ASEAN PR トーク

ベトナム現地での認知づくり

ベトナム現地法人の設立プレスリリース|現地メディアに知らせる前に決める 5 項目

公開 更新 約 5.5 千字

田中海外事業担当
竹内東南アジア向けPR担当
田中田中
ベトナムに現地法人を立ち上げました。日本語のプレスリリースは出して、日本の媒体には少し載ったのですが、ベトナムでは誰にも知られていない気がします。現地向けに何をすればいいのか、そもそも何を書けばいいのかも分かりません。
竹内竹内
法人を設立した直後に、この状態で止まる日本企業は多いです。日本語のリリースは日本の読者に向けたものなので、ベトナムの読者や記者には届きません。設立の発表は、日本向けの原稿を翻訳するだけでは足りない、というのが今日の結論です。
田中田中
翻訳だけでは足りないんですか。
竹内竹内
はい。何を載せるか、どの順に書くか、どの言語で出すかを、ベトナムの読者に合わせて組み直す必要があります。今日は、言語の確認、発表に入れる項目、日本語原稿の作り直し方、手段の比べ方の順で進めます。

日本語のリリースがベトナムで読まれない理由

田中田中
そもそも、日本語のリリースがベトナムに届かないのは当然のことなんでしょうか。
竹内竹内
当然というより、言語の違いによるものです。JETRO の資料を見ると、ベトナムの公用語はベトナム語で、人口は約 1 億人です。
田中田中
人口が約 1 億人いて、公用語がベトナム語ということは、その人たちが読むニュースもベトナム語が中心になりそうですね。
竹内竹内
そう考えるのが自然です。英語や日本語で出ている媒体が一切ない、とまでは言いません。ただ、公用語がベトナム語の国に、日本語だけで発表しても、読者の多くには読まれないと思っておいたほうがいいです。
田中田中
日本語の記事がないと、現地の人は何を見て私たちの会社を知るんでしょう。
竹内竹内
取引先候補や採用候補の方が社名を検索したときに、ベトナム語の情報が見つかるかどうかが分かれ目になります。法人の設立は、現地に正式に拠点ができたという事実なので、その事実がベトナム語で確認できる状態を最初に作っておくことになります。
田中田中
なるほど。では、ベトナム語で出すとして、中身には何を入れればいいかが次の問題ですね。

設立の発表に入れる 5 項目

ベトナム現地法人の設立発表に入れる 5 項目
ベトナム現地法人の設立発表に入れる 5 項目
田中田中
設立を知らせるリリースには、どんな情報を入れるのが基本ですか。
竹内竹内
企画の段階で整理しやすいのは、事業内容、所在地、投資額、雇用の予定、問い合わせ先の 5 項目です。設立の手続きで出す申請書にも、投資の目的、規模、資本、場所といった項目があります。リリースに入れる項目と重なるので、手元の書類から拾いやすいです。
田中田中
申請書の内容をそのまま載せていいんですか。
竹内竹内
そのままではなく、読者向けに言い直します。手続きの書類は行政に向けた文章で、リリースは記者や取引先に向けた文章だからです。たとえば「投資目標」は、現地で何を作り、誰に売るのかという一文に直します。
田中田中
5 項目を、もう少し具体的に教えてください。
竹内竹内
事業内容は、現地で何をする法人かを 1 文で書きます。所在地は、省・市の名前と工業団地やビルの名前まで書くと、取引先が場所を想像しやすくなります。投資額は確定した金額だけを、通貨と時点を添えて書きます。雇用の予定は、人数と職種、いつまでに何人かという計画を書きます。問い合わせ先は、ベトナム語か英語で対応できる窓口を決めて載せます。
項目書く内容社内で先に確認すること
事業内容現地で行う事業を 1 文で許認可を受けた範囲と、リリースの表現が合っているか
所在地省・市名と、施設の名前登記上の住所と、実際の事業所の住所のどちらを書くか
投資額確定した金額、通貨、時点公表してよい金額か。本社の開示ルールと合っているか
雇用の予定人数、職種、時期の計画計画が変わる可能性があるときは「予定」と明記できるか
問い合わせ先窓口の名前と連絡手段ベトナム語または英語で返信できる担当者がいるか
田中田中
投資額や雇用は、公表していいのか迷う会社が多そうです。
竹内竹内
迷うのが普通です。出せない項目は、無理に入れなくても構いません。入れる項目を減らすときは、事業内容と所在地を詳しく書いて、読者が「何をする会社で、どこにいるのか」を理解できるようにします。
発表の項目を決めるときの考え方
  • 事業内容、所在地、投資額、雇用の予定、問い合わせ先の 5 項目を候補にする
  • 公表できない項目は外し、事業内容と所在地を具体的に書く
  • 数字は確定した値だけを使い、計画は「予定」と明記する
田中田中
項目が決まったら、次はそれをどう伝わる文章にするかですね。

