フィリピン向けの英語プレスリリースは通じる?公用語と原稿の直し方
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フィリピン向けにプレスリリースを出す担当になりました。うちには本社が作った英語版が 1 本しかありません。「フィリピンは英語で大丈夫」と聞くのですが、これは本当ですか?
半分は合っています。フィリピンは公用語に英語が入っている国なので、英語のリリースを出すこと自体は自然な選択です。ただ、「大丈夫」の中身は、誰に届けたいかで変わります。
英語が公用語なら、どこに出しても読まれると考えていました。
そこが分かれ目です。公用語に英語があることと、届けたい相手が日常的に英語のニュースを読むことは、同じではありません。今日は、フィリピンの言語の事情、英語メディアの位置づけ、英語で出すときの原稿の直し方、フィリピノ語が向く場面を順に見ていきます。東南アジア全体の言語の話は東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番で扱っているので、この記事はフィリピン 1 か国に絞ります。
フィリピンの言語は 2 つの公用語と多くの地域言語でできている
まず、フィリピンの言語の事情を教えてください。公用語は英語だけではないんですよね。
フィリピンの公用語はフィリピノ語と英語の 2 つです。そのほかに、セブアノ語のような地域の言語があります。
国全体で言葉が揃っているわけではない、ということですね。
はい。人口は約 1 億 1,000 万人です。それだけの人が複数の言語で暮らしているので、「この言語で出せば全員に届く」という言語はありません。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 公用語 | フィリピノ語、英語 | JETRO「概況・基本統計」(2026 年 7 月 2 日更新) |
| 言語の欄の記載 | フィリピノ語、英語、セブアノ語など | JETRO「概況・基本統計」(2026 年 7 月 2 日更新) |
| 人口 | 1 億 1,272 万人 (2024 年、出所はフィリピン統計庁) | JETRO「概況・基本統計」(2026 年 7 月 2 日更新) |
フィリピンの言語を見るときの前提
- 公用語はフィリピノ語と英語の 2 つで、英語のリリースは公用語の一つで書くことになる
- 言語の欄にはセブアノ語など、公用語以外の地域の言語も挙がっている
- 「公用語に英語がある」ことと「届けたい相手が英語で読む」ことは別に確認する
公用語に英語が入っているというだけで安心していましたが、読み手の側を見る必要があるんですね。では、英語のメディアはどういう位置づけなのでしょうか。
英語のメディアと、フィリピノ語のメディアの分かれ方
英語で出すとして、載せてくれる媒体は英語の媒体ですよね。フィリピンのメディアは英語が中心なんですか?
新聞については、全国で発行されるブロードシートはほとんどが英語で、タブロイドはタガログ語が多い、という説明があります。英語版ウィキペディアの新聞一覧の記述で、公的機関の資料ではないため、参考情報として受け止めてください。
日本の全国紙と夕刊紙のような違いでしょうか。
日本の例えに当てはめるのは少し乱暴ですが、媒体の種類によって言語が分かれているという点は近いです。英語のリリースが向くのは、英語で書かれる新聞やニュースサイトの読者です。一方で、フィリピノ語のタブロイドの読者には、英語のリリースは直接は届きにくいと考えられます。
英語のできる人が多い国、とも聞きます。英語力のデータはありますか?
英語力の指標として、EF Education First (EF) の英語能力指数 (EF EPI) の 2025 年版があります。フィリピンは 123 の国・地域のうち 28 位、スコアは 569 点でした。ただ、これは試験を受けた成人約 220 万人の結果です。受験者は自分で試験を受けた人なので、国民全体の英語力をそのまま表すとは限りません。
数字は高いけれど、全員の話ではないということですね。
そう読むのが安全です。ですので、「英語力が高い国だから英語で十分」と決めるのではなく、届けたい相手の属性から考えるほうが確実です。
| 届けたい相手 | 読む媒体の傾向 | リリースの言語の目安 |
|---|---|---|
| 現地の企業の購買担当・経営層 | 英語のビジネス系ニュース、業界媒体 | 英語 |
| 現地の金融機関・行政・他国の取引先 | 英語の総合ニュース | 英語 |
| 一般の消費者 | フィリピノ語のメディアや SNS の場合がある | 英語に加え、フィリピノ語を検討 |
| 地方都市の消費者 | 地域の言語が使われる場合がある | 現地の広報担当に確認 |
この表を使うときの注意
- 「読む媒体の傾向」は、新聞の言語の違いと公用語の事情から考えた目安で、媒体別の読者調査の数字ではない
- 実際の読者像は、商材と地域によって変わる場合がある
- 判断に迷う場合は、現地の取引先や拠点の担当者に、普段どの言語で情報を集めているかを聞く
自社の相手が企業なのか消費者なのかを先に決める、ということですね。となると、英語で出すと決めたあとの原稿作りが次の問題です。
英語で出すとき、日本語の直訳を避ける
英語版はもう本社に 1 本あります。日本語から訳したもので、これをそのまま使えば済みますか?
