シンガポール向け日本食品の輸出PR|商談会の前後に出す発表と資料への載せ方
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シンガポール向けに、うちの食品を輸出したいと考えています。先日、現地の商談会に出たんですが、名刺は交換できても、その後に問い合わせが来ません。名前を覚えてもらえていないのかなと感じています。
商談会のあとに連絡が来ないのは、中小メーカーでも産地の団体でもよく聞く悩みです。ただ、連絡が来ない理由を「名前を覚えてもらえなかった」と決めてしまうのは早いかもしれません。バイヤーが後から見返せる材料が手元にあったか、という点から見ていきましょう。
後から見返せる材料、ですか。
はい。商談の場で渡した名刺とパンフレット以外に、英語で読める商品の情報がどこにあるか、という話です。今日は、商談会や見本市の前後に出す発表に何を入れるか、掲載された記事の URL を商談資料にどう載せるかを順に見ます。なお、問い合わせが来るかどうかは相手次第なので、そこは約束できません。記事を何に使えるかまでを扱います。
まず、日本からシンガポールへの食品輸出を公的統計で確認する
そもそも、シンガポールは日本の食品にとって大きな市場なんでしょうか。
数字で見てみましょう。農林水産省の統計では、シンガポール向けの輸出額が 548 億円で、輸出先として 7 位です。これは 2023 年の数字です。
2023 年だと少し前ですね。最新の数字はないんですか。
2025 年は、輸出の総額が 1 兆 7,005 億円でした。ただ、国別の金額は私のほうで確認できていません。数字が必要な場面では、農林水産省の「農林水産物・食品の輸出に関する統計情報」のページで、最新の国・地域別の表を自分で見るのが確実です。この記事では 2023 年の数字だけを使います。
| 確認したい内容 | 見る場所 | この記事で確認できた内容 |
|---|---|---|
| シンガポール向けの輸出額と順位 | 農林水産省「農林水産物・食品の輸出に関する統計情報」、JETRO のシンガポール向け食品のページ | 2023 年は 548 億円、7 位 (農林水産省の集計を JETRO のページが紹介) |
| 日本全体の輸出額 | 農林水産省の報道発表 (2026 年 2 月 3 日) | 2025 年は 1 兆 7,005 億円 |
| シンガポール向けの規制や相談先 | JETRO のシンガポール向け輸出支援のページ | 食品の規制の相談窓口がある (次の章) |
金額が大きいかどうかより、自社の商品がどの位置にいるかを見る材料になるわけですね。
そうです。統計は、社内で説明するときや、自治体の事業計画に書くときの根拠になります。次に、バイヤーが商談の前後に何を調べているのかを見ます。
バイヤーは商談の前後に何を見ているのか
先方のバイヤーは、商談の前後に何を調べているんでしょうか。
実は、これを裏づける調査は見つかっていません。ですので、断定はできません。商談の前後に社名や商品名を検索する場合がある、と考えるのが自然な範囲です。検索したときに何も出てこないと、判断の材料が名刺とパンフレットだけになります。
逆に、何か出ていれば違うということですか。
出ていれば、その分だけ相手が読める情報が増えます。ただし、英語のニュース記事が検索で出るかどうかは、媒体や検索の仕組みにもよります。記事があれば上位に出る、とも言えません。ここで言えるのは、記事は「あとから見せられる、第三者のページ」として使えるということまでです。
第三者のページ、というのは自社サイトとは違うという意味ですね。
そうです。自社サイトには自社が書いたことが載っています。報道向けの発表が媒体に載れば、媒体の記事としてその内容が残ります。バイヤーが実際にどう受け取るかは相手次第ですが、商談資料に URL を載せておけば、見てもらう機会は増えます。
記事に期待してよいことと、しないこと
- 期待してよいのは、商談の場で渡す資料に、英語で読める第三者のページを加えられること
- 期待しないのは、記事が出れば問い合わせが来るという流れ。連絡の有無は相手の事情で決まる
- バイヤーが検索するかどうかは確認できた調査がないため、「場合がある」と考えて準備する
期待しすぎないほうがいい、ということですね。では、発表には何を入れればいいですか。
商談会の前後に出す発表に入れる 4 項目
商談会に出ることを発表するとして、書く内容は新商品の紹介と同じでいいですか。
近いのですが、食品の輸出では商品、産地、取扱条件、問い合わせ先の 4 項目を入れておくと、読んだ人が次に何をすればよいか分かります。図の順に見ていきます。
商品は名称と原材料と、というところでしょうか。
はい。商品名は英語表記を決めて、パッケージの表記と合わせます。原材料と内容量、どんな食べ方や使い方をする商品かを書きます。日本では説明しなくても通じる食べ方が、海外では伝わらないことがあるので、一文で添えます。
産地は、都道府県名を書けばいいですか。
都道府県の英語表記に加えて、市町村名とつくり手の名前を書きます。産地の団体や自治体が出すなら、参加している事業者の数や名前の扱いを先に決めておきます。「歴史がある」「こだわりの」といった評価の言葉より、何年からどこでつくっているか、という確認できる事実のほうが読み手に伝わります。
