シンガポールのプレスリリースが東南アジアに届く範囲|周辺国向けとの組み合わせ方
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うちはシンガポールに東南アジアの統括拠点を置いています。新製品の発表を英語のリリースにして、シンガポールで出す予定です。シンガポールで出せば、東南アジア全域に届くと考えていいですか?
そう考えて計画を立てる企業は多いのですが、シンガポールで出した英語のリリースが、周辺国の読者に同じように届くとは限りません。拠点が地域の中心にあることと、ニュースを読む人の言語が同じであることは、別の話だからです。
拠点の置き場所と、読者の言語は別、ということですか。
はい。今日は、シンガポールの発表が届く範囲と届きにくい範囲を確認します。そのうえで、シンガポール発表と周辺国向けの発表をどう組み合わせるかまで進めましょう。
シンガポール発表が届く範囲を確認する
まず、シンガポールという国自体のことを教えてください。どのくらいの規模で、何語が使われているんですか?
シンガポールの人口は約 611 万人です。この数字には国民のほか、永住者と、1 年を超えて滞在する外国人も含まれています。公用語は英語、中国語 (北京語)、マレー語、タミル語の 4 つです。
公用語が 4 つあるのは知りませんでした。英語だけで足りると思っていました。
英語は公用語に入っているので、英語のリリースを読める読者はいます。ただ、公用語が 4 つあるということは、英語以外で情報を探す人もいるという意味でもあります。ここでは、英語のリリースがシンガポール国内の読者に届く、というところまでを前提にしておきます。
周辺国と比べると、シンガポールの規模はどうなんでしょう。
図に並べたとおり、インドネシアが約 2 億 8,000 万人、フィリピンが約 1 億 1,000 万人、ベトナムが約 1 億人、タイが約 6,600 万人、マレーシアが約 3,400 万人です。シンガポールの約 611 万人は、6 か国の中で最も少ない数字です。
インドネシアと比べると、40 分の 1 以下ということですね。
そうなります。シンガポールで届く読者の数と、東南アジア全域の読者の数は、桁が違うと考えておくと計画を立てやすくなります。ただ、人口の差だけで判断するのではなく、周辺国の人が何語でニュースを読むかも見ておきましょう。
周辺国の言語事情を並べる
シンガポールの英語リリースが周辺国に届くかどうかは、周辺国の言語しだい、という理解で合っていますか?
その理解で合っています。各国の言語を並べてみます。
| 国 | 言語・公用語 (JETRO の記載) | 英語の位置づけ |
|---|---|---|
| シンガポール | 公用語は英語、中国語 (北京語)、マレー語、タミル語 | 公用語 |
| マレーシア | 言語はマレー語、英語、中国語、タミル語 (公用語はマレー語) | 使われる言語のひとつ |
| フィリピン | 言語はフィリピノ語、英語、セブアノ語など (公用語はフィリピノ語と英語) | 公用語 |
| インドネシア | インドネシア語 | 記載なし |
| ベトナム | ベトナム語、ほかに少数民族語 (公用語はベトナム語) | 記載なし |
| タイ | タイ語 | 記載なし |
インドネシア、ベトナム、タイの言語欄には、英語が出てきませんね。
そこが大きな分かれ目です。言語に英語が挙がっていない 3 か国では、英語のリリースだけでは読者に届きにくい場合があると考えられます。英語の媒体がないという意味ではありません。ただ、その国の言葉で社名を検索した人の画面に、英語の記事だけが出てくる状態になりやすいのです。
英語が公用語に入っている国は、シンガポールのほかにありますか?
フィリピンが公用語にフィリピノ語と英語を挙げています。マレーシアは公用語こそマレー語ですが、使われる言語に英語が入っています。6 か国の公用語と、リリースを出す言語の判断の順番は、東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番で詳しく説明しています。
そちらも読んでみます。となると、シンガポールの発表は、周辺国のうち英語が通じる国までは届きそうだ、と考えていいでしょうか。
ここは慎重に考えてください。シンガポールの媒体を、周辺国の人がどれだけ読んでいるかが分かる数字は見つかっていません。なので、「届く」と言い切らず、「届く場合がある」にとどめて計画を立てるのが安全です。
届く範囲が分からないなら、国ごとに出す前提で考えたほうがいいわけですね。その場合、シンガポールの発表は何の役に立つんでしょう。
届く範囲と届かない範囲を分けて考える
シンガポールで出す意味はあるのか、少し不安になってきました。意味はあるんですか?
意味はあります。シンガポールの発表は、シンガポールの読者に向けたものとして十分に役割を果たします。ここで間違えやすいのは、役割の範囲を広く見積もってしまうことです。
たとえば、どんな見積もりの間違いがありますか?
