インドネシアのメディア事情|媒体の種類・言語・全国と地方の見分け方
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インドネシア向けの発信を任されたんですが、そもそも現地にどんな媒体があるのか見当がつきません。日本なら全国紙、テレビ、ネットニュースと思い浮かびますが、インドネシアでは何をどう分けて考えればいいんでしょうか。
最初に断っておくと、媒体の数や影響力の順位が分かる公的な統計は見つかっていません。なので今日は、確認できた資料で言えることと、考え方の目安を分けてお話しします。
資料で言えることと、そうでないことを分けるわけですね。
はい。国立国会図書館と JETRO の資料、それからロイター研究所のニュース利用の調査を使います。ロイター研究所の調査は民間のものなので、補助的に見てください。
媒体を見分ける 3 つの軸
まず、媒体の種類から教えてください。
種類、言語、範囲の 3 つの軸で見ると頭に入りやすいです。種類はオンラインニュース、SNS、テレビ・ラジオ、新聞。言語はインドネシア語と英語。範囲は全国向けと地方向けです。ロイター研究所の調査では、オンラインとソーシャルメディアが、調査対象の中で最も使われているニュース源になっています。
やはりネットが中心なんですね。
ただし、続きがあります。同じ調査は、テレビとラジオが、オンラインにつながっていない何百万人もの人にとって今も最も重要だ、とも書いています。回答者が都市部寄りという注記もあるので、国全体の姿をそのまま表す数字ではありません。
数字の読み方にも注意が要るということですね。
そうです。SNS の数字も挙げておきます。同じ調査では、WhatsApp、YouTube、Facebook、Instagram といったソーシャルメディアからニュースを得ている人が 57%、TikTok は 34% です。SNS と新聞社サイトの役割の違いは、新商品の告知を扱った別の記事で詳しく書いているので、ここでは種類の整理に絞ります。
| 種類 | 資料で確認できたこと | 発表との関係の考え方 |
|---|---|---|
| オンラインニュース | ロイター研究所の調査で、都市部サンプルの中では最も使われているニュース源のひとつ | 発表の記録が URL として残る。社名で検索したときの手がかりになる |
| SNS | 調査対象の 57% がニュースを得ていると回答 (ロイター研究所の調査) | 拡散は期待できるが、発表の一次情報は別に置いておく必要がある |
| テレビ・ラジオ | オンラインにつながっていない層にとって重要とされる (ロイター研究所の調査) | 取材を受けるか、映像素材を用意できる発表に向く |
| 新聞 | 国立国会図書館 の一覧に日刊紙が載っている (次の章) | 記事の形で残る。媒体ごとに読み手が異なるため、届けたい相手に合うかを見る |
表の右側は、資料にあることではなく竹内さんの考えということですか。
中央の列が資料で確認できたこと、右の列は考え方の目安です。右の列は、媒体の約束事ではないので、そのつもりで読んでください。次に、言語の軸を見ていきます。
インドネシア語の媒体と英語の媒体
言語はインドネシア語と英語、と言われましたが、どちらが主なんですか。
インドネシアの言語はインドネシア語です。公用語の整理は東南アジア向けプレスリリースは何語で出す?6 か国の公用語と判断の順番にまとめてあるので、ここでは媒体の話に入ります。
英語の媒体は別にあるんですか。
あります。国立国会図書館の資料には、インドネシアの新聞として 2 紙が載っています。ジャカルタ発行のインドネシア語の日刊紙 Kompas と、同じくジャカルタ発行の英語の日刊紙 The Jakarta Post です。
その 2 紙が有力な媒体、ということでしょうか。
そうは言えません。この資料に載っているのは、国立国会図書館が集めている新聞の例です。この 2 紙は「資料に載っている例」であり、インドネシアの媒体の全体像でも、順位でもありません。
分かりました。例として受け取ります。では、英語とインドネシア語の違いはどう考えればいいですか。
| 軸 | インドネシア語の媒体 | 英語の媒体 |
|---|---|---|
| 資料での扱い | 国立国会図書館 の一覧に現地語紙が載っている | 国立国会図書館 の一覧に英字紙が載っている |
| 読み手の考え方 | 国内の読者全体に向けた記事になりやすいと考えられる | 英語で読む層や、海外の読み手を意識した記事になりやすいと考えられる |
| 原稿 | インドネシア語の原稿が要る | 英語の原稿で足りる |