日本語の原稿をベトナム向けに作り直す

田中田中
うちの日本語のリリースは、社長のあいさつと沿革から始まっています。これをベトナム語にすればいいですか。
竹内竹内
構成を変えたほうがいいです。日本のリリースでは、経緯やあいさつを前に置くことがありますが、読み手が現地の人の場合、最初の段落で「どこで、何を始めたか」が分かるほうが伝わります。最初の段落に、法人名、所在地、事業内容、開始時期を入れると決めておくと、迷いません。
日本語の原稿をベトナム向けに作り直す手順
日本語の原稿をベトナム向けに作り直す手順
田中田中
日本語の原稿の段階で、直すところはありますか。
竹内竹内
あります。日本語は主語を省く文が多いので、翻訳で別の意味に取られないよう、主語を補います。社内で使っている略称や部署名は、一般的な言葉に置き換えます。会社名と法人名は、ベトナム語での表記を先に決めておきます。
手順

設立の事実を確認する。法人名、登記上の住所、事業内容を、登記の書類と照らして確定する

発表に入れる 5 項目を決める。公表できない項目は外し、入れる項目の数字と表記を 1 つの文書にそろえる

日本語の原稿を直す。最初の段落に法人名、所在地、事業内容、開始時期を置き、主語を補う

ベトナム語に翻訳する。社名、金額、日付、人数が原文と一致しているかを確認する

ベトナム語を読める人に、配信前に一度目を通してもらう。可能なら現地スタッフに頼む

配信日を決める。設立の手続きが終わった日付と、発表の日付がずれないようにする

田中田中
配信日のところで、手続きが終わった日付とずれないように、というのはどういうことですか。
竹内竹内
JETRO の資料だと、企業登録証明書は、書類を出してから原則 3 営業日以内に手続きが行われることになっています。設立の発表は、この手続きが終わってからにするのが基本です。証明書の発給前に「設立しました」と書くと、事実と合わなくなる場合があります。
田中田中
なるほど。事実を確定してから、ベトナム語に直すんですね。翻訳のとき、特に気をつける点はありますか。

翻訳で止まりやすいところ

設立リリースを翻訳するときの落とし穴
  • 法人名の表記が、登記上の名称と、リリース内の表記でずれていないか
  • 投資額や資本金の桁と通貨が、原文と一致しているか。通貨の単位も原文と合わせる
  • 「予定」「見込み」といった日本語のあいまいな表現が、確定した事実として訳されていないか
  • 雇用人数が「最大」なのか「予定」なのかが、訳文でも区別されているか
  • 日本語の社内用語や、本社の部署名が、そのまま音訳されていないか
田中田中
機械翻訳を使って、ベトナム語が分かる人に確認してもらうのはどうでしょう。
竹内竹内
下書きに使うのは構いません。ただ、金額や「予定」といった言い回しは、機械翻訳で意味が変わる場合があるので、人が確認する工程を入れてください。確認できる人が社内にいなければ、現地のスタッフや代理店、翻訳会社に頼む方法もあります。
田中田中
日本との違いで、ほかに気をつけることはありますか。
竹内竹内
日本では、設立の発表を「経営者の決意表明」として書くことがあります。ベトナムの読者に向けるなら、決意よりも、事業内容と場所、雇用の予定のような確認できる事実を前に出したほうが、読み手が使いやすい原稿になります。これは原稿の読みやすさを考えた書き方で、取り上げられやすさを保証するものではありません。
田中田中
取り上げられるかどうかは、結局のところ媒体次第ということですか。
竹内竹内
そうです。切り口が合えば載る、という約束はできません。取り上げるかどうかは各媒体の編集部が決めます。原稿でできるのは、判断に必要な事実を過不足なく、読みやすい順番で渡すところまでです。
田中田中
原稿が整ったとして、あとはどうやって媒体に届けるかですね。