よくあるのは 3 つです。1 つ目は、シンガポールで出したから周辺国の取引先も読んでいるはずだ、と考えること。2 つ目は、周辺国の担当者が英語で読めるから、現地語の情報がなくても困らないだろうと考えること。3 つ目は、統括拠点が発表したことで、各国の現地法人の発表を省けると考えることです。
3 つとも、うちの社内で出ている話です。
責める話ではありません。社内ではシンガポールが東南アジアの窓口に見えているため、起きやすい見落としだと考えられます。社内の見え方と、現地の読者の見え方が違うだけです。
シンガポール発表で言えること・言えないこと
- シンガポールの読者に、英語で届ける手段としては成り立つ
- 周辺国に届く場合はあるが、どれだけ届くかを示す公的な数字は確認できていない
- インドネシア、ベトナム、タイは言語欄に英語が出てこないため、現地語の発表を別に考える
- 統括拠点の発表と、各国の現地法人の発表は、読者が違うので代わりにならない場合がある
日本だと、東京で日本語のリリースを 1 本出せば、全国の読者が同じ言語で読めます。その感覚でいたのが、そもそもの間違いでした。
日本の感覚で考えるのは自然です。日本は国内の言語が日本語中心なので、1 本で済む場面が多いのです。東南アジアでは、国境を越えると言語が変わる国が多いので、国ごとに読者の言語を確認するところから始めることになります。
分かりました。では、シンガポール発表と各国の発表を、どう組み合わせればいいのか教えてください。
シンガポール発表と各国発表の組み合わせ方
シンガポールの英語リリースをもとにして、そこから広げていく進め方で合っていますか?
合っています。組み合わせ方は大きく 3 つの層に分けられます。1 つ目は、英語のリリースをそのまま使える国です。公用語に英語が入っているシンガポールとフィリピンがここに入り、マレーシアは英語から始める国として加えられます。
残りが現地語の層ですね。
そうです。インドネシア、ベトナム、タイは、英語の原稿をもとにしながら、現地語に翻訳したリリースを別に出す層です。3 つ目の層は、シンガポールの発表を自社サイトや営業資料でどう使うかで、これは配信とは別の作業になります。
| 層 | 国 | 出す言語の目安 | 原稿の作り方 |
|---|---|---|---|
| 英語のまま使う | シンガポール、フィリピン | 英語 | 同じ英語の原稿を共通で使える |
| 英語から始める | マレーシア | 英語 (相手により言語を足す) | 英語で始め、反応を見て判断する |
| 現地語に翻訳する | インドネシア、ベトナム、タイ | インドネシア語、ベトナム語、タイ語 | 英語または日本語の原稿を翻訳し、現地語を読める人が確認する |
組み合わせを決めるときの考え方
- 言語は、JETRO の言語欄に英語が出てくるかどうかで英語の国と現地語の国に分ける
- 英語の原稿は共通に使い、最初の段落は国ごとに書き分ける
- 現地語の国は、翻訳と現地語を読める人の確認の日数を見込んで、シンガポール向けの原稿と並行して進める
英語の原稿が 1 本あれば、3 か国までは同じ原稿で出せるわけですね。
英語の原稿は、シンガポール、フィリピン、マレーシアで共通に使える場合があります。ただ、国ごとに発表する理由は違います。シンガポールなら地域統括拠点の話、フィリピンなら販売や採用の話、というように、最初の段落だけは国ごとに書き分けると読者に伝わりやすくなります。
最初の段落だけ変えるなら、手間も抑えられそうです。では、実際の進め方を順番に教えてください。
手順
各国で届けたい相手を決める。シンガポールは統括拠点の取引先、周辺国は代理店候補や販売先など、国ごとに 1 つに絞る
英語で出す国と現地語で出す国に分ける。JETRO の言語欄を見て、英語が挙がっていない国は現地語の発表を別に用意する
シンガポール向けの英語リリースを先に完成させる。これを他国向けの原稿のもとにする
現地語の国向けに、もとの原稿を翻訳する。社名、商品名、金額、日付を原文と照合し、現地語を読める人に確認してもらう
国ごとに最初の段落を書き分け、配信日をそろえる。配信後は国ごとに掲載記事を記録しておく
配信日をそろえるのは、どうしてですか?
発表の内容が国ごとにずれると、現地の取引先が「別の国ではもう発表されていた」と気づいて、混乱することがあるからです。同じ日に、各国の言語で同じ内容を出すと、社内の問い合わせ対応も一本化しやすくなります。
同じ内容を同じ日に、というのは分かりました。つまずきやすいところはありますか。
日本企業が止まりやすい所をまとめておきます。
組み合わせでつまずきやすい点
- シンガポールだけで出して、周辺国の準備を後回しにする。後から現地語の原稿を作ると、シンガポール発表との日付がずれる
- 英語の原稿を機械翻訳にかけ、そのまま現地語で配信する。社名や金額の表記が崩れていても、社内で気づけない
- 国ごとの発表理由を書き分けず、シンガポール向けの文面をそのまま全国に使う。各国の読者に、なぜ今その国で出すのかが伝わらない
- 配信後の掲載記事を国ごとに記録しない。社内報告のときに、どの国で何が出たのかを後から確認できなくなる
最後の、掲載記事を記録するのは、社内報告で必要になりますね。
稟議や報告のときに、国ごとの掲載の有無と URL があると説明しやすくなります。配信の手段を選ぶ段階で、この記録が残るかどうかも確認しておいてください。次は、配信の手段を比べてみましょう。
配信する手段を比べる
原稿の組み合わせが分かったので、次は、5 か国分をどう配信するかですね。手段にはどんな選択肢がありますか?
