ベトナムのメディア事情|媒体の種類と言語、企業の発表を確認する順番
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ベトナム向けに会社の発表を出す担当になりました。日本では新聞、テレビ、ネットニュースという分け方で媒体を考えていますが、ベトナムも同じ感覚で進めてよいのでしょうか。そもそもどんな媒体があって、何語で読まれているのかも分かっていません。
日本と同じ感覚で考え始めて構いません。ただ、種類の分け方は日本の読者向けの便宜的なもので、言語の前提はそのまま日本の感覚では当てはまりません。今日は、媒体をどう分けて考えるか、言語がどう分かれるか、発表の内容から媒体をどう選ぶか、現地の担当者に何を確認してもらうか、の 4 点を扱います。
ネットで調べても「現場ではこう」という話ばかりで、どれが本当なのか判断できませんでした。
そこは私も同じ立場なので、今日は資料で確かめられたことと、実務上の進め方を分けてお話しします。分からなかったことは、分からなかったと言います。
媒体の種類は「新聞・テレビ・ラジオ・オンライン」で考え始める
まず種類からです。ベトナムの媒体は、どう分けて考えればいいですか?
日本の読者に分かりやすいように、この記事では新聞、テレビ、ラジオ、オンラインの 4 つに分けて考えます。これは制度上の区分ではなく、この記事での整理です。ベトナムの個々の媒体が、この 4 つにきれいに収まるとは限りません。たとえば新聞社がサイトでも記事を出している、といった重なりは日本でもよくあります。
日本の感覚の置き換えだということですね。
そうです。表にすると、日本の感覚と、資料で確認できたことの違いが見えます。
| 種類 | 日本の感覚でいうと | ベトナムについて資料で確認できたこと |
|---|---|---|
| 新聞 | 全国紙、地方紙、雑誌 | 国立国会図書館の一覧に 3 紙が載っている (言語、刊行頻度、創刊年まで) |
| テレビ | 地上波、衛星、ネット配信の番組 | 公的な資料では確認できなかった |
| ラジオ | AM、FM、ネットラジオ | 公的な資料では確認できなかった |
| オンライン | ニュースサイト、配信サイトの記事 | 公的な資料では確認できなかった |
新聞しか確認できていないんですね。
はい。新聞は国立国会図書館の資料で名称と言語が分かりました。テレビ、ラジオ、オンラインは、種類ごとの規模や、企業の発表をどれだけ扱うかが分かる資料が見つかっていません。ネットでよく見る「ベトナムはオンラインが中心」という話も、裏づけになる数字が見つからなかったので、この記事では使いません。
確認できないことは書かない、ということですね。
そのうえで、種類の見方だけは持っておくと役に立ちます。文字の記事が中心なのか、映像や音声が中心なのかで、発表に必要な素材が変わるからです。次は、読み手の言語を見ていきます。
言語はベトナム語が基本で、英語の媒体もある
言語はどうなっていますか。東南アジアは英語が通じるという印象があって、英語のリリースで足りるのかが気になっています。
ベトナムの公用語はベトナム語で、ほかに少数民族語があります。まず読み手の言語はベトナム語だと考えるのが出発点です。
英語の媒体はないということですか?
ないとは言えません。国立国会図書館の資料には、ベトナムの新聞が 3 紙載っています。ベトナム語の日刊紙 Nhân dân、ベトナム語の週 2 回刊紙 Tiền Phong、英語の日刊紙 Viet Nam News で、3 紙ともハノイの発行です。
| 資料に載っている例 | 言語 | 刊行頻度 | 創刊年 |
|---|---|---|---|
| Nhân dân | ベトナム語 | 日刊 | 1946 年 |
| Tiền Phong | ベトナム語 | 週 2 回刊 | 1953 年 |
| Viet Nam News | 英語 | 日刊 | 1991 年 |
3 紙のうち 2 紙がベトナム語で、英語が 1 紙ということですね。この 3 紙が有力な媒体、という読み方でいいですか?
いいえ。これは国立国会図書館が所蔵している新聞の一覧で、媒体の影響力を示すものではありません。ここに載っている媒体は「資料に載っている例」であって、そこに発表が載る、載りやすい、という意味ではないんです。ベトナムの媒体全体を表す一覧でもありません。
気をつけます。ほかにも、言語を知るのに使える資料はありますか?