取扱条件は、商談で口頭で伝えるものだと思っていました。
口頭で伝えた条件は、後で相手の手元に残りません。最小ロット、荷姿、賞味期限、保存温度、出荷できる時期を、発表か、発表からリンクする英語のページに書いておきます。ここは数字を決めてから書くのが前提で、決まっていない項目は書かずに、問い合わせ先に相談してもらう形にします。
| 項目 | 入れる内容の例 | 書くときの注意 |
|---|---|---|
| 商品 | 英語の名称、原材料、内容量、使い方、写真 | パッケージの表記と一致させる |
| 産地・つくり手 | 都道府県・市町村、つくり手の名前、つくり方の特徴 | 評価の言葉より、確認できる事実を書く |
| 取扱条件 | 最小ロット、荷姿、賞味期限、保存温度、出荷時期 | 決まっていない項目は書かず、相談先を示す |
| 問い合わせ先 | 英語で対応できる担当者、メール、英語の商品ページ | 返信できる体制がある連絡先だけを載せる |
問い合わせ先は、会社の代表アドレスでもいいですか。
英語で返信できる人に届くアドレスにしてください。代表アドレスに英語のメールが届いても、誰も読まないまま止まっているケースを避けたいからです。英語で返せる担当者が決まっているかを、発表を出す前に確認します。
なるほど。となると、規制の話はどう扱えばいいですか。食品はそこが気になります。
輸入規制は、発表で解決しようとしない
食品だと、輸入の規制がありますよね。発表の中で触れたほうがいいですか。
規制の手続きは、この記事では説明しません。一例を挙げると、「食品」に分類される健康食品はシンガポール食品庁 (SFA) の所管で、輸入者が事前に SFA へ事業者登録をする必要があります。これは健康食品の話で、ほかの食品に同じ手続きが当てはまるとは限りません。いずれにしても、規制の確認は、輸入する側の事業者と一緒に進めるものです。
商品ごとに違うんですね。
商品の種類によって扱いが変わるので、一般論で「問題ない」と書くのは避けてください。JETRO は、シンガポール向けの輸出支援プラットフォームとして、食品規制などの相談を受ける無料の窓口を案内しています。発表の文面には「輸入に必要な条件は、輸入者と確認して進める」という姿勢を書き、細かい確認は窓口と輸入者に任せるのが安全です。
発表に書いてはいけないこと
- 輸入の許可や規制の通過が済んでいない商品を、「すぐに販売できる」と読める表現で書く
- 規制の内容を自社で解釈して書く。内容は変わるため、公的機関のページで最新を確認する
- 「シンガポールで人気」「現地で売れている」といった、確認できる根拠のない表現
書かないことを決めておく、という考え方は役に立ちます。では、発表を出すタイミングはどう決めればいいですか。
会期の前と後で、出す発表を分ける
商談会の前に出すのと、後に出すのとでは、書く内容は違いますか。
違います。会期の前は「出展する」という知らせで、商品、産地、取扱条件、問い合わせ先を載せます。会期の後は、商談の結果を踏まえた続報になります。たとえば、輸入者が決まったことや、英語の商品ページを追加したことです。どちらも事実が決まってから出します。
会期の前の発表は、どのくらい前に出せばいいんでしょう。
日数の決まりはありません。逆算で決めるのが現実的です。資料に載せる URL がほしい日から、配信後に掲載を確認するまでの日数を引きます。配信してから掲載を確認できるまでに日数がかかるサービスもあります。後の章で一例を挙げます。商談シートの印刷や、案内メールの送信が会期の何日前かを決めてから、配信日を置きます。
手順
商談会や見本市の会期と、商談資料を確定させる日を決める
発表に入れる 4 項目 (商品、産地、取扱条件、問い合わせ先) を社内で確定し、決まっていない項目は外す
英語の原稿を作り、英語で読める人が数字と固有名詞を照合する
資料に URL を載せたい日から、掲載の確認までの日数を引いて配信日を決める
掲載された記事の URL を一覧にして、案内メール、商談シート、お礼メールに入れる
自治体の事業だと、単年度の実績報告も必要になります。
報告にも使えます。掲載された媒体名と URL の一覧があれば、「何をいつ発信したか」を示す材料になります。
掲載された記事の URL を、商談資料にどう載せるか
記事が載ったら、その URL は商談資料のどこに入れればいいですか。
3 つの場所が考えられます。1 つ目は、会期前の案内メールです。2 つ目は、会期中に渡す商談シートや会社紹介の裏面です。3 つ目は、会期後のお礼メールと提案資料です。URL は「記事の見出し」と「媒体名」と一緒に書くと、受け取った人が何のリンクか分かります。
| 載せる場所 | 載せ方 | 注意すること |
|---|---|---|
| 会期前の案内メール | 本文の最後に、発表の記事へのリンクを 1 本 | リンクを何本も並べない |
| 商談シート・会社紹介 | 「掲載された記事」の欄に、見出しと媒体名と URL | 印刷物は長い URL を短縮するか、英語の商品ページに集約する |
| 会期後のお礼メール・提案資料 | 掲載の一覧を添付、または本文に記載 | 掲載されなかった媒体は書かない |
URL を資料に載せるときの考え方
- URL は記事の見出しと媒体名とセットで載せる
- 印刷物には、自社サイトの英語ページの URL を 1 つだけ載せる