配信する手段を比べる

田中田中
現地のメディアには、どうやって届ければいいんでしょうか。
竹内竹内
手段は大きく 3 つです。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、の 3 つです。ベトナム語の原稿をどう用意するかも含めて比べると、次のようになります。
手段ベトナム語の原稿向いている場合気をつける点
自社で直接送る自社で用意する現地に広報担当がいて、記者の連絡先を持っている連絡先を自分で集める手間がかかる
配信サービスを使うサービスにより翻訳オプションがある現地に広報担当がおらず、まず 1 本出したい対応言語と、掲載の条件を申し込み前に確認する
PR 会社に委託する委託先が作ることが多い継続的に発信し、取材対応まで任せたい費用は個別の見積もりになる場合が多い
田中田中
うちは現地に広報の専任がいないので、配信サービスが近そうです。ベトナム語の翻訳まで頼めるものはありますか。
竹内竹内
たとえば海外PR.jp は、翻訳オプションが英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の 4 言語に対応しています。日本語の原稿でも、翻訳オプションを付ければベトナム語で配信できます。
田中田中
費用と、掲載の条件はどうなっていますか。
竹内竹内
配信は 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別)、翻訳は 1 言語 20,000 円 (税別) です。ベトナムにベトナム語で出すなら、合わせて 70,000 円 (税別) になります。どの国でも 10 媒体以上への掲載が保証され、掲載された媒体名と URL の一覧は、配信から 5 営業日を目安に管理画面で確認できます。時期によってキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。
田中田中
掲載の保証というのは、どこの会社でも同じ条件なんですか。
竹内竹内
いいえ。これは海外PR.jp のサービス条件で、海外にリリースを出せば載る、という一般論ではありません。掲載の効果までは約束できませんが、掲載記事の URL の一覧は、取引先や採用候補の方に「現地の媒体に出た記事です」と見せる資料に使えます。
田中田中
手段は、ベトナム語の原稿を誰が作るか、掲載を誰が担保するかで選ぶ、という整理ですね。
竹内竹内
その理解で合っています。選ぶときの見方を、いったん箱にまとめておきます。
配信の手段を選ぶときの見方
  • ベトナム語の原稿を、誰が作り、誰が確認するのかを先に決める
  • 掲載の条件は、サービスごとに異なるので、申し込み前に文面で確認する
  • 掲載の効果は約束されないので、掲載記事を何に使うかまで考えておく
竹内竹内
最後に、今日の内容を場面ごとの表にまとめます。

判断のまとめと確認先

田中田中
社内で共有したいので、今日の話を一覧にしてもらえますか。
竹内竹内
場面ごとに、判断の目安と確認先をまとめました。制度や手続きの運用は変わる場合があるので、最新の情報は下の公式ページで確認してください。
場面判断の目安確認先
発表の言語公用語がベトナム語なので、ベトナム語を基本にするhttps://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/basic_01.html
発表の時期企業登録証明書の発給後にするhttps://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/invest_09.html
入れる項目事業内容、所在地、投資額、雇用の予定、問い合わせ先同上 (申請書の項目と重なる)
配信の手段ベトナム語の原稿の作り手と、掲載の条件で選ぶ各サービスの公式サイト
田中田中
ありがとうございます。関連する記事はどこで探せますか。
竹内竹内
設立の発表と同じ悩みは現地での認知づくりにまとめています。言語の考え方は東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番が参考になります。ベトナムの記事はベトナムのページにまとめていきます。

よくある質問

田中田中
最後に、細かい質問をいくつかさせてください。設立の発表は、いつ出すのがいいですか。
竹内竹内
企業登録証明書が発給され、法人名と住所が確定してからにしてください。手続きは書類の提出から 3 営業日以内が原則とされていますが、実際の日数は案件によって変わる場合があるので、手続きを進める専門家に確認してください。
田中田中
投資額や雇用人数は、全部書く必要がありますか。
竹内竹内
いいえ。公表してよい項目だけで構いません。入れないと決めた項目があっても、事業内容と所在地が具体的に書かれていれば、リリースの役割は果たせます。
田中田中
日本語の原稿しかなくても、ベトナム語で配信できますか。
竹内竹内
できます。日本語の原稿を翻訳する工程を入れれば配信できます。その場合も、翻訳に出す前に、日本語の段階で主語を補い、最初の段落に法人名、所在地、事業内容を置いておくと、訳したあとの直しが減ります。
田中田中
英語のリリースをベトナムに出しても意味はありませんか。
竹内竹内
意味がないとは言い切れませんが、ベトナムの公用語はベトナム語です。ベトナムの取引先や採用候補の方に読んでもらうことを考えるなら、ベトナム語の原稿を用意するのが基本です。

執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。

本記事は各国の公的機関などの公開情報をもとに作成しています。各国のメディア事情・制度・祝祭日は変わることがあるため、 実施の前に最新の情報を確認してください。

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