本社向けの英語は、投資家向けや海外本社向けの文体のことが多く、現地のニュース向けではない場合があります。フィリピンで使うなら、フィリピンの読者に向けて書き直したほうが、記事として使いやすくなります。
具体的には何を直すんですか?
日本語の直訳に出やすい点を、手順にすると次のとおりです。
手順
日本語の原稿で主語を補う。「導入を開始した」だけでなく、「どの会社が、どの国で、何を」を一文に入れる
最初の段落に、フィリピンで発表する理由を書く。拠点開設、販売開始、現地パートナーとの提携など
社内用語や略称を、一般的な言葉に置き換える。部署名、プロジェクト名、社内の製品コードは説明を付ける
数字と単位を現地の読者が読める形にする。日本円の金額は、必要なら現地通貨の目安と為替の基準日を添える
社名・商品名・人名の表記を、公式サイトや名刺の表記に揃える
英語を読める人に、報道文として自然かを一度確認してもらう
日本語の段階で直す部分が多いですね。
日本語で主語を補う作業は、翻訳の前に済ませたほうが仕上がりが安定します。翻訳のあとで直すより、元の原稿で直すほうが手間が少ないからです。
直訳で起きやすい失敗はありますか。
日本語の原稿が持つ前提が、英語では伝わらないことがあります。たとえば、日本では説明しなくても通じる会社の規模や実績は、フィリピンの読者には知られていません。そこを一文で補っておくと、記事として読まれやすくなります。ここで挙げているのは、原稿を直すときの観点です。
日本語の直訳で止まりやすい点
- 主語を省いた文が、誰の行為か分からない英語になる
- 「弊社」「当社」を訳した結果、どの会社の話か読み取れなくなる
- 日本国内でしか通じない実績や社内の呼び名が、そのまま残る
- 敬語や謙遜の表現が、事実の弱い主張として読まれる場合がある
- 見出しにあたる最初の一文が長く、要点が後ろに回っている
「謙遜の表現が弱い主張に読まれる」というのは気になります。
日本語では「ささやかながら」「微力ながら」といった言い方が丁寧に聞こえますが、英語のニュースでは事実を短く書く文体が使われる場合が多いと考えられます。発表する内容を、数字と固有名詞で短く書くほうが、記者にも読者にも伝わりやすいです。これは文体の傾向の話で、媒体ごとの正解があるわけではありません。
日本との違いは、英語の書き方にも出るんですね。では、フィリピノ語で出したほうがいい場面はあるのでしょうか。
フィリピノ語を足したほうがよい場面
英語で出す前提で来ましたが、フィリピノ語のリリースが必要になるのはどんなときですか?
届けたい相手が一般の消費者で、日常の言葉で情報を受け取っていると考えられるときです。たとえば食品や日用品、飲食店、アプリのように、消費者が自分で選ぶ商材は、フィリピノ語のメディアにも読者がいる可能性があります。
逆に、英語だけで足りる場合は?
企業間の取引が中心の商材は、英語のニュースやビジネス系の媒体が読まれる場合が多いと考えられます。製造設備、部品、業務用のサービス、法人向けのソフトウェアなどです。
断言はされないんですね。
商材ごとの読者の言語が分かる統計は見つかっていません。ですので、ここで述べているのは判断の目安です。最終的には、現地の取引先や拠点の担当者に、相手が普段どの言語で情報を集めるかを聞くのが確かな方法です。
| 商材・場面 | 英語のリリース | フィリピノ語の追加 |
|---|---|---|
| 法人向けの製品・サービス | 基本になる | 必要性は低いと考えられる |
| 現地法人の設立・拠点の開設 | 基本になる | 取引先が消費者なら検討 |
| 一般消費者向けの食品・日用品 | 業界や経済系の読者向けに有効 | 消費者に直接伝えるなら検討 |
| 飲食店・小売店の出店 | 英語の媒体の読者向けに有効 | 地域の来店客に伝えるなら検討 |
| 地方都市での展開 | 全国媒体の読者向けに有効 | 地域の言語の確認が必要 |
フィリピノ語の原稿は、どうやって用意すればいいですか?