同じ「東南アジアの新聞」のページには、「多文化社会図書館サービスのための世界の新聞ガイド」という調べ方の資料が紹介されています。ベトナムを含む東南アジア 9 か国の代表的な新聞について、名称、言語、発行地、刊行頻度、創刊年、発行部数、入手先、内容などが収録されているそうです。そこから、媒体の言語を自分で確かめられます。
言語についての見方
- JETRO の国別情報ではベトナムの公用語はベトナム語
- 国立国会図書館の一覧にはベトナム語の新聞と英語の新聞がある
- 英語の媒体があることと、英語のリリースで足りることは別の話
- ベトナム語で出す理由の詳しい説明は、東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番にまとめてある
英語の媒体があっても、読む人の言語が基準になる、ということですね。次は、発表の内容に合わせた媒体の考え方を教えてください。
発表の内容から、どの種類の媒体が合いそうかを考える
媒体の種類と言語は分かりました。実際に自社の発表を出すとき、どの種類から考え始めればいいのでしょうか。
媒体を先に選ぶのではなく、発表の内容を先に決めます。その内容を誰に読んでほしいのかが決まると、合いそうな種類と言語が絞れます。ここから先はデータで言い切れる話ではなく、実務の進め方としての考え方です。
| 発表の内容 | 読んでほしい相手 | 考え方の例 |
|---|---|---|
| 現地法人の設立 | 取引先候補、金融機関、求職者 | 文字で経緯を伝えられる新聞とオンラインから、似た発表が出ているかを調べる |
| 新商品の発売 | 消費者、販売店 | 商品の写真や映像を使いやすい種類があるかを、各媒体で確かめる |
| 工場や設備の稼働 | 取引先、地域の人 | 事業の規模を数字で書けるか、文字中心の媒体に向くかを検討する |
表の右端は、全部「確かめる」ですね。
そのとおりです。どの媒体がどの内容を扱うかは、確認できていないので、断定はしません。確かめる方法は、媒体のサイトや紙面で、自社と似た内容の発表が過去に出ているかを見ることです。出ていれば、その媒体はそうした話題を扱っていると考えられます。見当たらなければ、扱っていない可能性があります。
手間はかかりますが、自分で確かめられる方法ですね。
これだけで決まるわけではありませんが、根拠のない噂よりは確かな材料です。順番にすると、次の図のようになります。
手順
発表の内容を 1 つに絞る。設立か、工場か、商品か、提携かを決める
読ませたい相手と、その相手が読む言語を決める。ベトナム語か英語かを、相手が読む媒体の言語で考える
候補の媒体のサイトや紙面で、似た内容の発表が過去に出ているかを確かめる
文面と進め方を、現地の担当者かベトナム語を読める専門家に確認してもらう
確認が済んだ原稿を、媒体か配信の手段に渡す
自分で媒体を調べるのは、現地に拠点がないと厳しい気もします。
そのときは、調べる作業を現地の担当者に頼む形になります。その前に、ベトナムの報道について、日本との違いを一点だけ押さえておきます。
日本との違いと、制度についての助言
報道のまわりの仕組みも、日本とは違うと聞いたことがあります。どこまで知っておくべきでしょうか。
この記事では、制度の中身には踏み込みません。ベトナムには報道に関する法律があり、日本とは仕組みが違います。法律は改正されることがあるので、制度の詳細はこの記事では扱いません。発表の内容や進め方は、現地の担当者や専門家に確認してください。
実務の上では、何が変わるのでしょう。
日本の感覚で「新聞社に広報担当が電話して、記者が取材に来る」と進むとは限らない、という点です。どの媒体がどの話題を扱い、発表をどう受け取るのかは、日本と違う可能性があります。私が言えるのは、そこまでです。
媒体と進め方について、断定しないこと
- 「この媒体に載れば有力」「この媒体は載らない」という話は、公的な資料からは確認できていない
- 日本の新聞社の感覚で、ベトナムの媒体の動き方を説明しない
- 制度は変わることがある。使う前に、現地の担当者に最新の状況を確認する
- 発表の文面は、現地の担当者かベトナム語を読める専門家に目を通してもらう
知らないまま日本の感覚で進めると、どこかでつまずきそうですね。
つまずく前に確認する、という進め方で十分です。次は、ベトナム語と英語をどう使い分けるかを見ていきます。
ベトナム語と英語の媒体の使い分けの考え方
資料にはベトナム語の新聞と英語の新聞がありました。自社の発表は、どちらに向けて書くのがいいですか?
読んでほしい相手の言語で決めます。ベトナムの取引先や消費者、求職者に読んでほしいなら、ベトナム語が基本です。ベトナム在住の外国人や、ベトナムに関心のある海外の読者に読んでほしいなら、英語の媒体も候補になります。どちらか一方に決める必要はなく、相手ごとに分けることもできます。
英語の原稿だけ用意する、でもいいですか?
英語の媒体があるのは確かですが、英語で足りるかどうかは別の問題です。公用語はベトナム語ですから、ベトナムの読者に届けたい発表なら、ベトナム語の原稿が出発点になります。英語は、英語の媒体を読む人に向けた追加、と考えると分かりやすいです。
2 つの言語で出すときに気をつけることはありますか?