表の読み手の行は、私の推測を含みます。資料が確認できたのは、両方の言語で日刊紙が存在するところまでです。ここで決めたいのは、誰に届けたいのかによって、どちらの言語の媒体を主にするかが変わる、という順番です。
取引先の日系企業や海外の投資家なら英語、一般の消費者や現地の採用候補ならインドネシア語、という分け方ですか。
その理解で合っています。英語の媒体だけに載せて、現地の言葉で社名を検索したときに何も出てこない状態にならないか、という点は確認しておいてください。次は、全国と地方の軸です。
全国向けの媒体と地方の媒体
インドネシアは大きな国ですよね。全国向けと地方向けは分かれているんでしょうか。
人口が約 2 億 8,000 万人もいる大きな国なので、全国を対象にした媒体と、地域の読者に向けた媒体の両方があると考えるのが自然です。ただ、地方媒体の数や種類が分かる統計は見つかっていません。
それでは地方の話は書けないですね。
数は分かりませんが、ロイター研究所の調査に、地方媒体が出てくる話があります。Tempo が、The Aceh Post などの地方メディアと提携し、記事を共有して、読者が 1 つの料金で両方の電子版を購読できるようにした、という例です。
全国と地方がつながっている例もあるんですね。
はい。ただ、これは 1 つの事例です。ここから「地方媒体はこう動く」と一般化はできません。地方の媒体は、発表の内容が特定の地域に関わるときに候補に入れる、という使い方が現実的です。
3 つの軸で媒体を見るときの注意
- 媒体の数・順位・読者数は、公的な資料で確認できた範囲だけを使う
- 国立国会図書館 の一覧に載る新聞は「資料に載っている例」で、有力かどうかの評価ではない
- ロイター研究所の調査は都市部寄りのサンプルの調査で、国全体の利用状況とは限らない
- 地方媒体は、発表の内容が地域に関わるときに候補にする
軸は分かりました。次は、日本企業の発表をどの種類の媒体に当てはめるか、ですね。
発表の内容と媒体の種類を合わせる
日本企業の発表が載りやすい分野は、どこになりますか。
これも、特定の分野が載りやすいと言えるデータは見つかっていません。なので、分野ではなく、媒体の種類を総合ニュース、ビジネス・経済、業界専門の 3 つに分け、発表の内容との対応を考え方として示します。
| 発表の内容 | 合わせやすい媒体の種類 | 考え方 |
|---|---|---|
| 進出、現地法人の設立、提携 | 総合ニュース、ビジネス・経済 | 会社全体の動きは、事業や経済を扱う読み手に向けて書ける |
| 新製品、導入事例、展示会 | 業界専門 | 製品の仕様や用途に関心のある読み手に向けて書ける |
| 工場や店舗がある州・都市の話 | 地方メディアも候補 | 地域の読み手にとって意味がある内容に絞れる |
同じ発表でも、書き方が変わるんですか。
変わると考えたほうがいいです。同じ原稿を 3 種類の媒体に出すより、会社の動きを説明する版、製品の用途を説明する版、地域への関わりを説明する版と、冒頭の数行を変えるほうが、媒体の読み手に合わせやすくなります。
手順にするとどうなりますか。
手順
発表の内容を 1 文で言い切る。会社の動きか、製品か、地域に関わる話かを決める
届けたい相手を決める。取引先か、一般の消費者か、採用候補か
相手が読む言語を決める。インドネシア語か、英語か、両方か
内容と相手に合う媒体の種類を、総合ニュース、ビジネス・経済、業界専門、地方から選ぶ
冒頭の数行を、選んだ種類の読み手に合わせて書き直す
媒体の種類を決める前に確認すること
- 英語の原稿だけで終わらせていないか。インドネシア語で社名を検索したとき、何も出ない状態になる場合がある
- 調査の数字を、国全体の傾向として書いていないか。ロイター研究所の調査は都市部寄りのサンプルである
- 個別の媒体名を、掲載の見込みとして社内に説明していないか。資料に載っていることと、掲載されることは別の話である
日本だと、プレスリリースの配布先は記者クラブのような決まった窓口が多いです。インドネシアでも同じような窓口があるんですか。
その仕組みについては、確認できた資料がありません。日本との違いとして確かに言えるのは、インドネシア語と英語で媒体が分かれ、全国と地方の媒体があるところまでです。窓口の有無は、現地の PR 会社や代理店に聞くのが確かです。
分かりました。では、実際に配信する手段にはどんな選択肢がありますか。
配信する手段を比べる
種類ごとに媒体を選ぶとして、どうやって届けるんでしょうか。
手段は 3 つに分けられます。自社で媒体に直接送る、配信サービスを使う、現地の PR 会社に委託する、です。
| 手段 | 媒体の選び方 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自社で直接送る | 自社で調べて、1 件ずつ連絡先を探す | 現地に広報担当がいて、連絡先を持っている |