社内に分かる人がいなければ、現地の拠点や代理店に書いてもらう方法と、翻訳会社に頼む方法があります。機械翻訳は下書きとしては使えますが、そのまま配信しないでください。社名や数字の誤りに気づけないからです。
英語とフィリピノ語を決める順番
- 届けたい相手を企業か消費者かで分ける
- 企業が相手なら、英語の原稿を整えるところから始める
- 消費者に直接伝えたいなら、英語で出したあとにフィリピノ語を足す計画を立てる
- 足すときは、現地の担当者に媒体と読者の言語を確認してから決める
最初は英語から始めて、必要に応じて足すわけですね。では、実際に配信する手段にはどんな選択肢がありますか?
英語のリリースを配信する手段を比べる
英語の原稿ができたとして、フィリピンのメディアにどう届けるんでしょうか。
手段は 3 つに分けられます。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。
| 手段 | 英語の原稿 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自社で直接送る | 自社で用意する | 現地に広報担当がいて、記者の連絡先を持っている |
| 配信サービスを使う | サービスにより翻訳オプションがある | 現地に広報担当がおらず、まず 1 本出してみたい |
| PR 会社に委託する | 委託先が書くことが多い | 継続して発信し、取材対応まで任せたい |
うちには現地に広報担当がいません。英語版も、日本語から翻訳する形になりそうです。
たとえば海外PR.jp は、フィリピンを含む東南アジアなどの 7 か国に対応した配信サービスで、翻訳オプションに英語があります。1 か国 1 配信が 50,000 円 (税別)、翻訳が 1 言語 20,000 円 (税別) です。英語で出す場合は、合わせて 70,000 円 (税別) になります。時期によってキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。
掲載はどうなりますか。
どの国でも 10 媒体以上への掲載が保証されていて、フィリピンも同じです。掲載された媒体名と URL の一覧が、配信から 5 営業日を目安にレポートで確認できます。これはそのサービスの条件で、海外にリリースを出せば載るという一般論ではありません。
フィリピノ語の翻訳もお願いできますか?
翻訳オプションの対応言語は、英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の 4 言語で、フィリピノ語は入っていません。フィリピノ語が必要な場合は、先ほどの現地拠点や翻訳会社に原稿を頼むことになります。英語の原稿は、翻訳オプションを使う方法と、自社や現地拠点で用意する方法のどちらもあります。
掲載された記事は、どう使えるんでしょうか。
掲載記事の URL を、現地の取引先候補への営業資料や、社内への報告に使えます。掲載が売上や取引先の獲得に結びつくかどうかは、商材や時期で変わるので約束はできません。
手段によって何が増えるかを見て、自社の体制から選ぶわけですね。最後に、今日の内容を国の事情として表にまとめてもらえますか。
フィリピン向けの判断のまとめ
社内で共有したいので、判断の目安を一覧にしてもらえますか。
場面ごとの判断と、確認先をまとめます。計画を立てるときは、JETRO の最新の情報も見ておいてください。
| 確認すること | 判断の目安 | 確認先 |
|---|---|---|
| 公用語 | フィリピノ語と英語の 2 つ | https://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/basic_01.html |
| 企業を相手にする発表 | 英語で出す | 現地の取引先に普段の情報源を聞く |
| 消費者を相手にする発表 | 英語に加えてフィリピノ語を検討 | 現地の拠点・代理店に確認 |
| 英語の原稿 | 日本語の段階で主語と発表の理由を補ってから翻訳する | 本記事の手順 |
| 英語力の参考値 | EF EPI 2025 年版で 28 位 (受験者の結果で、国民全体とは限らない) | https://www.ef.com/wwen/epi/ |
ありがとうございます。関連する記事はどこから探せますか?
6 か国の公用語を比べたい場合は東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番をどうぞ。フィリピンの記事はフィリピンのページに、媒体の話は現地メディア事情に、原稿の書き方はリリースの書き方・翻訳にまとめていきます。
よくある質問
いくつか確認させてください。フィリピンでは英語のリリースだけで足りますか?
企業を相手にする発表なら、英語から始めるのが一般的な選択です。消費者に直接伝えたい場合は、英語のあとにフィリピノ語を足す計画を考えてください。
本社の英語版をそのまま配信してもいいですか?
内容がフィリピンの読者に関係していれば出せますが、フィリピンで発表する理由と、会社の説明を補ったほうが記事として使いやすくなります。直訳調の文を直す作業を入れてから配信してください。
フィリピノ語とタガログ語は同じものですか?
公用語は「フィリピノ語」とされています。タガログ語との関係は、この記事では扱いません。必要な場合は、現地の担当者に使い分けを確認してください。
英語の原稿は、誰に確認してもらえばいいですか?
英語の報道文に慣れた人が望ましいです。現地の拠点や代理店、翻訳会社の担当者に頼む方法があります。社内に英語を読める人がいる場合は、まず社内で読んでもらい、数字と固有名詞が一致しているかを見てもらうだけでも違います。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
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