手段は 3 つに分けられます。自社で現地の媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、の 3 つです。国をまたぐ場合の違いを比べると、次のようになります。
| 手段 | 複数国への展開 | 現地語の原稿 | 向いている場合 |
|---|---|---|---|
| 自社で直接送る | 国ごとに宛先を調べて送る | 自社で用意する | 各国に広報担当がいて、記者の連絡先を持っている |
| 配信サービスを使う | サービスの対応国・言語による | サービスにより翻訳オプションがある | 現地に広報担当がおらず、まず複数国に出してみたい |
| PR 会社に委託する | 国ごとに委託先を探すか、複数国に対応する会社を選ぶ | 委託先が用意することが多い | 継続して発信し、取材対応まで任せたい |
うちは周辺国に広報の担当者がいないので、配信サービスが近そうです。複数国に同時に出せるサービスはありますか。
配信サービスは、サービスごとに対応国や言語が違うので、申し込む前に確認してください。一例として、海外PR.jp は東南アジアを含む 7 か国に対応しています。配信予約の機能を使うと、7 か国同時の配信もできます。どの国でも 10 媒体以上への掲載が保証され、国ごとに掲載された媒体名と URL の一覧がレポートで確認できます。
費用はいくらですか?
配信は 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別) で、国による価格差はありません。翻訳オプションは英語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語の 4 言語で、1 言語 20,000 円 (税別) です。複数の国に出す場合、配信は国の数だけ、翻訳は言語の数だけ費用がかかります。どの原稿をどの言語に翻訳する必要があるかで金額が変わるため、正確な金額は公式サイトか相談で確認してください。
マレーシアを足すと、どうなりますか?
マレーシアは英語から始める国なので、英語の原稿を使えば翻訳の追加はありません。配信の費用が 1 か国分増える仕組みです。なお、時期によりキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。
掲載が保証されるのは、とても心強いですね。
保証されるのは、海外PR.jp のサービス条件として約束されている 10 媒体以上の掲載です。どの媒体に載るかは約束されていませんし、掲載されたあとにどれだけ読まれ、何につながるかは別の話です。掲載された記事の URL は、営業資料や社内報告に使えます。
手段を決める前に、まず国ごとの言語を整理しておく必要があるんですね。最後に、今日の内容を表にまとめてもらえますか。
国別のまとめ
社内で共有したいので、国ごとに一覧にしてもらえますか。
国ごとの言語と、リリースを出す言語の目安、確認先をまとめました。計画を立てるときは、JETRO の最新の情報も見ておいてください。
| 国 | リリースを出す言語の目安 | 公式情報 (JETRO 概況・基本統計) |
|---|---|---|
| シンガポール | 英語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/basic_01.html |
| フィリピン | 英語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/basic_01.html |
| マレーシア | 英語から始める | https://www.jetro.go.jp/world/asia/my/basic_01.html |
| インドネシア | インドネシア語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/basic_01.html |
| ベトナム | ベトナム語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/basic_01.html |
| タイ | タイ語 | https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/basic_01.html |
一覧にすると、シンガポールは「英語で出す国のひとつ」という位置づけなんですね。
はい。シンガポールは、東南アジア全域の入口ではなく、英語で出す国のひとつとして計画に入れると、周辺国の準備も一緒に考えられます。関連する話は、リリースの書き方・翻訳、現地メディア事情、シンガポールの記事一覧から探せます。
分かりました。最後に、細かい質問をいくつかさせてください。
よくある質問
シンガポールで英語のリリースを出せば、東南アジアの他の国にも届きますか?
届く場合はありますが、どれだけ届くかが分かる数字は見つかっていません。インドネシア、ベトナム、タイは言語に英語が挙がっていないので、その国で知ってもらいたいなら現地語の発表を別に計画してください。
英語のリリースは何か国まで共通で使えますか?
公用語に英語が入っているシンガポールとフィリピン、英語から始めるマレーシアの 3 か国で共通に使える場合があります。国ごとに発表する理由が違うので、最初の段落は書き分けてください。
シンガポールの発表と周辺国の発表は、同じ日に出したほうがいいですか?
日付がずれると、取引先が別の国で先に発表を見かけて混乱することがあります。同じ日に出すか、少なくとも日付を決めて社内に共有しておくと、問い合わせ対応を一本化しやすくなります。
周辺国向けの現地語の原稿は、シンガポール発表の後から作っても間に合いますか?
間に合う場合もありますが、後から作ると発表の日付がずれやすくなります。翻訳と現地語を読める人の確認には日数がかかるため、シンガポール向けの原稿を作る段階で、周辺国の翻訳も並行して進めるのが現実的です。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
本記事は各国の公的機関などの公開情報をもとに作成しています。各国のメディア事情・制度・祝祭日は変わることがあるため、 実施の前に最新の情報を確認してください。