| 配信サービスを使う | サービスが持つ媒体網に配信する | 現地に広報担当がおらず、まず 1 本出してみたい |
| PR 会社に委託する | 委託先が媒体を選び、取材対応も任せる | 継続的に発信し、地方や業界専門まで組み合わせたい |
うちは現地に広報がいないので、配信サービスが近そうです。インドネシアでは、どんな条件のものがありますか。
たとえば海外PR.jp は、インドネシアを含む 7 か国のどの国でも、10 媒体以上への掲載を保証しています。公式サイトでは、掲載先を各国の総合ニュースサイト、ビジネス・経済系メディア、業界専門メディアと説明しています。先ほどの 3 つの種類に当てはまります。
費用はどのくらいですか。
配信が 1 か国 1 配信で 50,000 円 (税別) です。インドネシア語への翻訳オプションは 1 言語 20,000 円 (税別) なので、1 か国に 1 言語で出すなら、合わせて 70,000 円 (税別) になります。掲載された媒体名と URL の一覧のレポートは、配信から 5 営業日が目安です。時期によってキャンペーン価格の場合があるので、最新の料金は公式サイトで確認してください。
どの媒体に載るかは決められるんですか。
保証されるのは 10 媒体以上という数で、個別の媒体名ではありません。載った媒体は、レポートで後から確認する形になります。どの手段を選ぶ場合も、先に決めるのは発表の内容、届けたい相手、言語です。
手段を選ぶ前に決める 3 つ
- 発表の内容: 会社の動きか、製品か、地域に関わる話か
- 届けたい相手: 取引先、一般の消費者、採用候補のどれか
- 原稿の言語: インドネシア語、英語、または両方
確認先のまとめ
社内で共有したいので、今日の内容を一覧にしてもらえますか。
確認できたこと、言えないこと、確認先を並べます。媒体の事情は変わるので、計画を立てるときは各資料の最新版を確認してください。
| 項目 | 確認できたこと | 確認先 |
|---|---|---|
| 言語・人口 | インドネシア語、人口 2 億 8,444 万人 (JETRO、2026 年 7 月更新) | https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/basic_01.html |
| 新聞の例 | インドネシア語紙と英字紙の日刊紙が各 1 紙 (国立国会図書館、2025 年 11 月更新) | https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/asia/post_150 |
| ニュース利用 | 都市部サンプルの調査 (ロイター研究所 Digital News Report 2025) | https://reutersinstitute.politics.ox.ac.uk/digital-news-report/2025/indonesia |
| 媒体数・順位・分野別の掲載傾向 | 公的な資料は確認できていない | 現地の PR 会社や代理店に確認 |
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よくある質問
いくつか確認させてください。インドネシアでは、オンラインニュースが中心と考えてよいですか。
ロイター研究所の調査では、オンラインとソーシャルメディアが最も使われているニュース源です。ただ、回答者は都市部寄りで、オンラインにつながっていない人にはテレビとラジオが重要だとも書かれています。中心がどこかは、届けたい相手によって変わります。
英字紙に載れば、インドネシア語の媒体は不要ですか。
届けたい相手が英語を読む層に限られるなら足りる場合があります。現地の消費者や採用候補に届けたいなら、インドネシア語の媒体も視野に入れてください。
Kompas や The Jakarta Post に載せるべきですか。
この 2 紙は資料に載っている例で、掲載先として勧められる根拠にはなりません。何に載せるかは、発表の内容と届けたい相手から決めます。
地方メディアにも出したほうがいいですか。
工場や店舗のある地域に関わる発表なら、候補になります。全国向けの発表では、必須とまでは言えません。
参考にした公開情報
執筆・編集: 海外PR.jp 編集部 (VRI Creatives)。東南アジア・オーストラリア向けの、掲載保証付きプレスリリース配信サービスです。
本記事は各国の公的機関などの公開情報をもとに作成しています。各国のメディア事情・制度・祝祭日は変わることがあるため、 実施の前に最新の情報を確認してください。