数字や固有名詞が食い違わないことです。日付、金額、社名、人名の書き方がずれると、後で問い合わせが来たときに説明に困ります。ベトナム語版と英語版で、数字と固有名詞を並べて見比べる作業は、翻訳を頼んだ場合でも自分でやってください。
分かりました。現地の担当者に確認してもらう項目も知りたいです。
次の章でまとめます。
現地の担当者に確認してもらう項目
現地の担当者や専門家に確認してもらう、と何度も出てきました。具体的に何を聞けばいいのでしょうか。
私が実務で聞いてきたのは、次の項目です。聞く内容を決めてから依頼すると、確認が早く進みます。
現地の担当者に確認してもらう項目
- 原稿のベトナム語が、読み手にとって自然な表現になっているか
- 社名、商品名、人名の表記が、現地で通じる形になっているか
- 発表の内容が、日本とは違う受け取られ方をしないか
- 発表を出したい媒体で、似た内容の発表が過去に出ているか
- 発表の進め方や、媒体とのやり取りの作法に、日本と違う点がないか
最後の「作法」というのは、どういうことですか?
媒体への連絡の仕方や、写真や資料の渡し方、発表を出す前に必要な手順などです。どれも一般論としてはっきり言えないので、現地の担当者に聞いてください。聞く相手に心当たりがない場合は、JETRO の現地事務所など、現地に拠点のある組織や企業の知人に聞く方法もあります。
日本語で書いた発表の内容と、読んでほしい相手、出したい時期を 1 枚にまとめて渡す、という準備ですね。手段を選ぶ前にやっておきます。実際の手段にはどんな選択肢がありますか?
発表を届ける手段を比べる
原稿ができたとして、実際に媒体へ届ける方法にはどんな種類がありますか。
3 つに分けられます。自社で媒体に直接連絡する、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。ここまで見てきた観点で比べると次のようになります。
| 手段 | ベトナム語の原稿 | 媒体の選び方 | 向いている場合 |
|---|---|---|---|
| 自社で直接連絡する | 自社で用意する | 自社で調べて選ぶ | 現地に社員がいて、媒体を見て判断できる |
| 配信サービスを使う | サービスにより翻訳オプションがある | サービスの条件による | 現地に広報担当がおらず、まず 1 本出してみたい |
| PR 会社に委託する | 委託先と相談する | 委託先と相談して決める | 継続して発信し、取材対応まで任せたい |
配信サービスだと、翻訳まで頼めるものはありますか?
たとえば海外PR.jp は、翻訳オプションが英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の 4 言語に対応しています。ベトナム語の翻訳は 1 言語 20,000 円 (税別) で、配信は 1 か国 1 配信 50,000 円 (税別) です。ベトナムに 1 言語で出すなら、合わせて 70,000 円 (税別) になります。時期によってキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。
媒体の指定はできるんでしょうか。
指定ではなく、国ごとに 10 媒体以上への掲載を保証する条件です。掲載後は、掲載メディア名と URL の一覧が管理画面で確認できます。レポートは配信から 5 営業日が目安です。どの媒体に載るかは配信の結果次第なので、このレポートを見て、載った媒体の種類と言語を確かめる使い方になります。
載った記事の URL は、現地の取引先に見せる資料にも使えそうですね。
使えると思います。ただ、掲載が売上や取引につながるとは言えません。資料の中で「現地語の情報がある」ことを示す材料にする、くらいの位置づけです。
手段は状況で選べばいいわけですね。最後に、ここまでの内容をまとめてもらえますか。
確認できたことと、確認先のまとめ
確認できたことと、確認先を表にしました。国の基本情報は変わることがあるので、使う前に最新の情報を公式のページで確認してください。
| 項目 | 確認できた内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 公用語 | ベトナム語 (JETRO、2026 年 7 月 1 日更新) | https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/basic_01.html |
| 新聞の例 | ベトナム語 2 紙、英語 1 紙 (国立国会図書館、2025 年 11 月 14 日更新) | https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/asia/post_150 |
| 媒体の種類ごとの規模 | 公的な資料では確認できなかった | 現地の担当者や専門家 |
| 企業の発表を扱う分野 | 公的な資料では確認できなかった | 各媒体の紙面やサイト、現地の担当者や専門家 |
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よくある質問
ベトナムの媒体は、ベトナム語だけですか?
ベトナム語が中心と考えられますが、それだけではありません。国立国会図書館の一覧には、英語の日刊紙 Viet Nam News が載っています。
日本の媒体のように、新聞社に直接連絡すれば載りますか?
載るかどうかは、媒体の判断によります。日本と仕組みが違う可能性があるので、現地の担当者に確認したうえで進めてください。
資料に載っている新聞は、有力な媒体と考えていいですか?
いいえ。国立国会図書館が所蔵している新聞の一覧で、影響力や企業の発表の載りやすさを示すものではありません。
企業の発表を扱う媒体の分野を、公的な資料で調べられますか?
そこは分かりませんでした。各媒体のサイトや紙面で、似た発表が出ているかを自分で確かめてください。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
本記事は各国の公的機関などの公開情報をもとに作成しています。各国のメディア事情・制度・祝祭日は変わることがあるため、 実施の前に最新の情報を確認してください。