- 掲載された記事だけを載せ、載らなかったものは書かない
印刷物に長い URL は書きにくいですね。
その場合は、自社サイトの英語ページに「掲載された記事」の一覧を作り、印刷物にはそのページの URL を 1 つだけ載せます。記事が増えても、ページを更新するだけで済みます。
掲載の一覧をもらえるサービスだと、そこが楽になりそうです。実際に、手段にはどんな選択肢がありますか。
発表を出す手段を比べる
英語の発表を出すとして、どんな方法がありますか。
手段は 3 つに分けられます。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。シンガポールは英語が公用語に入っているので、英語の原稿を作れば、そのまま出せる国です。
| 手段 | 費用の考え方 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自社で直接送る | 媒体の連絡先を調べる手間 | 媒体の記者と付き合いがある |
| 配信サービスを使う | サービスごとの配信料 | 現地に担当者がおらず、会期に合わせて 1 本出したい |
| PR 会社に委託する | 契約内容による | 継続的に発信し、取材の対応まで任せたい |
うちは現地に担当者がいないので、配信サービスが近そうです。英語の原稿は日本語から訳す必要があります。
配信サービスの一例として、海外PR.jp は、翻訳オプションに英語があり、配信が 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別)、翻訳が 1 言語 20,000 円 (税別) です。シンガポール 1 か国に英語 1 言語で出す場合は、合わせて 70,000 円 (税別) です。時期によってキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。
掲載はどのくらい見込めますか。
このサービスでは、どの国でも 10 媒体以上への掲載が保証されていて、掲載された媒体名と URL がレポートで確認できます。保証はこのサービスの条件であって、海外へのリリースが一般に載るという意味ではありません。レポートは配信から 5 営業日が目安です。先ほどの資料づくりでは、この日数を逆算に使います。
手段は違っても、先に決めることは変わらないんですね。
はい。誰に何を見せたいか、そのためにいつまでに URL がほしいかを先に決めて、手段はそのあとです。最後に、確認先をまとめます。
確認先のまとめ
社内で共有する用に、何をどこで確認するか、表にしてもらえますか。
事情や制度は変わるので、最新は公式ページで確認してください。
| 確認すること | 確認先 | 備考 |
|---|---|---|
| 日本からシンガポールへの食品の輸出額 | https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_info/zisseki.html | 農林水産省の統計情報。最新の年を自分で確認する |
| シンガポール向け輸出の相談先 | https://www.jetro.go.jp/agriportal/platform/sg/ | JETRO の輸出支援プラットフォーム。相談は無料と記載 |
| シンガポールの健康食品の輸入規制 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/foods/exportguide/healthfood.html | JETRO の解説 (健康食品が対象)。調査時点は 2025 年 10 月。ほかの食品は輸入者や相談窓口に確認 |
| シンガポールの公用語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/basic_01.html | JETRO の基本情報。2026 年 6 月 18 日更新 |
ありがとうございます。ほかの記事も読んでみたいです。
英語で出すか現地語で出すかの考え方は東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番に、販路や取引先づくりの話は販路・パートナー開拓にまとめています。シンガポールの記事はシンガポールのページから探せます。
よくある質問
商談会に出る前に発表を出さなくても、後から出して間に合いますか?
後から出しても構いません。ただ、会期の前に出せば、案内メールや商談シートに記事の URL を載せられます。資料に載せたい日を先に決めて、そこから逆算してください。
英語のニュース記事は、本当に検索で出ますか?
出るかどうかは、媒体や検索の仕組みによるため、約束はできません。この記事では、出た場合に商談資料へ載せられる、という使い方に絞っています。
輸入規制は、発表の前に全部確認しておく必要がありますか?
全部を発表の前に済ませる必要はありません。ただ、販売できると読める表現は避け、規制は輸入者や JETRO の窓口と確認して進めてください。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
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