・提携先の許可、公表してよい数字、認証の対象範囲を担当部署に確認する
英語の原稿を作り、最初の段落に「誰のどんな課題に関わるか」を書く
配信の手段を決め、配信後は掲載された URL を営業資料に使う
BtoB の発表で共通する考え方
- 題材ではなく、取引先の問いに答える情報が入っているかで選ぶ
- 許可と数字の範囲は、原稿より先に社内で決める
- 最初の段落で、誰のどんな課題に関わる発表かを書く
- 掲載の可否は媒体の判断なので、特定の媒体を前提にしない
手順 3 の確認が、時間を食いそうです。
部署が複数にまたがるので、発表の日付が決まっているなら、確認は早めに始めてください。顧客や提携先への依頼は、相手側の承認に日数がかかることもあります。
日本で出す場合との違いも知りたいです。
日本では、取引先が自社の名前をすでに知っている前提で書ける場面が多いと思います。マレーシアの取引先には社名がまだ知られていない場合があり、会社の事業と強みを、発表の中で自己紹介するつもりで書くことになります。次に、配信の手段を比べます。
配信する手段を比べる
原稿ができたとして、現地にはどうやって届ければいいですか。
手段は 3 つに分けられます。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。
| 手段 | 向いている場合 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 自社で直接送る | 現地に広報担当がいて、記者の連絡先がある | 連絡先の収集と、英語の原稿作成が自社の負担になる |
| 配信サービスを使う | 現地に広報担当がおらず、まず 1 本出したい | 掲載先の種類と、保証の有無を確認する |
| PR 会社に委託する | 継続的に発信し、取材対応まで任せたい | 費用と、原稿の確認にかかる日数を事前に聞く |
うちは現地に広報がいないので、配信サービスが近そうです。
たとえば海外PR.jp は、公式サイトに、掲載先は各国の総合ニュースサイト、ビジネス・経済系メディア、業界専門メディアなどが中心だと書かれています。マレーシアを含む国で、10 媒体以上への掲載が保証されています。どの媒体に載るかは約束されるものではなく、媒体名と URL は配信から 5 営業日が目安でレポートで確認します。
費用はどのくらいですか。
配信が 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別) です。日本語の原稿を英語にするなら翻訳オプションが 1 言語 20,000 円 (税別) で、1 か国に 1 言語なら合わせて 70,000 円 (税別) です。時期によりキャンペーン価格の場合があるので、最新は公式サイトで確認してください。マレー語や中国語の翻訳は対応言語に入っていないため、マレーシアは英語での配信になります。
掲載された記事は、営業にどう使えますか。
掲載された記事の URL を、営業資料や名刺代わりのメールに載せれば、取引先が社名を検索したときの確認先として渡せます。売上や商談への効果は約束できませんが、「現地向けの情報がある」状態を作る材料にはなります。
手段は、あとで選べば良さそうですね。最後に、今日の内容を表にまとめてもらえますか。
題材別のまとめ
題材ごとに、最初に決めることと、確認先をまとめました。計画を立てるときは、JETRO の最新の情報も見ておいてください。
| 題材 | 最初に決めること | 確認先 |
|---|---|---|
| 導入事例 | 顧客の掲載許可と、書く項目の範囲 | 営業、顧客、法務 |
| 設備投資 | 公表する数字と、稼働時期の言い方 | 経理、製造、IR |
| 提携 | 相手先の同意と、書く条件の範囲 | 経営層、法務、相手先 |
| 認証取得 | 認証の名称・対象範囲・有効期間 | 品質保証 |
| 拠点開設 | 連絡窓口、取扱品目、対応言語 | 現地法人、営業 |
| 人事 | 本人の同意と、載せる経歴・写真 | 人事、本人 |
マレーシアにどのくらいの日系企業がいるのかも、社内で聞かれそうです。
JETRO の資料だと、マレーシアの日系企業は 1,657 社で、製造業がその半数強です。同じ業種の会社が現地にいる場合も考えられるので、差別化できる点を原稿に書いておくと読み手に伝わりやすくなります。詳しくは JETRO マレーシア 概況・基本統計で確認できます。
関連する記事はどこから探せますか。
取引先や代理店の開拓は販路・パートナー開拓に、マレーシアに関する記事はマレーシアのページにまとめています。
よくある質問
顧客の許可が取れない場合、導入事例は出せませんか。
社名を伏せ、業種・使用場面・課題と結果で書く方法があります。ただし、伏せる場合でも、顧客を特定できる情報が残っていないか、顧客に確認してください。
設備投資の金額は出すべきですか。
出す必要はありません。取引先の購買担当者や技術者が知りたいのは、供給能力や稼働時期などであることが多いと考えられます。金額は経理・経営層の判断で決めます。
英語の原稿しかなくても出せますか。
マレーシアは英語から始める考え方があります。購買担当者や技術者に向けた発表なら、まず英語で出し、反応を見てマレー語や中国語を検討する流れが取りやすいです。
業界専門メディアに載せたい場合は、どうすればいいですか。
特定の媒体への掲載は約束できません。原稿は、対象品目、仕様、導入条件を具体的に書くと、業界の技術者や購買担当に伝わりやすくなります。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
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